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40歳のおっさんが電気工事士を受験した話 その8

(前回のつづき)

技能試験当日

今回も早起きをしてリビングで会場に持っていくバッグの最終確認をしました。
試験会場では一切の貸し出しがされませんので、技能試験では工具を忘れると終わりです。
工具に時短ツール、受験票に筆記用具などを入れて家を出ます。

会場へ早めに到着してからはオープンチャットに貼られていた最終確認事項を読み直したり、YouTube動画の技能試験の心構えみたいなものを見ておりました。

そして開場時間

今日の作業スペースはどれくらいだろうかと思いつつ、試験会場に入室。
学科試験と同じく大きめの会議室のようなところ。
普段3人掛けのテーブルを二人で使うようです。
隣が休みならば独占できるかも……と思っていたら私よりも先に隣には高校生が座っておりました。
真ん中のスペースは二人で使用し、自分の椅子の前には厚紙が置かれていました。
これが作業スペースで、机に傷をつけないように厚紙で保護をしているようです。厚紙の大きさはA3サイズくらい。
作業スペースはだいたいこんなもんだとオープンチャットで聞いていたので、同じくらいのスペースで練習をしており、さらにテーブル真ん中のスペースに工具を置くことができるので問題なく作業はできそうだと思いました。

周りを見ると、さすがに学科試験を突破しただけあって欠席は5%程度。女性は5%程度でした。
工具類も様々で、高校生の子たちは学校からの貸し出しでしょうか、かなり古いものを持っている人多かったです。
また来年は後輩たちが使うのでしょうね。
腰袋を持ってきている人もいました。何も言われていなかったのでこの試験会場ではOKなのでしょう。
ガッチャンなどの時短ツールを持っている人も少ないですが見かけました。

時間管理は厳格

さて、いよいよ試験がスタートします。
試験時間は40分ですが、なんやかんや1時間半は会場の外には出れなくなりますのでトイレには行っておきましょう。
10時50分には着席していないといけません。
10時55分以降は入室ができなくなります。この時部屋にいない人は全員不合格扱いになります。
試験の説明と受験票の準備、必要な工具以外を机の下に置きスマホ電源を切るように指示されます。
11時15分ごろ、問題用紙と試験の材料が入った箱が配られます。
まだ問題用紙は開けませんが、使用する材料一覧が表紙に書かれているため何番の候補問題かわかります。
「うへえ、いやな問題が来ちゃったなあ」というのが私の感想。13のうち2~3番目に出てほしくない問題でした。
頭の中に必死に複線図を思い浮かべます。
試験監督からは指示があると箱を開け、表紙に書かれている材料と相違ないかをチェックしていきます。まだ問題用紙は開けません。
念入りに確認しつつ、丸まっている電線をカットしやすいようにまっすぐにしておく等の小細工は忘れません。
確認が終わると11時28分。ぎりぎりで間に合いました。
ここにきて会場の雰囲気、工具を使った技能試験という異質な熱気のようなものを感じて変な高揚感を覚えます。
わずかに間があって試験がスタートしました。
40分間の戦いが開始されました。

技能試験本番

試験問題をめくると予想通り嫌な問題が印刷されていました。
まずは注意事項を流し読みして、4色ボールペンで複線図にしていきます。
カリカリ書いていると、すでにカチャカチャ器具を使う音が周りから聞こえますが、焦ってはいけません。
予定通り3分ほどで書き終わり、完成した複線図を見やすいところに置いて作業を始めます。
まずは伸ばしていたケーブルの切断。
変な長さに切るとその時点で不合格になる場合もあるので、気を付けてケーブルの種類と長さを見ながら処理していきます。
それからはケーブルの外装ををむいてスイッチやコンセントに取り付けていきます。
ランプ周りの難関であるのの字曲げもツールを使って上手に仕上がりました。

ところがスイッチに取り付けるためにケーブルをガッチャンでむいたとき、力の加減がおかしかったのかケーブルの外装に擦り傷がついてしまい、中心にある心線も曲がってしまいました。
曲がった部分を慌てて直してケーブルも見直して悩みました。
擦り傷は長く目立っていて、中心部分までは到達していないものの見栄えが一気に悪くなり、直した心線部分も曲がったクセが付いてやや折れ曲がって見えます。
このまま続けても完成させることはできそうですが、心線部分の大きな折れや傷は欠陥と判定されるかもしれません。
時計を見るとすでにかなり時間は経っていて、パニックになってしまいそうです。

しばらく心線部分をいじっていましたが、覚悟を決めました。
擦り傷のあるケーブルから先を丸々切り落とし、もう一度ケーブルをむいて新しい接続部分を作り直しました。
複線図の予定からケーブルが3~4センチほど短くなってしまいましたが、まだ欠陥には当たらない長さです。
新しくできた接続箇所にはキレイにできたこともあってか、大過なく作業を進めていくことができました。

結線部分を切りそろえ、コネクタやリングスリーブで欠陥が取られないように丁寧に仕上げていきます。
一通りの作業を終えて時計を見ると試験開始から32分。残りの8分は見直しと見栄えをよくするためににすべて使います。
ケーブルとしっかり伸ばし、結線した個所を見やすく花のように広げながら欠陥はないか、複線図との違いはないかをチェック。
どうやら問題はなさそうです。唯一、のの字に曲げた線の露出は欠陥である5mmに近いような不安はありましたが、今からいじって時間切れやケーブル損傷するよりはこのままで良いだろうとそのままにして40分を迎えました。
技能試験終了です。

物々しい退出とじらされる時間

終了の合図の後は自分の作品に原則触れてはいけません。
自分の受験番号の書かれた紙を作品に針金で取り付けたあとは絶対に触れてはいけません。
ペタペタ触れると失格になりますので、手は膝の上に置いて指示を待ちます。
あとは試験会場を出るだけなのですが、一斉に帰るとごちゃついたり不正を働く可能性があるため一人ずつの退出になります。
試験監督2人に囲まれ、荷物をまとめると退出票という紙が渡されて席を立ち、部屋の出口にいる試験監督に退出票を渡してようやく退出です。
200人くらいの会場だと最後に出る人は退出までにかなりの時間がかかってしまいます。だから試験直前にはトイレに行くことを強くお勧めします。
さて私の番になったので、忘れ物がないかさっと確認をして退出票をもらって出口まで歩きます。
気になるのはほかの受験生の出来具合。
部屋を出るまでに机の上に置かれた作品を20個くらい見ましたが、机の横を通る一瞬で不合格だと判断できるものが2つありました。
一つは未完成。もう一つは使わなくてはいけない器具の代わりに別のものが取り付けられていました。
こうしたものも含めて全体的に3割の人が不合格になってしまいます。そこに自分が入らないように願うばかりです。
技能試験はトラブルもありましたが、見直しをする時間もあったので自信はそれなりにありました。

しかし、しかしここからが長い。
おそらく欠陥のチェックなどは当日中に行われているものと思うのですが、合格発表は約1か月後の8月16日です。
1週間くらいでわかりそうなものなのですが、受験者数が前期だけで5万人程度だからしょうがないのでしょう。
ともかく8月になってもわからず、お盆休みの間も結果を気にしてしまうことになりました。

(つづく)