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タイトルが思いつかないんだけれどブランド戦略論
さて今回はこの2冊について、感じたこと・考えたことをまとめます。
ブランドとは、ブランド戦略とは何か
正直、「ブランド」と言われると『①ロゴや名称、それらにともなう商標など』と『②商品や企業に対するイメージ』の2方向で(かなりふわっと)認識していたけれど、「ブランド戦略論」の冒頭には12の定義で分類されていたり、途中でも「形式としてのブランド」と「消費者知覚としてのブランド」として書かれていたので、あながち間違っておらずホッと。
そして、それらを推し進める場合の戦略に“特別”は存在せず、ブランド価値を高めるための経営戦略、マーケティング戦略、コミュニケーション戦略がブランド戦略である旨が書かれていました。
ブランド戦略は、経営戦略、マーケティング戦略、コミュニケーション戦略などとどのような関係にあるのだろうか。実は、具体的な企業のアクション・レベルにおいて「純粋」なブランド戦略だけのアクションというものは、知的財産に関する活動を除いてほぼ存在しない。ブランド価値を高めるための経営戦略、マーケティング戦略、コミュニケーション戦略という活動があるだけだ。言葉を換えていえば、ブランド価値を高めうることを意識した経営戦略、マーケティング戦略、コミュニケーション戦略がブランド戦略なのだ。
※「ブランド戦略論」より引用
経営視点やコミュニケーション戦略が大きく含まれるということは、会社というブランドで考えると、企業広報が担う役割はとても大きい。
いまの実務に上記を落とすと、ステークホルダーに対してブランド価値を高めるアウター・インターナルコミュニケーション、もっと簡潔にすると「社内と社外におけるイメージ作り」という言葉に収めても良い気がします。
広報の「変わらないために、変わり続ける」こと
どんなコミュニケーションをとるべきか、については「ブランディングの科学」に書かれていたポイントを引用します。信頼とか、そういうものはコミュニケーションをするうえで当たり前と考えると、ブランド価値を高めるコミュニケーションに必要なのは例えば『一貫性を保つ』『新鮮さと興味』『競争力を保ちながらい多くの人に受け入れられる』の3つ。
これについては、最近マーケティング関連のメディアリレーションをした際に、メディアや読者が感じている課題やモヤモヤに関する寄稿を提案したら連載が決まったことが当てはまると感じました。会社や寄稿するスタッフの『一貫性のあるメッセージ』にくわえて『新鮮さや興味』をプラスしたことが良かったと思うし、やっぱり“この分野が強い”と思わせるようなコミュニケーションをとることで、ブランドはつくられていくのだと思います。
特に一貫性については、ブランドのデザイン「構造」を変化させずに、ビジュアルやシンボルを少し変えることを指し、「他社とは違うマーケティングの戦略や手法を提案してくれる」「論理的に課題を棚卸ししてくれる(要件定義をしてくれる)」「新しい概念を提唱している」などの軸足を置いたうえで、サービスや魅せ方、ソリューションを変えていく。社内でもよく言われる『変わらないために、変わり続ける』という言葉がありますが、これこそ我々ができるブランド戦略なのだと感じました。
ストーリーテリングにおける3つのポイント
今年度に関していえば、広報として情報発信にも(かなり)力を入れています。そのなかで、ブランドへの理解促進や好意度を向上させる手法として「ストーリーテリング」が重要だとよく聞くので、「ブランド戦略論」にまとめられていた内容を一部引用。
・ストーリーとは時間的配列と因果律を備えた話の流れ
・ストーリーとは複数の「エピソード」からできている
・良いストーリーには「活動拠点」と「心の拠点」がある
※「ブランド戦略論」より引用
「心の拠点」では、主人公や登場人物の心のなかで何が起こっているのかが推測させられるかどうかで、見ている人が感情移入できるかどうかが決まるとか。こう思うと、やっぱりストーリーを引き出すための“コーチングスキル”ってかなり重要だな……。コーチングとライター?メディア?のマッチングとかって相性いいのかな、違うか……。
現場と違う方向を向いてしまっている点
本を読んでいて感じたことは、これまでに書いたことだけではありません。これまではアウターについて感じたことをまとめましたが、ここではインターナルコミュニケーションにおける広報と現場のすれ違いについて。
広報から現場のスタッフに対して、知的財産に関する取り扱いだけでなく、リリースの魅せ方、ニュースバリューの考え方、広報アクションの狙いなどを伝えても(自分たちが予想している以上に)情報をキャッチアップしてくれない、分かってくれないと感じてしまうことは少なからずあります(否定したいわけではないので悪しからず)。2冊をざーっと読んで、そう感じたりそう割り切ったりしてしまうことは良くない、というか私は好きじゃないと感じました。
なぜなら、現場の彼らが向かっているのは目の前のお客さんであり、我々広報とは方向が違うから。違う方向を向いている人たちに素直に呼びかけて、こっちを向いてもらえないから怒るというのは少し違う。また、それを諦めるもの違う(何より私が現場にいたとき、それを理解したり考えたりすることがほぼ無かったことが、かなりデカイ……)。書籍にも書かれていた、思っている以上にこちら(ブランド)を向いていないし意識していないのと一緒なのかもしれないとさえ感じました。
私が働く会社では、会社のブランド戦略は、特にクライアントに向き合うスタッフのブレーンや知見があってこそ成り立つもの。むしろ現場のスタッフの方が多くの人数と接しているので、彼らがブランド(この場合は消費者知覚のブランド)を創っているし、彼らがブランドになることもある。そのために広報は、現場が向いている方向に回り込んでコミュニケーションをとることが最大の近道だとも思っています(全部はできないけれど)。
そう考えると、ブランドは現場や広報、採用が築き上げるものだし、「ブランディングの科学」で書かれていた既存のマーケティングを疑い『パレートの法則』も鵜呑みにするな、そのまま転用するなという指摘も、もっと双方で議論すべきだと感じました。いまだと飲料メーカーの2:8トークが立ちすぎな気もする。
一貫してブランドの考えやストーリーを軸に持ちながらも、踏み出す足を議論したうえでどう変えるか。ブランド戦略ないしはマーケティングとは、疑い、問い、学び続ける学問だと改めて感じました。
……ねむい。