不登校について
●コロナ休校と不登校
2020年はコロナで休校になった期間がありましたが、そこで感じたのは「不登校の困りごととすごく似ている!」ということです。
「学校に行けない」ということは、子どもたちにとって、困ったことだったと思うのですが、親たちにとっても、とても困ったことだった、ということです。
子どもたちは、居場所を失い、給食を食べられず、体を動かすことが少なくなりました。友人と会うことができなくなり寂しく感じ、プリントを配られるだけで、学びができない子もいました。
親も困りました。共働きの場合、コロナで休校になった子どもを見るために、祖父母に預けたり、そうもいかない場合、夫婦のどちらかが仕事の都合をつけないといけませんでした。パートをやめた人も。休校で子どもが学校に行けなくなったことにより収入が減った場合、給与が補填された人もいましたが、不登校になり、結果的に仕事を減らしたり変えても、補填はされません。そして、食費、学習費、家庭の経済的な負担大です。
●不登校の何が問題?
学校に行けないことは問題、とは書きましたが、コロナの休校中、我が家の不登校の子どもは、精神的にとても安定していました。誰にもとがめられず、後ろめたくなく、家の中で好きなことに取り組める。自由に心地よく過ごしていました。普段「学校に行かなくはいけない」とプレッシャーをかけられる方が、精神的な負担です。
問題なのは「不登校の子」ではなく、子どもの居場所がなくなること、学びの機会がなくなることです。
学校が安心して過ごせない場になっていることが問題で、学校以外の居場所や、学びの選択肢がないことが問題なのです。
不登校は年々増えています。教育機会確保法成立から4年たち、「休むことも必要、学校以外の学びもある。」という考えも少しは広がったかもしれませんが、学校外の学びが保障されていない地域では、福祉・教育の視点からは、課題があると思っています。
・福祉的視点ー子どもの安全で心地良い生活(安全に過ごせる場所、食事、精神的な環境)
・教育的視点ー学びの保障 興味を持ったことを、タイミングよく取り組める環境
●学びの選択肢を
今住んでいる土地は既存の公立の学校に代わる選択ができません。私立の学校やフリースクール等がある場合、小学校・中学校にあがるタイミングで、ひとり一人が自分に合う教育を求めて「選択する」ことができるかもしれませんが、今住んでいる地域にある選択肢は、学区の小中学校へ通うこと、一択です。
現時点で、このまちには学校外の居場所は家庭以外にないので、学校を休むか、無理して行き続けるかの2択しかありません。ホームスクールを選べる家庭なら、ホームスクールを選ぶかもしれません。家でも興味関心から十分学べると思います。(しかし、私の周辺ではホームスクールを積極的に選ぶ人は少ない印象です。)
「義務教育だから」と無理をして学校に行き続け、傷つき、疲れ切ってしまうことが心配です。
義務教育の義務は子どもにあるのではなく、全ての学びたいと思う子どもたちに、学びの場を用意する義務が大人にある、ということです。
●どうなったらいい??
どんな場があったらいい?誰もが楽しく通える学びの場ができたら嬉しいです。
1、既存の学校が、誰もが楽しく通える学びの場になる
2、既存の学校に行けない場合の学びの場ができる
3、(社会全体が) 子どもたち・家庭を受け入れ、助け合えるまちになる
【1、既存の学校が、誰もが楽しく通える学びの場になる】
一斉の学習についていけなかった子を、学習障害や発達障害として排除するのではなく、合理的配慮をして、共に学んでいく。生活の中で学ぶ、興味関心を通してカリキュラムをつくる。皆と同じペースで学ぶことにもの足りなさを感じるの子にとっても、さらに学びが楽しくなるような仕組みをつくる。
・教員の仕事の分散(事務的なことや、対外的なことではなく、子どもたち一人一人と向き合える仕事に集中できるように)
・教員の給与を上げる
・専門性が高い人が、各教科を担当する(小学校も)
・教科書の問題のレベルを個別選択し、AIで学習する時間を設ける
・教科外の学び、総合的な学習をサポートする
・学びのアップデート(イエナプラン等)
・少人数学級にする
・多学年で同時に学ぶ 子ども同士で教えあえる学び
・ICT機器の利用
・精神的に伸び伸びと過ごせる空気感!!!
【2、既存の学校に行けない場合の学びの場ができる】
フリースクールや不登校特例校、特色のある私立の学校等は全国各地にあります。
・公立(岐阜市立草潤中学校)(千代田区立麹町中学校)(大阪市立大空小学校)(福山市立常石小学校)など
・私立(名古屋市星槎中学校)(きのくに子どもの村学園)(佐久穂町大日向小学校)(軽井沢風越自由学園)など
・民間のフリースクール
今すぐ、このまちに特例校をつくる、ということは現実的に難しいのかもしれません。「不登校特例教室」は可能なのではないでしょうか。
各学校の別室での個別の学びをサポートすることも必要だと思います。相談室が機能している学校もあるかと思います。これまでの「適応指導教室」のように学校と同じように勉強を進め、各学校に再び通えることを目的とした教室の要望も、あるのかもしれません。
「適応指導教室」も機能しているのかもしれませんが、学校に戻すことを目的としていた適応指導教室や、学校内の別室の教室とは別に、ひとりひとりがその子らしく過ごせる、自分に合った学びができることを目的とした場所、例えば、「不登校特例教室」の設置を希望します。
【3、(社会全体が) 子どもたち・家庭を受け入れ、助け合えるまちになる】
・祖父母等、頼る人がいない人のために、ファミサポの利用など、小学生の送り迎えや見守りができる仕組み
・子どもの居場所の受け皿が民間にできるようなサポート
昼間の居場所の確保の例(街のとまり木 多様なまなびプロジェクト)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
不登校は年々増えています。理由は様々です。友人関係、家庭環境、先生との相性、学業不振、原因探しをしていても、子どもが学校に行けない状況は変わりません。
できることから、すぐに。何が実行可能かはわからないのですが、やれるところから。先進事例が県内外問わずあるので、取り組めるものからやっていけたらいいな、と思っています。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最後に。地元に具体的に希望する場を書かせてください。
●適応指導教室とは別の、新しい場(不登校特例教室)
●学びの内容について
既存の学校の学びにとらわれず、ひとりひとりに合った学びと遊びを。
子どもたちは自分のやりたいことを持っています。1日の始まり、週のはじまり、月のはじまり、学期のはじまりに、各々のやっていきたいこと、皆でやってみたいことを確認し、内的動機のある学びをすすめて欲しいです。
プログラミング、地域の方を招いた総合的な学習、STEAM教育、市がすすめている教育は、適応指導教室まで届いてきません。市内の学校教育にされていることを、特例教室でも行えるようなったらいいな、と思います。
適応指導教室では、コロナ以前は市内の講師を招き、子どもたちの興味関心に合わせてさまざまな講座をしてきました。まちの大人から学ぶことはこれからも続け、直接が無理ならオンラインでのやり取りができないでしょうか?
市立保育園は、森のようちえんのように、自由で探求的な学びをされています。自律の芽が十分に育った幼児も生きる力をはぐくめるように、小学校・中学校でも連続的に生かせる仕組みがあったらいいな、と思います。
●担当する教員について
これまでの適応指導教室は、常時対応できる人員が2名でした。市内全ての小中学校の不登校児に対して、2名はあまりにも少ないと感じています。
ひとりひとりにあった対応をするために、少人数指導が必要であり教員も今の2名より増員することが必要です。これまで通り、有償ボランティアを受け入れ、数も増やして欲しいです。
通ってくる子どもたちの中には個別で対応を必要とする子もいます。また、不登校に至る過程で、心が深く傷ついている子も多いため、児童心理を専門とする人の常時配置が必要だと考えます。
●学びの場について
現在の適応指導教室は、市内小中学生全ての児童生徒が対象ですが、常時使えるの一つの会議室のみです。非常に狭いです。
学校で学ぶ良さは、理科の実験は理科室で、音楽は音楽室で、体育は広大なグラウンドや体育館で、その他教材や教具が豊富なことです。市の施設等を利用できるとは聞いていますが、実際のところ人不足で付き添いがままならず頻繁にできていません。サポートする人を増やし、既存の施設を活用してほしいです。
●オンラインを使って
コロナや、さまざまな理由で学校に直接行けなくなることは今後も誰にでも起こりうることです。何らかの理由で学校に行けない子に学びを途絶えないように、オンラインなどでサポートすることが必要です。
現行のオンライン教材は、紙の教材がただPDF化されたようなもの。オンライン教材として開発されているものを選りすぐって採択することにより、AIが採点をしたり難易度を変えて対応することができるようになり、学習指導対応教員の代わりにもなってくれます。
学びを強制的に一斉のペースですすめるのではなく、ひとりひとりの興味関心・学習のレベルに合わせたものになるよう工夫し、探求的な活動を認め、サポートする環境であることを希望します。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
公開してから何度も書き直してしまいました。
友人から、不登校の親から、市に伝えたいことある?と聞かれて。考えていたことをまとめました。話を聞いてくれた友人は、他にも子どもの気持ち、親の気持ち、環境について、長時間丁寧に聞いてくれて、しっかりまとめて、市に伝えようとしてくれました。そういう人が一人いるだけでも、ほんとに嬉しいです。
学びの場、居場所が公的にできないのなら、ホームスクーラーの家庭負担が減ったらいいなぁ、と思っています。これについてはまた、次回以降まとめられたら。
子どもたちが生き生きと過ごせることが一番だと思っています。親としてもサポートしたいと思っていますが、地域にそんな場が増えるといいな、と願っています。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?