わたしに言わないで
子どもの頃の「嫌な思い出」ってありますか?
私にはたくさん(!)あります。そのほとんどが母にまつわるエトセトラ(パクった)。
今日はそのうちのひとつをご紹介しよう。とりあえずスカッとはしないのであしからず。
小6の11月に下関から松山に引っ越してきた我が家。これほどまでに違うのか!と連日びっくりしどうしではあった。(標準服とか六年生でもランドセルと黄色い帽子とか集団登校とか学校まで30分かかるとか…)
それはそうなんだけど…たぶん10日も経ってなかったと思うけど、初めての家庭科の授業が明日あるよって日に、先生から「運針の練習するので、ボロ布を持ってくるように」と言われた。帰宅して母に言うと母は激高した。「そんなもん無いわ!お前のへたくそな裁縫の練習のために着れる服を捨てられんからな!」
「だいたいね、県外から引っ越して来とるんやから、要らんもんは全部捨てて来とるんよ!」
「それも分からんのか!お前の先生あほか!言うとけ!」
「どうしてもなんか持っていく言うんやったらこれでももっていけや!バカが!」
…そう言って箪笥の引き出しから引っ張り出して、私に文字通り投げつけたのは風呂敷だった。そんなんじゃだめってわかってはいるけれど…仕方ないからそれを持って次の日登校した。
授業が始まり、「持ってきた布を出して」と言われておずおずと風呂敷を机の上に置いた私に怪訝な顔をした先生は「忘れたならそう言いなさい」と。今思えば面倒くさいから初めから「忘れました~(笑)」で通せば良かったんだよね。うん。そうよ。でも、しなかったんだよね。当時の私は。だって忘れてないからね。たぶん、心のどっかで話を聞いた先生が母に苦言してくれると期待してたんだよね。下関で行ってた小学校の先生たちはみんなそんな先生だったから。でもね、違った。私の話を聞いた先生は厳しい目を私に向けてこう言った。
「ボロ布が一枚もない家なんかありません!嘘をつきなさい。裁縫の練習するのに風呂敷を持たせる親もいません!本当の事を言いなさい!」
なおも「本当のことだ。嘘と思うなら家に電話して母と話してください」と言う私に心底呆れたような、さげすむような顔をして、
「そう言えば信じてもらえるとでも思っているの?本当に信じられない。親をなんだと思ってるの。正直に忘れましたって言えば怒らないのに!忘れたんでしょ?」
…信じられなかったのは私の方だ。何度も何度も同じことを繰り返す私に最後、先生は
「いい加減にしなさい。みんなの迷惑よ。時間だけかかって。ほら、みんなが練習する時間が無くなる。あなたの嘘のせいで。忘れましたって正直に言いなさい!」って…
本当の事を言えって言うから、本当の事を言ってるのに。泣きそうになってる私を見てもなお、彼女は
「泣き真似までするの?もう好きにしなさい!」
そういってボロ布を一枚私の前に投げて行った。
帰宅後、ことの顛末を説明した私に母がなんて言ったと思う?
「はぁ?あんたのとこの先生、本当にバカなん?和裁やら洋裁やらせん人の家にボロ布なんかあるわけないやん!ほんと意味わからん!あほか!そう言うとけ!」
私は一応言ったよ?学校に電話して、先生と話してって。答えはNO。
「なんであたしがそんなことせないかんのよ。電話代もタダや無いんよ。文句あったらお前が電話かけてこい言うとけ!」
…………
なんていうかね…ほんっと!二人で話してくれ!口喧嘩でもつかみ合いでもいいから二人で決着つけてくれ!あほか!
っていう話を大人になってから母にしたんだけど、ほんと先生のくせに頭悪いよね~って何度も言ったあと、機嫌悪くなって…
「何十年も前のことをぐちぐちぐちぐち…そうやってあたしを批判ばっかりしとったらええわ!もううるさい!黙れ!」
ってキレられました…ははは。
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