538ページの文庫本同人誌をつくった話
タイトル通り538ページの文庫本同人誌をつくった話です。今回500ページ超えの文庫本を作ったのがはじめてで組版など悩んだ部分も多かったので、今後同じような本を出すことがあるかもしれない誰かの参考になればと思い書き残しておくことにしました。
※この記録に出てくる同人誌は二次創作のBL(裏稼業パロ)なのでご注意ください。
1. 文庫本をつくる構想
まずこの本を作るにあたって構想をはじめたのは、2022年12月に発行した本のネタを練っていたときのことです。当時A5サイズで200ページを超えるネタができてしまい、スケジュール的にも間に合わないと判断し、一旦本編にあたる区切りのいいところをA5/112ページで発行しました。その時に「いつか番外編として最後までのネタを書き下ろして分厚い文庫本を出したいな~」と思ったのがきっかけでした。
2. 本の仕様
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仕様:文庫(A6)/ 538ページ / 背幅23mm
フルカラーカバー:コート紙135kg / カレイド印刷 / クリアPP
表紙:色上質紙 最厚口 黒 / 白インク
本文:淡クリームキンマリ62kg
印刷所:BRO’S様
分厚い文庫本を作りたい!とは思っても、なにより大事なのは「読みやすさ」で、読み手にとっても優しい本であるには紙選びは最重要です。
実は話のネタを考えたときは400ページ程度の予定でした。本文用紙は柔らかいけどほどよい厚みのある美弾紙ノヴェルズが好きで、印刷所さんからも「400ページ程度なら美弾紙ノヴェルズでも問題ない」と言っていただきましたが、さすがに500ページを超えてのノヴェルズは読み手に優しくないし厚くなりすぎる……と思い、淡クリームキンマリ62kgを選びました。
表紙もあまり厚手だとノドまで開きづらくなるので(経験者)色上質紙でPPなし、表紙本文ともになるべく薄めで「ノド側まで開きやすい」紙を選びました。
今回はフルカラーカバーをかけるので表紙は単色印刷でシンプルにしましたが、カバーをかけない場合は150kg程度の柔らかめの特殊紙(マーメイドや新星物語)でもよかったと思います。
3. 本文の組版
文庫本を出すにあたり一番悩んだ部分です。以前も文庫本を出したことはありましたが数年前で150ページ程度だったこともあり、余白など一からテンプレを作り直しました。
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余白:上16mm / 下10mm /ノド18mm / 小口10mm
書式:17行 / 40字 / 行間12.8mm
フォント:源暎こぶり明朝 / 9pt
そもそもの文字数が多く(全部で約23万字)ページ数が嵩むことがわかっていたので、なるべく1ページに対する文字数を多めにしたい。けれどページ数が多いのでノド側の余白は多めにとりたい。余白を多めにとると行数が減ってまたページ数が増えてしまう。でもフォントサイズを下げると目が疲れるし……。という点で今回一番悩み、たくさん調べ何度も何度も組み直しました。
余白が多すぎたり行数が少ないのはあまり好みではないので、9pt×17行×40字は個人的にちょうど良いです。実際ノド側も余白はじゅうぶんにとれていて、後半読みづらく感じても紙が薄いので思い切り開いてしまえば問題はありません。
今回本を受け取るタイミングがイベント当日だったのでどうなっているかと随分ひやひやしましたが、紙選びから組版まですべて満足いく本になりました。また今後文庫本を出すことがあれば同じ設定を使用するか、もう1mmノドに余白がほしい場合は行間で調整してもいいと思います。
4. 完成
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分厚い文庫本は並ぶとさすがに壮観でヤッタ~!とやりきった感情になります。同人は趣味で自己満だからこそこだわりたいし、悩んだぶん思っていたとおりのものが完成したときの達成感と満足感はやっぱり同人でしか得られないもので、改めて同人活動が大好きだ~!と感じました。
今後分厚い文庫本を出したい!でも紙選びとか組版ってどうするのがいいんだろう?みんなどうしてるんだろう?と悩むひとの参考になったらいいなあと思いこの記録を残しました。みんな~!分厚い文庫本を出そう〜!
5. おまけ
今回イベントにあわせて本以外のデータもたくさん作ったのでついでに見てほしいです。
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ノベルティに表紙とおそろいデザインの両面しおりと、今回は文庫本だったこともあり外出時に読むこともあるかなと思いクラフトカバーもつくりました。
クラフトカバー:ファーストビンテージ オーク 103kg / 白インク
印刷所:プリンパ様
これは完全にわたしが悪いですが、紙選びを間違えました……。思ったより色が薄く厚みがあったので、イメージに近いのは未晒86kgだったなと思います。反省と学習。
あと今回はバレンタインイベントだったのでおまけの推しカプカラーのデコチロルと、差し入れに貼るステッカー。たくさんデータつくるの大変だったけど楽しかったです!
同人活動は趣味で自己満ですが、同人誌をつくるのはいいぞ!楽しいぞ!というのが伝わっていたら嬉しいです。
ここまで読んでくださりありがとうございました!