ウツを乗り越えている心優しき同級生
僕の同級生(やっちゃん)が、うつ病とのことを耳にしていた。
やっちゃんは、同級生のアイドルだった。頭も良いし運動も出来るし、今でいう才色兼備を100%兼ね備えていた。僕の初恋の人でもあるが、冗談交じりに告白できたのは、彼女ができた大学生の時だった気がする。
うつのことは、直接本人から聞いていたのか、風の便りで耳にしたのか定かではない。
そんな彼女に会ったのは、10年ぶりぐらいだろうか?
母の葬儀に来てくれた。驚きと、有り難さがこみ上げてきた。
それから約2週間後、「次男の結婚式があるから」と、足袋を買いに立ち寄ってくれた。
話を聞いてみると、うつの認定を受けて丸20年になるとのことだ。
「薬を止めたら?」と、僕なりの思いを伝えた。
「ゴミ箱に捨てればいいだけだから、今日から止めてみるね!」と言ってくれた。
「何かあったら、いつでも電話してね!」で終わった。
和の國の定休日は、毎週火曜日だ。
後日…6月8日。その日は、夕刻から東京からのご来店がある。
馬刺しは買っていたが、小ネギ、生姜などを買いに馴染みのスーパーに立ち寄った。
駐車場は広い。いつもだと車を置かないような離れた場所の木陰に置いた。
近くに一台の車があった。
僕は、買い物を済まして、愛車に乗ろうとした。
「くにおくん!」と声がかかった。
なんと、先日のやっちゃんと、お母さんだった。
「何しに来たの?」「ここによく来るの?」「ここに車止めるの?」
日常会話がはずんた。
一番気がかりだったこと、「やっちゃん、薬止めた?」と聞いた。
「ちゃんと、止めたよ!」
自宅に戻ってカミさんとも話しながら、その勇敢な行動に目頭を熱くした。
20年間、ずっと手放せなかった薬・・・、
僕の提案がきっかけで止めてもらった感動から、翌朝目が覚めた。
言葉の重さや、責任を感じている自分がいた。
それから約二週間が経った。
今朝、やっちゃんから、「もしかして小学校の先生かも」と訃報のメールをもらった。
小学5年生だった時の先生の思い出が浮かんできた。
余談だが、5年6組の歌があった。
5年6組にかけて、その歌は「ゴロちゃん、ゴロちゃん、イタズラっ子」で始まる。その後、ふざけて「お池にはまって、さー大変」と、どんぐりコロコロをもじって歌っていた。
その先生は、べっぴんさん。とてもパワフルで優しい先生だった。
やっちゃんから、今日、田舎庵(焼き鳥)でも行かない?と誘われた。
正直、定休日の夜でたまにはゆっくりしたいし、時間を奪われるのでイヤと思った。しかし、「人に必要とされているなら行く」という価値観を、昨晩知人に学んだので、早速実践。写真は胃袋に収まった焼き鳥だ。
聞くところによると、3人に一人はうつ病の人がいるそうだ。
僕は、「薬を止めて発見したこと」を聞いた。
・視界がクリアになった。
・集中力低下で運転が怖かったのがなくなった。
・実際にやめてみたら怖くなくなった。
・菓子パンを食べなくてもよくなった。(身体が欲しがるみたい)
焼き鳥を食べたり、ビールを飲んだり、お話ししたりと口が動き続ける中、「そんな人を救って、夢と希望を与えたい。」との夢を聞けた。「この体験談を、同じ苦しみの人に言えるかもしれないと思うと嬉しい。」とも聞けた。
明日は、月に一度の定期検診だそうだ。
僕は、「これも何かの縁、行くのやめることに挑戦しよう!」と言った。
やっちゃんは、「怖いからやっぱりいく。」と言った。「スモールステップ!」「スモールステップ!」と言って、居酒屋を後にした。