着物との出合い…そして今。
人生の中で伝統文化である着物を着るチャンスは何度あるのだろう。
私の記憶の中にある着物で一番古いものは、七五三で着た手まり模様の着物。
三歳の七五三で、父に抱きかかえられている私は、何があったのか泣きやんだあとの不機嫌そうな表情をしている。
七歳の七五三では、それとは真逆で満面の笑みで写真に納まっている。
小学生の頃、授業参加に地味な着物で現れた母に、私は攻めたててしまった。
ただただ、汚い色の着物としか感じられなかった。
大学生の頃、早めに成人式用の振袖を作ってもらった。
自分で選んだ薄いピンクの華と牛車をあしらった古典柄で、それはまるでおひな祭りを思わせるようなかわいらしい装いの着物だ。
今の私だったら絶対に選ばないだろう。
しかし私の一番のお気に入りの着物だ。
振袖は大学卒業パーティや結婚式などにも着ていくチャンスがあった。
そのたびに母に着せてもらい、一日中着ていたくて帰宅してもずっと脱がないでいたものだった。
時は移り、現在では学生時代に習っていた茶道を再び習うチャンスが訪れ、毎週楽しく通っている。
二年程経過した頃、初めてお茶会に参加したものの、せっかく茶道を習っているのだから、より楽しむためにも次回からは着物で参加したいと思うようになった。
そんな折り、お茶会のお手伝いをする話があったことから、着付けを習うことを決心した。
いち瑠での初級コース修了後に、初めて着物で参加したお茶会で帯が外れてしまうというハプニングがあり、自信を喪失してしまった。
それでも、いち瑠でのレッスンやお出かけに参加して、少しでも着物にふれるチャンスを増やそうとできる限り参加している。
その後、参加したお茶会では、先生やお稽古の先輩方に褒めていただけるようになった。
まだまだ思うようにきれいに着ることはできないが、母の着物を着ることができる喜びと着物に関する知識を得ることができて、とてもよかったと思う。
そして今年の夏は二年ぶりに浴衣を着て各イベントに参加し、思う存分楽しんだ。
秋には新調した着物で初釜のお茶会に参加しようと思っている。
これからは早くきれいに着ることも目標としつつも、日本人女性として大好きな着物所作も身につけて、ますます輝ける自分でありたいと考えている。