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小説『マザー・スノー』プロローグ

もしも貴女が、既婚者でも彼氏持ちでもなく、年も若く、子どもが出来るような行為すらしていないにも関わらず、ある日突然自分より年上の男に「お母さん。」と言われたとしたら。

どう思う? 


恐らく「ぶん殴ってやりたい」の一択だろう。

しかし、その男はシクシク泣いているのだ。

私に縋り付くかのように。

欠落した自身の何かを埋めようとするかの如く、真っ直ぐな目でこちらを見つめてくるのだ。

その瞳には一切の情欲の色がない。

私より2つ3つ年上に見えるその男の瞳の中には、萎縮して置き去りにされた幼い少年が閉じ込められている。

そして、その男は紛れもなく、私の息子なのだ…。

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