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「意味」が未来をつくっている

わたしたちは「意味」を頭のなかにストックしている。そして、その意味が呼び出されている。

意味には”色”がついているので、その色が未来に起こる現実に対して影響を与える。

つまり、「意味」が未来をつくっている、といえる。

それは「意味」をマネージすることによって成し得るものである。

聴覚的に言えば、言葉のトーンをマネージすることになる。

心理学では、「自己成就的予言の構造」(Structure of Self-fulfilling Prophecy デマが現実になってしまう等の現象)、催眠では、「後催眠暗示」(Post-hypnotic Suggestion 催眠後も暗示が効くこと)と言う。

ここで与えられた意味があなたの注意(力)を形成している。

つまり、「意味が注意をどこに向けるのかを指示」するのである。

この「意味」が「思考」を形作る。そして、その思考がこれからどのような振る舞いが現れるのかの方向づけをする。

ここでエピソードを一つご紹介する。

歴史のあるクロスワードパズルのトーナメント決勝戦を動画をみていたときのこと。

上位三人の一人ひとりにインタビューアーが話を聞いた。

三位につけていた人がこう言った。「この大会に参加して二十年になりますが、この十年間、わたしはずっと三位でした」。

さらにインタビューアーが質問した。「そのことが今日に影響を及ぼすと思いますか?」。

彼は言った。「わたしはいつも三位だったから、たぶんわたしはこれからもずっと三位なんだと思いますよ」。そのことを受け入れざるを得ないなぁ、という雰囲気だ。

まもなく、三人がステージに上がって決勝戦が開始された。

すると、その彼はなんと終了時間の五分前に終えてしまった。こういったイベントで五分は非常に長い時間であるとのこと。

終わったときはストップウォッチを止めてもらうために手を挙げるルールなので、彼を手を挙げたのだが、驚いたことになんと、それから彼はパズルをチェックし始めていたのである(笑)。

もうお分かりかと思うが、基本的に、行動の順番が間違っている。そして、彼は結果的にふたつのスペースを埋め忘れていた。

彼は、手を挙げる前に数秒間でもチェックする時間をとっていれば一位になっていたはずである。

しかし、彼は「言葉によって、自分の意識を形成した」のである。

『自分はいつも三位なんだ』と言ってしまった。だからまた三位になってしまった。

ちなみに、その彼は大学の教授なので、言葉に対する気づきはとても高かったろうに思われる。

しかし、言葉について高い知識を持ってはいても、興味を持っていたのはまた別の分野だったのだろう。

つまり、自分がどんな言葉を使っているかによって、自分の未来を形作ることになるのだ、というところには彼は興味がなかった、ということである。


◆参考文献:クリスティーナ・ホール博士の言葉を変えると、人生が変わる NLPの言葉の使い方 2009

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