日々のお客様との接客会話からの決意
私は接客業という仕事柄、たくさんの話題が挙がります。
話題はドラマや旅行や音楽など、親しみを覚えることも多いですが茶道やオペラ、美術品などの芸術作品は高尚だと思い、遠くに感じるものがあります。
そのうちの一つに、着物もありました。
今日こうして試験を受けることになるまで、私は呉服業界を自分には縁のない世界だと思っていました。
ただ接客でもっとお客様が楽しく、満足のできる時間を過ごしてほしいと日々心掛ける中で、苦手な分野や全く未知の世界にも触れて行く必要があると思い始めました。
その時、目にしたのが着付け教室の広告看板でした。
頭の片隅に「着物なら母のものがたくさん家にあるし、始めやすいかも」と考え始めたとき、ある日職場の先輩から例の広告看板の着付け体験に来てみないかと誘ってもらえたことで、一歩踏み出しました。
初めて自分で着ることができた時には、子供のように喜びました。
「あの、憧れていた着物を自分の力で!」と嬉しくなり、一気に身近に感じられました。
それまで実家にあった大きな桐箪笥は開かずの扉で、そびえ立っているように見えていましたが、自分の力で着たということが自信となり、毎日のように眺めるようになりました。
楽しい気持ちは学びのための栄養になったと思います。
着付け教室で知識も教わり、見に付いていくにつれ、仕事でお客様へ自ら話題に出すようになれました。
会話の引き出しが増えたことで信頼していただけるお客様も増え、仕事そのものがさらに楽しく感じる日々です。