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使命のない人

国際線ターミナルの窓にバニラの花粉めらり
手つかずの仕事そのままに自殺旅行へ若者が飛ぶ
もの置の小説を鞄に入れて一人ぼっち時間を待つ
弱者の味方を演じる女の眉間のシワであそびたい

笑ってさよならだよってゲートで感動したがる
わたしの人生とかけ離れたところでまたひとつ
何かがはじまって何かが終わるみたいに
それがいつか何処かでわたしのもとへ
巡ってくるのだろうか いつか巡ってくるのだろうか

分厚い曇り空の途中で天国裁判の行列をみた
怖い顔をした審判も服を脱いでみろ滑稽だ
いたずらなエレメントあれもこれもどれも感じて
心療内科で天国への切符を買えませんかって聞く

背中をまるめた男の子が線路でひなたぼっこ
わたしの人生とかけ離れたところでまたひとつ
何かがはじまって何かが終わるみたいに
それがいつか何処かでわたしのもとへ
巡ってくるのだろうか いつか巡ってくるのだろうか

街路樹の影がなにかのかたちに見えたけど
わたしは使命のない人

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