憧れの絵本の中の世界へ、水の都ブルージュ|ベルギー編 #きみ旅
ベルギーに訪れるのは人生で二度目だけれど、絶対に行きたいところがあった。 屋根のない美術館と言われている街、ブルージュ(Bruges)。
わくわくしすぎて前夜はうまく寝付けなかった。
耳栓をして、アイマスクもつけて、早めにお布団にもぐりこんだというのに心臓がずっとバクバク言っている。(ホステルで相部屋の人がうるさかったというのもあるけど!)
これから1ヶ月以上も1人で旅行をするのかぁ。
英語に対する焦りや危ない目にあわないかといった不安もあったけど、それよりも、ずっと「この目で見てみたい」と思っていた世界に飛び込めることに興奮していた。
朝起きて身支度を整え、コーヒーをぐいっと飲み干し、ホステルのアンティークでおしゃれな重いドアを開け外に出たら、なんと虹がかかっていた。
絶対に良い一日になる予感がする。自慢じゃないがこういうとき、わたしの勘は当たるのだ。
ブルージュまではゲント駅から電車で一本。駅で少し迷いながらもチケットを買い、電車に乗り込んだ。
海外の電車が異様に好きなのはわたしだけだろうか?
思い思いの行動にふける人を観察するのも、窓からの田園風景を眺めるのも、電車の内装の色味をチェックしたりするのも、楽しくて仕方がない。
(ちなみに国ごとの券売機も大好き)(メカニックなものが本当に好き)
ホステルで地元のイラストレーターが描いたという可愛いブルージュのマップを手に入れ、ご満悦のわたし。
マップを開いて街の行きたい場所をチェックしていると♥マークが。
これはなんだろう…?と見てみると…
「♥ PLACE TO KISS」キススポット!
つまり恋人同士で行くとロマンチックな場所ってこと!?こういった遊び心が本当に素敵…(ひとりで訪れてるのがなんとも悔しい)
2020年に向けて、日本の観光マップにも「♥ PLACE TO KISS」マークを入れてみたらどうだろう?外国の方は外でキスやハグをするのが好きだし、絶対に良いと思うんだけどなぁ。(つくっちゃおうかな?と思ったけどそんな場所しらなかった…)
ガタンゴトンと電車に揺られ、ブルージュに到着。
前を歩くおばあちゃんのファッションがすごく可愛い。バルーンシルエットはもちろんのこと、色合いもポップなドット柄も最高。
紅葉が美しい小道を永遠とあるくと一つのベンチに出くわした。なんと脚の部分がドラゴンになっている。
こんなのディズニーランドでしか見たことないよ。あれ、ここはおとぎの国なの…?
てくてくとひたすら歩を進めると急に開けた場所にでた。
そこには穏やかな川が流れ、石で作られた橋がかかり、白鳥が優雅に泳いでいる。蔦や芝生と建物のコントラストも、全部ぜんぶ完璧。
おもわず涙が出そうだった。
ここは絵本の中の世界だ。小さな頃から夢に描いてきた世界だ。
馬車が街の中をカッポカッポと音を鳴らしながら歩いてる。
中世の町並みに舞い上がるわたしの気持ちとは裏腹に、だんだんと雲行きが怪しくなってきた。う〜んと悩んだけどとりあえず街の中心部まで歩いてみることにした。
不思議なことに歩けば歩くほどどんどん晴れてきた。
ここは街の中心街。世界遺産にも登録されている、美しい庁舎や鐘楼が立ち並ぶ場所。
ここで一人の老人と出会った。
写真を撮っていたら声をかけれられたのだ。はじめは怪しいと思って適当に会話をしていたけど、ぼんやり聞いていたらどんどん町の歴史を紹介してくれて次々と観光スポットを案内してくれる。
どうかな〜と思いつつ、おじいちゃんだったし危ない感じがしなかったのでついていってみることにした。
「この街は昔、貿易が盛んだったんだよ」
「この建物は権力の象徴として建てられたんだ」
おじいちゃんからそんな話を聞いていたら、ひとつの小さな小さなチョコレート屋さんに辿り着いた。
「その昔、貴族が食べるチョコレートを作れる人は貴重な存在でね、いまでも皆がその資格をとるために学校に通ってる。それがショコラティエだよ。」
ベルギーと言えば、そうだ、チョコレートの本場だった!ベルジャンチョコレート。かの有名な「GODIVA」もベルギー発だもの。
さて、このチョコレート屋さん「DUMON」はこの街ブルージュのなかでも伝統的な味を守ることで有名な家族経営のお店。かわいいマダムが出迎えてくれた。
まるで宝石のようなチョコレートたちに悩んでいると、お店のマダムは「甘いのが好き?」と一言。
「苦いのより甘いほうが好き!」と答えると「じゃあ、わたしが一押しのものを選んであげるわね」と箱に詰めはじめる。
どれもキラキラとしていて食べるのがもったいない。ああ、昔の貴族はこの宝石たちを気ままにぺろりと食べていたのかあ。
チョコレートを食べながら、おじいちゃんに案内されるままてくてくと街散歩。
「昔、ここは運河でね、たくさんの外国の船が貿易のためにやってきたんだ。」
運河の先を指差すおじいちゃん。
「じゃあ僕はパブに行くからここで。良い旅を!」
そういっておじいちゃんは小道沿いにあるパブに消えていった。
彼のおかげでブルージュの奥地までやってくることができた。こんな経験、わたしだけなんじゃないかな?偶然の出会いって本当に面白い。
今朝の虹は、嘘じゃなかったのかもしれない。
わたしの勘はやっぱり当たるのだ。
{ 後半へ続く }
{ kimix }
絵を描いたり、写真を撮ったり、プロデューサーをしたりしています。女子カルチャーとかわいいものを作ること・伝えることが好き。いつかブランドをつくること・個展を開催すること・本を出すことが夢。
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