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東北のおいしいこころ〜気仙沼のさんま〜

 2011年3月11日に起きた大きな地震と津波のことを、当時から今日にかけて、世界中の人々がテレビやインターネットやラジオなどで見聞きしたことでしょう。私は、少しでも誰かに、東北のおいしい食べものと土地で暮らす人たちのことを伝えられたらと想い、書いています。
 亡くなった方々のご冥福を心からお祈り申し上げます。そして、今を生きる人たちの健康をお祈り申し上げます。

「東日本大震災」が起きた後に4度気仙沼を訪ねました。
 初めは車で東北を一周する旅の途中で海鮮丼を食べに、2度目は漁港で行われたさんま祭りへ、3度目は陸前高田を訪ねた際にお寿司を食べに、4度目は気仙沼フェスティバルという音楽フェスのボランティアで。
 それぞれ目的も出会う人も違うけれど、気仙沼の人たちもまた、あたたかく迎えてくれ、これでもかというくらいにおいしい食べものを食べさせてくれました。港で働く人としての気質もあってか、あちこちから威勢のいい声が聞こえてきたのが、私にとっては印象的でした。

 海水温度の上昇の影響からか、年々水揚げ時期や場所と量が変化しているさんまですが、毎年秋には気仙沼の港にもたくさんのさんまが到着しています。水揚げ直後の新鮮なさんまはプリップリでキラキラで目が透明で美しく、なんともおいしそう!

 気仙沼フェスでは「さんまを炭火で焼いて来場してくれたお客さんに振る舞うボランティア」という、とてもたのしい体験をさせていただきました。地元のさんま焼きのプロに教えてもらいました。
「新鮮なさんまっていうのはな、下あごが黄色いんだよ、茶色はだめだ。でな、こうやって焼くんだ」

【さんまの焼き方(炭火の場合)】
①さんまが新鮮なことを目視で確認する。
②水分をペーパーなどでやさしく拭いて、塩を少しふる。
③炭から熱が出ていることを確認して、網に置く。火がたっていると、油の多い魚は焦げやすいから、火が届かないように調整する。
④さんまの皮がいい具合に焼き色がついて、油や水分がふつふつとしてきたらひっくり返してもう片面を焼く。
⑤焦げを気にして早めにあげてしまうと生焼けのことがあるから、おいしい時を見極めて焼き上がり。

「ねぇ、⑤がすごく難しいんだけど」と聞いたら、「経験がモノをいうぞ」みたいな言葉が返ってきました。その通りだわぁ。
 イベントが終わった後に、スタッフみんなで食べました。もうね、ひとこと「うんめぇ〜!」です。油でじゅわじゅわの身と、パリパリの皮、新鮮だからこそおいしい肝、骨のところ、エラのあたり・・・硬くないところの全部を食べ尽くしました。
 さんま、ありがとう。海で生きてきた命をおいしくいただく知恵を教えてくれたプロにも、感謝。

 東北にはおいしいものがたくさんあります。今、この時にも、震災を乗り越えておいしいものを作っている人がたくさんいます。食べに行かなきゃならないという密かな使命感が、私の中にふつふつと湧き上がってきています。

 生きている人間の命や生活を奪うものは、いつ何時にもやってきます。
 今を生きている私は、起きたことを受け止めて生きていくことが役目だと思っています。受け止めて想ったことが、行動になることがあるから。どんなに小さなことでもいいから、誰かがハッピーになるようなことをする、その行動が回り回ってまた誰かをしあわせにすると信じています。

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 今日も、最後まで読んでいただきありがとうございます。過去になった人たちへも、今に飛び交うしあわせが届きますようにと祈り、自身がしあわせに生きることが、私なりの供養です。それでは、また明日。

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