着物は、太ってもやせても大丈夫?
「着物は太ってもやせても大丈夫!」という声が多い。
しかし、僕はその言葉に首をかしげる。
「夕立は馬の背を分ける」というほど、違いがある。
スーツに比べると融通が利くので、お腹周りが大きくなっても、すぐ買い替えにはならない。しかし、サイズが違うととても着にくい。
僕は、MAX80㎏を越えたことがあった。身長は165㎝なので、明らかに当時はデブ。色白なので、まさに白豚だ!今は67㎏をキープしているので、マイナス13㎏。
■10㎏以上太った時の着物姿は、どうなるだろうか? +++
・身体を包むことが出来にくくなる(身巾が狭くなる)ので、着にくい。
特に、茶道をやっていたら、正座の時に上前/うわまえが広がってくる。(上前をちゃんと合わせると、下前は身体全体の2/3ほどになるので、長く着ていると下前の衿が右に広がってくる)
・衿が開いてきて、だらしなく見える。
・肩やお腹に肉がつくので、身丈(着物の長さ)が短くなる。
・同様に、裄/ゆきという手の長さが短くなる。
■10㎏以上やせた時の着物姿は、どうなるだろうか? ---
・衿がつまってくるので、下の襦袢の衿が見えなくなる。
・上前を合わせると下前が広すぎて、深く衿合わせをしたいが、裾から着物が出ないように衿合わせをすると、下前の衿が浮いてくるのでそのだぶつき処理が大変になる。(それを安全ピンでとめたこともある)
・身丈もやせた分、長くなる。
地面に着くことを、熊本弁では「ぞろびく」という。
いずれにしても、サイズが合わないと着にくい。
僕は、標準体型からかなり太って、そしてやせたので、双方のごまかし着付けができる。
反面教師のようだが、結果として僕の様々な経験が、これから着物デビューなさる方への一助になったら、誠に喜ばしいことだ。
夏・冬合わせると、これまで100枚以上の着物を仕立てた。かるく新築が立つほどの金額になるが、あまり計算したくない。
太った時に作った着物もあれば、標準サイズの時に作った着物もある。
ゆえに着物歴28年なのに、マイサイズのラインナップぞろいではない。
大きな声では言えないが、「洗張り」という着物を解いて、水で洗って、仕立て直しをコツコツ続けるだけ。
コツコツと、マイサイズの着物をふやしていくしか方法がない。