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年末に逃げ恥を見直したせいか「思いやりの搾取」が浮かんだ

あけましておめでとうございます。
今回は、以下の書籍について感じたことをまとめます。

まず、ONE to ONEマーケティングの特徴は以下。

・顧客維持
・関係づくり(リレーションシップ)
・顧客サービス中心
・クオリティ中心
・分散協調志向
・エンパワーメント志向
・対話型
※書籍「ONE to ONEマーケティングー顧客リレーションシップ戦略」序文より

ブランドへ愛のあるインフルエンサー起用も、立派なリレーションシップマーケティングだと理解できました。

リレーションにおける“思いやり搾取”

書籍を通してONE to ONEマーケティングやリレーションシップマーケティングをだいたい理解したうえで、改めてこんな疑問・悩みを抱きました。それは、思いやりをもって相手に尽くそうと思えば、どれだけでもできてしまうという件について。愛情の幅というか、最大値というか。

クラシコムの青木さんや佐藤店長がよく語る、クオリティ高すぎ問題や限られた時間のなかでどこまでやるのか問題にも議論として近いかもしれません。

改めてONE to ONEマーケティングを噛み砕いて表現すると、お客さま一人ひとりと正しく向き合い丁寧に対応しよう、ネガティブな情報も出してありのままの姿をみせよう、顧客も社員も称賛しよう、古いマーケティング手法とも共存しよう、だとします。

もちろん「顧客はサービスを買っている」にも書かれているとおり、人による顧客満足度の向上を目指すのではなくいかに仕組み化するかということも理解したうえでの悩みなんですが、人がリレーションをとる場合ではこの“思いやり”がすごく良くもあり、やっかいだと感じました。

いまの仕事に置き換えて社内・社外のステークホルダーをクライアントと考えた場合、一人ひとりに対して適切かつ懇切丁寧にコミュニケーションをはかろうとすると、いくらでもできてしまう。社内だけでいえば、現場より時間に融通がきくので調整して、さらにアレコレ調整してたら時間なんてあっという間に経っているし、気づけばやらなきゃいけないことができていない~なんてことが多い。毎回「やりすぎか」と思ったり、一方で「さすがにフォローした方がよかった?」と反省したり、気づけばこのやり方って「思いやり搾取?」と感じてしまうほどに。

「顧客の信頼を勝ち取る18の法則」も項目多いし全部やってたらキリないことをふまえると、結局顧客の期待値コントロールをすることと『何をしないか』を選択・提示することが重要なのかなと。
期待値コントロールはそのままの意味ですが、後者についてはファンイベントにおける『誰を呼ばないか』と一緒で、ビジネスでは『何をしないか』『何を諦めるか』を予め決めておくことが大事だということもよく分かりました。

調和 ↔ 無関心の社会へ

あとはこれまでの流れとズレるけれど、以下は結構納得感があった一節でした。少し長いですがメモがてら。

「自分だけ」のニュースのなかで、関心がない、あるいは離れたくない話題から目を反らし続けると、それらの問題はそれほど気にかからなくなる。そして、そのうち問題の存在すら忘れてしまうようになる。(中略)
未来社会においては、人々は情報の流れを自らの手で断ち切ることが可能になる。政治的に分断された派閥のように、ネットワークによって結びついた同じ考えを持つメンバーだけによって構成されたグループに集結することになるのである。その結果、反対意見や思想からはまったく隔離された立場に立つことによって、それらを耳にする機会はほとんどなくなる。異なる意見を耳にする機会がなければ、たとえ離れた場所で目には見えない反対はが猛烈な議論を展開し、それが多数はの意見であったとしても、一見して対立しているようには見えない意見に対しては、まったく反応を示さなくなってしまうのである。
「愛」の反対語が「憎しみ」ではなく「無関心」であるならば、「調和した社会」の反対語は「対立のある社内」ではなく「無関心の社内」なのである。
※書籍「ONE to ONEマーケティングー顧客リレーションシップ戦略」10章より

情報が出し分けされ分断することで、隣のテーブルで展開されている話題には聞く耳も持たない社会。意見や価値観が食い違えば、Twitter上で繰り広げられているような不毛やコミュニケーションが起こりうることが容易に想像できます。

ONE to ONEマーケティングやリレーションシップマーケティングが引き起こした結果として、いまはもはや無関心の社会といえるのかもしれません。


……今日は眠気より口内炎が気になる。