大人と子どもの着物の違いってなに?
少し前に、七五三の準備について1つの記事をあげました。
7歳、5歳、3歳、それぞれの年齢で必要なものや、必要な準備などをまとめています。
色々と調べていくうちに、大人と子どもの着物の違いについて気になるようになりました。
そこで今回は、それをテーマに1つの記事にしていきます。
大人と子どもの着物、何がどう違うのか。
皆さんは説明できますか?
今回調べるにあたって、こちらの書籍を参考にしています。
仕立て方の種類と使う反物の長さ
仕立て方の種類は、身頃の長さで呼び名が変わる
子ども着物の仕立て方の種類には、一つ身/二つ身/三つ身/四つ身 と呼ばれるものがあります。
現代では、一つ身と四つ身で仕立てられることが多いようです。
(着物を日常的に着ないため、二つ身三つ身は作られる機会が減っているようです)
それぞれ後で詳しく触れますが、一つ身は宮参りから3歳、5歳くらいまで、四つ身は9歳くらいまで着用できます。
使う反物の長さは大人より短い
仕立てるサイズによって、必要となる反物の長さも異なります。
大人の着物を仕立てる場合は、一反(約11m40cm-12m)を使いますが、9歳くらいまで着られる四つ身の場合は、一反の半分か3分の1のみ使います。
一反の半分程度しか使わないので、きょうだいで2着分作ったり、同じ反物で着物と羽織を作ったりすることもできるようです。
一つ身と四つ身はどう違う?
一つ身は3歳5歳くらいまで
一つ身の着物は、宮参りから3歳5歳の七五三くらいまで着用できるものです。
図①のように反物の幅がそのまま背幅(後身頃)となるので、背縫い(背中の中心にある縫い目)がありません。
昔の人は、背中の縫い目(=目)が魔を除けると考えていたため、一つ身の着物には子を守り魔を跳ね返すための「背守り」という糸印をつけていました。
これは、鎌倉時代から始まった風習で、明治以降は装飾的な意味合いが濃くなったとか。
背守りの糸は魔がつかんでもすぐ抜けるように、結ばずに長く垂らしたり、付け紐飾りを結ぶこともありました。
四つ身は9歳くらいまで
四つ身の着物は9歳くらいまで着用できます。
身丈(衿から裾までの長さ)の4倍が身頃となります。
(四つ身の”四”はこの4倍の数字からきています)
四つ身になると後ろ身頃の2枚を縫い合わせるので、背縫いがあります。
そして、着るときの子どもの身丈や裄に合わせて、肩揚げや腰揚げをして身丈(衿から裾までの長さ)や裄(背中心から手首まで)を調整します。
この肩揚げや腰揚げは一つ身の着物でも同様に調整をするもので、子ども着物の象徴のような部分でもあります。
十三詣りの頃からは大人と同じ
子どもの成長に伴い、十三詣りからは大人と同じ長さの反物を使った本裁ちの着物となります。
昔は数えの13歳が大人とされていて、その節目としてお参りするのが十三詣りです。
新暦では4月13日前後とされますが、秋にお詣りする人もいます。
女の子は、十三詣りまでは身揚げ(肩揚げ・腰揚げ)をして着て、お詣りのあとは身揚げを外しておはしよりのある大人の着方をするようになります。
礼装もカジュアルも仕立て方は同じ
ここまで、七五三や十三詣りの行事に沿って説明しましたが、普段の着物も仕立て方としては同じです。
そして、普段の着物では使われる素材が違ってきて、家で洗うことができる木綿やウール、モスリンなどが多くなります。
そして帯も、礼装ではキラキラした装飾やおめでたい柄が使われた織りの帯が使われますが、普段の着物では半幅帯や兵児帯を使います。
兵児帯は柔らかい生地で作られているので、締め付けも少なく動きやすいので子どもにとっても楽ちんなようです。
今では、ハンドメイドサイトで洋服に使う生地で子どもの着物を作って販売されている方もおられます。
本来の仕立て方と違う部分もありますが、より簡単に着物を着ることができる工夫がされています。
少々汚れても洗濯機で洗うことができるので、ふだん着物として楽しむことができます。
着物のことを知っていると、子どもに教えられる
大人の着物と子どもの着物の違いをまとめていきながら、私自身が頭を整理することができました。
昔からの慣習を少しでも知っていると、我が子が着物を着るときに役立つこともあるのではないでしょうか。
「これは何ていう名前?何に使うの?」と子どもに聞かれたとき、名称や理由を答えられると着物をより身近に感じることができそうです。
私がふだん着物を楽しんでいる様子を見て、私の子どもたちも、少なからず着物に興味があるようです。
それなら、と買ってみた着物の絵本がこちら。
この絵本が想像以上にわかりやすくまとめられており、イラストも模様の描写がかなり細かく、子どもだけでなく大人でも楽しい内容でした。
着物の概念やカテゴリーを四季と交えながら説明してあるので、これから着物を始めたいと思っている人への入門書としても良いのでは…と思っています。
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