「着物なんて」から「楽しい着物生活」へ
若い頃は着物が好きではなかった。
窮屈そうに感じられたのである。
だから成人式を前にして、母が振袖を作ろうかと言った時には全力で拒否をした。
一生に一度か二度しか着ないものにお金をかけるなんてとんでもない!
母との応酬の末、振袖ではなく訪問着を作ることになった。
それも年をとっても着られるような柄で、と注文をつけて、白地で流水に梅の木の柄の上品なものが仕上がった。
反抗期だったのか、そもそも成人式には行かなかった。
せっかく作った訪問着もタンスの肥やしの運命をたどったのである。
30を過ぎた頃であろうか、「着物もいいな」と思うようになった。
歌舞伎を観に行きだしたからかもしれない。
それでも着物を着ることへのハードルは高く、実際に着る機会はなかった。
ようやく訪問着が日の目を見たのは、30代後半、弟の結婚式であった。
着物を着た自分はなかなか素敵ではあったが、やっぱり窮屈。
着せてもらったけど、自分で着るとなると大変だなあ、というのが実感であった。
さらに10年が経ち、またむくむくと着物を着たい気持ちが湧き上がってきた。
ネットで検索して、浴衣を着てみた。
なんとかなるじゃん。
やっぱりちゃんと着付けを習おうかと、着付け教室を見繕っていたのだが、この頃から仕事が無茶苦茶忙しくなり、習い事どころではなくなって断念。
仕事に追われて、あっという間にまた10年が経ってしまった。
体力、気力共に限界を感じて、60歳を待たずに会社を退職。
一息ついたところで、そうだ着付けを習おう。
まずは無料着付け教室へ。
なんとか着られるようになった。
歌舞伎や狂言を観に行く時には着物を着て行くようにした。
でも、まだまだ自分の着姿に不満があるし、もっと着物でお出かけしたい。
もっときちんと習おうと違う教室へ。
ポイントをしっかり教えてくれるし、小物に関する知識や着物での作法も今では月に2、3回は着物でお出かけして楽しい着物生活です。