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オーロラ見るためアイスランドへ その6

アイスランド3日目の午後

ブルーラグーンへの道中、ちゃんと到着できるのか少し心配だった。
なぜなら旅行の1か月ほど前に近くの山が噴火して一時期閉鎖されていたからだ。
アイスランドは火山大国なので噴火で道がふさがったり施設が閉鎖されることがある。
ブルーラグーンはアイスランドを代表する観光地ということもあって、溶岩が流れ込んだ道路の整備や駐車場の復旧を急ピッチで進めたらしい。
関係者には本当に頭が下がる。

ブルーラグーンはいわゆる天然温泉ではなく、近くにある地熱発電所の排熱で沸かしたお湯を使っている。
アイスランドは自然エネルギーが豊かで、水力、地熱発電の割合が非常に多い。
そのため非常に電気代が安いのだという。なんとも羨ましい。
それでもまだ余っているので、大量の電気を使うアルミニウムの精製を行って作ったものを世界中に輸出している。
日本でもなんとか地熱発電をメインでできないものかと思ってしまうが、ハードルは色々高いようだ。

車窓からは煙が見える。
きっと地熱発電所から出る煙だろう。
もくもくと勢いよく建物から湧き出ている。

地熱発電の煙

しばらくしてバスは停車し、ブルーラグーンに到着した。
ここは温泉とはいうものの、いくつかの決まりとルールがある。
まずは水着を着用しなければならない。裸での入浴は不可である。

ブルーラグーン駐車場からも煙は見える
ブルーラグーンまでの歩道

そしてここはシステム化されているので、入るまでの手順をしっかり把握しなければならない。
添乗員さんから入浴までの説明書をもらったのだが、作ったのが7年前のものなので役に立たなかった😨
そして英語が多少わかる妻は女子更衣室に行くので頼れない。
こうなってはしかたがない。人のマネをするっきゃ無い作戦で、同じツアーの男性たちにくっついて行くことにした。
入口でリストバンドが渡され、これ一つでロッカーキーや支払いにも使えるシステム。

ロッカー周りの操作にやや戸惑ったが、リストを押し当てるとロックの施錠解錠ができてとても簡単。
ブルーラグーンにはスマホの持ち込みもできるのだけど、そのまま持っていく勇気がない私は家から持ってきたジップロックに詰め替えてブルーラグーンに向かうのだった。
ちょうどブルーラグーンに出るところで妻と合流できたので、スロープを通り、扉を開けるとそこは別世界だった。

湯気が立ち込める中を様々な国の人が往来している。
温水に入っているシリカのおかげで温水が本当にブルーで、ときたま吹く風が煙をたなびかせる。
風呂と呼ぶには本当に大きすぎて、比較する施設は日本にはない。
深いところでは1.4mほどもあるので、気を付けつつ温泉内を妻とゆっくり歩いていく。


すっかり顔を覚えた同じツアーの人たちと温泉内でいつもよりハイテンションで挨拶をかわす。
巨大なこの温泉の左右両翼にはそれぞれ、泥パック配布所と飲み物販売所がある。
どちらに行こうかと思って妻と相談し、まずは美容が大事だよねと泥パック配布所まで移動した。
ジップロックに入れたスマホをお湯の上に出しヨチヨチと歩いていく。しばらく歩いてようやく配布所らしいものが見えてきた。
とてつもない広さを実感する。

泥パック配布所。無料から有料のものまで

泥パック配布所ではこの施設のシリカを含んだ泥パックを手に乗せてくれる。それを顔に塗ることができるのだ。
真っ白のパックは無料で、色のついたものは有料となっている。
もちろん、無料の泥パックプリーズというと、ひとすくいの白い物体を手のひらに乗せてくれた。
鏡も置いてあるので、念入りに顔にパックを塗る。
バカ殿のような感じになっていくのが面白い。
さて妻はというと、パックを「化粧が落ちるから」という理由でまさかの拒否。
自分一人だけのパックとなった。

お湯の楽しんでウロウロしていると、同じツアーの人たちに爆笑される。
いきなり顔が真っ白になるのはおかしいらしい。
そういうみんなも白い顔をした人が多くて私も大いに笑った。

泥パックで美容を楽しんだあとは水分補給。
お湯の中を動いて別の方向に足を進める。
色んな国の人とすれ違う。
するとドリンクステーションが見えてきた。
ここでは飲み物を注文することができるのだ。

ドリンクステーション

ツアーパッケージの中に飲み物一杯無料チケットが含まれているそうなので、一杯はタダで飲める。
何にしたものかと思っていると、妻はビールを注文していた。コップになみなみと注いでくれる。
私はお酒が飲めないので炭酸水をオーダー。
冷えた炭酸水を温かい温泉で飲むはまた格別だろう。
温泉内には飲み物置ける棚のようなものがあるので、置き場所には困らない。
そこで乾杯をして記念撮影。近くを通ったツアー参加者さんにお願いした。

あたりを見ると、インスタ映えしそうな飲み物と自分を何十枚となく撮影している女性が目立った。
たしかにブルーラグーンというだけで非常に目を引く写真になるわけで、そこにおしゃれなドリンクときれいな自分が写っていれば鬼に金棒だろう。
私が炭酸水をゆっくり飲み干してもまだ撮影は終わらないようだった。

飲み物を置く場所

しばし飲み物を置く場所でまったりしていると流石に飽きてくる。
自分に備わった冒険心のようなものが湧き出てくるのだ。
そこで「ちょっくらそのへん回ってこない?」と提案したのだけど、疲れるからいいやと断られてしまった。
しょうがないので自分一人で回ることにした。
どこまでいっても青い温泉と幻想的な風景が続く。湯けむりの中からいろんな人が顔を出す。
歩いているだけでも全く飽きない。
あたりをウロウロして端のあたりまで行ってしばしぼんやりする。
10年前なら年の瀬にアイスランドの温泉に使っている自分の姿は全く想像できなかっただろう。
人生何があるかわからないし、未知の土地へ足を運ぶと何があるかわからないので面白い。
数十分ほど温泉内を歩いて妻のもとに戻る。
ブルーラグーンの滞在時間は太っ腹の3時間なので、まだまだ時間はある。
妻と温泉内を歩いて結局あったかいゾーン(広いので場所によって結構温度差があるのだ)にとどまってのんびりしていた。

そろそろ時間となったので、お湯から上がる。お湯に使ったまま屋内施設に入れるのであまり寒さを感じなかった。
バスタオルを1枚もらえるので、シャワーを浴びてタオルで体を拭いて着替えて出るだけ。
腕につけたリストバンドを返却するときに何杯もお酒を飲んでいたりすると支払いが発生するのだけど、自分は支払いを求められることはなかった。
こうやって一日に何千人もの入浴客を受けていているのだろう。
ちなみにプールサイドならぬ温泉サイドには何人かの監視員がいるため、安心して入浴ができる。

監視員さんが何人も見張っている

さあバスへと戻ろうと思ったのだけど、妻が売店に行ってしまった。
嫌な予感がする。添乗員さんがブルーラグーンの売店は高いとアナウンスしていたし、売っているものが美容・健康用品が多い。
慌てて追いかけると同じツアーの参加者さんとブルーラグーン特性の泥パックのどれを買おうかと相談しているところだった。
ここでやめろやめろと止めてしまうのは無粋だし、妻のお金なので我慢してみていた。
そうすると自分もまんまと売店で売っている塩が欲しくなった。ブルーラグーン特性ソルトだ。
お土産に2本買ってしまった。1本1999ISK(約2,400円)なり。

売店の様子。泥パックや化粧関係の物が多い

バスへの道までは温泉が湧いていて、遊歩道にも湯気が流れてくる。
ブルーラグーンの延長戦がここまで楽しめるのだ。
すっかり日も落ちて(といってもまだ午後5時すぎ)いて、ブルーラグーンと近くの発電所の光、そして湯気が合わさって、これまた幻想的だった。
まだ実物は見たことがないのだけど、まるでオーロラのような光具合だった。
このあと見ることができるのだろうか。

バスへ戻る道。すっかり陽は落ちた

今日はホテルでの夕食。
牛肉のカルパッチョが前菜。とっても食べやすい。
お酒を飲む人にはとても合いそう。
メインはアイスランドラム。この前に出たものとは違ってどっさり肉厚、たっぷり出てきた。
自分は肉が大好きで、クセのないラムはいくらでも食べることができる。うまいうまいと食べてしまった。

牛肉のカルパッチョ
アイスランドラム。厚かった

夕食後には昨日のリベンジが待っている。
そう、オーロラツアーだ。
今日こそ自然の神秘を見ることが出来るだろうか。
部屋に戻り防寒対策をしつつ、「今日は見れるといいよね」と妻と言葉をかわした。