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きものがつないでくれたもの
着物教室に通うきっかけは、祖母の着物でした。
祖母が昔着ていた着物や曾祖母の着物・帯の処分に困っていると聞き、
母に誘われて通い始めました。
もともと着物や日本の文化に興味を持っていた私は
母の誘いに二つ返事で応じました。
初めは着物の名称、種類、道具、作法、何一つわからず、
“教室”に緊張し不安に感じておりましたが、
初めて自分で着られた日の嬉しい気持ちは今でも覚えています。
思い出に残しておこうと撮っておいた写真を見返すと、
とても見られたものではなく少し恥ずかしいですが……
通うにつれてきれいに着られるようになったり、
母や祖母とも話すネタが増えて嬉しいことがいくつかあります。
着物を着るようになって一番嬉しかったのは、
曾祖母とのつながりを実感したことです。
幼い頃、曾祖母に会いに行った記憶があります。
一度、日本舞踊の舞台を観に行ったこともあります。
ただ、私が幼かったこともあり、
どこか落ち着かず、遠い親戚の一人、
どう接して良いか分からず距離を感じておりました。
成人し、着物という共通点ができたことで
会話におびえることもなくなり、
曾祖母の帯を締めたと話すととても喜んでくれました。
着物や帯を身に着けると、
なんとなく気持ちがシャンとして背筋が伸び、
少しだけ自分に自信が持てるようになります。
同時に、きっかけを作ってくれた母、祖母、曾祖母に
感謝の気持ちがわいてきます。
七十年前のすてきな着物を着られるなんて、とても誇らしいです。
着物や帯がもっとすてきに見えるように、
もっと練習して見合った人間になりたいと
ふと感じることがあります。
今まで親戚というものは
他人より少し近しい存在であったのが、
目に見える形でつながりを感じることが
できるようになりました。
数年間、数十年間保管され、
中にはもう着られなかったり、
新品のものもあったりと様々な着物・帯が
祖母の家に重ねられておりますが、
できるだけ多く袖を通し、
私の着ている着物も
いつか子、孫と引き継がれていけたらいいなと思います。