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話し手/大西 淳美 さん<前半>

Vin butttonとしての作家活動、そして禾ーineーの屋号でイベント出店やワークショップ等、精力的に活動されている大西さん。
イベントでお会いすると、着物を個性的に着こなしていらっしゃる姿が印象的です。着物や日々の暮らしに対するこだわり、Vin buttonや禾の活動を通して伝えていきたいことなどをお伺いしました。
たくさん素敵なお話をお伺いしまとめきれなかったので、前半/後半に分けています。前半はVin buttonの作家活動について、後半では禾-ine-の活動を中心に。

(聞き手/谷美和子)

ー本日はよろしくお願いします。
ーまず初めに、作家活動についてお伺いします。
Vin buttonとして作家活動をはじめられたのはいつ頃からでしょうか?きっかけも教えてください。

(大西)
娘が生まれた2009年からなので13年ほど前です。元々モノづくりが好きで。
以前アパレル・服飾雑貨の企画・営業をしていて、その時に触れた素材や端材に魅力がありすぎて!モノづくりがさらに大好きになりました。

同時にサンプルとしてあがってきた服などを大量に破棄している現場を目の当たりにして違和感を覚えたのも、自分で作家活動をはじめた大きなきっかけです。アパレル業界では、少しのムラや欠陥で廃棄されていたり、販売する量よりも廃棄する量がすごかったりして…。欠陥のあるものでも、個性として世の中に出せるようになればいいと思っていました。
また、靴業界やデザイン事務所で勤めいていた時には、企業側の職人さんへの扱いにひっかかるものがありました。丁寧に作っている職人さんが称えられる環境、少しのムラがあっても“味”として発信できる環境があるといいなと感じていました。

(谷)
大西さんの作品や禾の活動にもその思いを感じます。

―小さいころから何か作ったりしていましたか?

(大西)
母が編み物が好きで、小学生のころ教えてもらいながら編みぐるみを作った記憶があります。立体ビーズにもはまっていて、お花や指輪を作っていました。中でも三輪車が大のお気に入りでした。元々なかった手芸クラブを自分たちで立ち上げました。

(谷)すごい!

(大西)
高校は木工のある工業高校に進学しました。木を加工したりインテリアデザインを学んだり。木工の先生がきの樹齢について、“例えば100年の樹齢なら100年以上使いなさい”と言っていたのが印象に残っています。自由な高校で、色々な素材や工程に携わることができました。
その頃、アパートの一角でされている雑貨屋さんをみて、昔ながらの駄菓子屋さんみたいなイメージの、モノづくりができる場所を作れたらいいなと思っていました。

(谷)
それのイメージが作家活動や禾ーine-につながっているのですね。

ーお子さまが3人いらっしゃると伺いましたが、お子さまたちもモノづくりがお好きですか?

(大西)
そうでもないような?子どもたちには、何事も押し付けないようにしています。
最近長女が絵やミサンガづくりに興味を持って、作っているのを横で見守りながらついつい口を出したくなりますが(笑)。
基本、何かに興味を持った時に、私ができることをするようにしています。

ー3人の子育てをされていてお忙しいと思うのですが、ご自身の制作はいつされているのでしょう?

(大西)
基本的に夜しています。音の出るミシンなどは昼間にしますが。
海外でも活躍しているガールズバンド『CHAI』の音楽を聴いたりしながら作っています。歌詞が好きなんです。
子どもたちのことや学校の活動に追われることもありますが、織の時間や作家仲間との交流の時間が癒しになっています。

―そんな多忙な中でも丁寧な暮らしをされているイメージがありますが、こだわりを教えてください。

(大西)
そんなこともないんです。料理は苦手だと思っているし、食事も簡単なもので済ますこともあるし。
ただ、何年か前から、自家製味噌と梅干を作っています。最初は子どもたちに不評でしたが、今はやっと求めてもらえる味になりました。あとはコンポストやっています。

(谷)コンポスト、私も興味あります!
ちょっと脱線しますが、虫はどうですか?

(大西)
やっぱり外に置くと開けたとき虫がいたりしますよ。畑をやっている人は、そのまま土に混ぜたりして、魚の骨とかも土にはいいみたいですよ。今は手軽に室内でできるバッグ型もあるみたいです。

(谷)室内型!挑戦してみたいです。

―着物を使った作品もたくさん作られていますが、着物を素材として取り入れるようになったきっかけを教えてください。

結婚してから専門学校の洋裁の先生をしていた義母が、着物やボタン、糸、布、ネクタイなどをくれました。特に何かを押し付けるわけじゃなくて、本当にきっかけをくれた感じで。
”みんなの喜ぶものを作っている”義母の姿や考え方も好きで。
義母が手作りした食器にあうんじゃないかなと、もらった着物で作ったファブリックパネルをプレゼントしたこともあります。

着物をリメイクして作ったあずま袋

ーご自身でも着物を着られていますよね?

(大西)
素材として使うつもりの着物を見て、加工するのはもったいないなと、着るようになりました。
母が着付けができるので聞いたこともありますが、”着付けは慣れや!”と言って教えてくれず(笑)自分で動画を見たりしながら着られるようになりました。子どもの入園式やお店オープンの日などに着ています。まだまだ着崩れすることもありますが、だいぶ慣れてきました。
チャック式のコルセットを作っている作家さんがいて、そういったアイテムも使いながら着ています。
友人たちとも将来の着物のある暮らしについて話したりしていて、その準備ができたらいいなという思いもあります。

ーキモノヤーンを知ったきかっけを教えてください。
使ってみていかがでしたか?

(大西)
お店を始めたころに「着物」「糸」で調べたのかな?
キモノヤーンのサイトを見たときは。“なんだこれは~♡!!”と!注文して届いた時のプレゼント感やお手紙とか、愛にあふれていました。
着物を裂いて使ったこともありますが、洗って解いてアレルギーでくしゃみしたり(笑)。だからこそ、キモノヤーンの価値がわかります。
最初は編むのに幅が太くて、藤枝さんにもう少し細いヤーンがあったらと伝えたこともありましたが、結果“素材によせるのがよいのではないか?”と思いました。
帽子を編んでいるときに、重さや厚さで試行錯誤していたときに、手織りの先生から厚みの出にくい織を進められて、今に至ります。

―キモノヤーンのイベントの際に出店されていた手織りの作品、私も大好きなのですが、織物はいつからされていますか?

(大西)
さをり織を体験したりはしていましたが、織り機は持っていませんでした。禾をはじめてから、織り機を貸し出しているお店の方との出会いがあり、”倉庫にある壊れた織り機でよければ無期限で貸すよ?”と。摩耗で劣化している程度だったので、ペンチとボンドとつまようじ(つまようじって本当に万能なんです(笑))で補強したら、すぐ使えるようになりました。
ただ、実際に織り機を使い始めて、”経糸”をはる難しさに苦戦。織物の先生※に家まで来ていただいて教えてもらったこともありました。

※牧喜代子先生
染色作家。自然染色による作品を数多く発表。20数年前から、夫と共にラオスで自然染色による綿の手織り布の生産指導。輸入産業に育てる。

定期的にされている織のワークショップ
ボタンとヤーンを組み合わせたアクセサリーは
全てデザインが違い選ぶのが楽しい
キモノヤーンのイベントでも人気の指編みのシュシュ


(後半へつづく)

大西 淳美
作家名:Vin button
Instagramアカウント:@
vin_button
ショップ:禾-ine-
Instagramアカウント:@
ine_minoh

大西淳美さん
(作家名 Vin button)
大阪府在住






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