ゼリーが固まらない!?自宅で簡単にできる実験を通して食品の機能性を理解するオンライン食品機能学実験
管理栄養士を育成する学科で教員をしています。
5月28日~6月11日までオンラインにて実施した食品機能学実験が終了しました。
本来であれば、大学の実験室を利用して食品の機能性成分について理解を深めるための実験を多く行うのですが、城西大学では5月からZoomを利用したリアルタイムでの双方向型のオンライン授業を実施していることに伴って、実験・実習においてもZoomを活用した双方向のオンライン実験・実習を開始しました。
食品機能学実験では、家で実施することのできる簡単で安全な実験から、食品の機能性を理解してもらおうと様々な実験を準備しました。
生のフルーツを使いゼラチンで固めてゼリーを作ろう!実験では、果物の酵素の作用によりゼリーが固まりません。
この固まらないゼリーの中に、ゼラチンが果物のプロテアーゼによって分解されてできる「コラーゲンペプチド」という機能性成分が作られているんだということを体験してもらいました。
またこの実験では、
・果物の酵素を働かなくさせる方法は?
・ゼリーの固まらなかった様子を写真でわかりやすく伝えるにはどのような工夫が必要だろうか?
などについて、自分たちで考えてもらい、実際に考えた方法を利用して実験に挑み、完成した「ゼリー」の写真を撮影してもらいました。
自分たちで行う実験の方法について、自分たちで考えて実行できる点にやりがいを感じたという感想もたくさん届きました。
各自が取り組んだ課題については、Microsoftアプリ「Teams」を利用して提出してもらいました。
自分の課題も含めて、実験に参加している学生全員の課題が見える形で共有されます。
異なる空間で、一人ひとりが実施していたのが、Teamsで課題が共有されることで、全員で一緒に実験に取り組んだのだなぁと感じてもらう工夫です。
課題の提出にTeamsを利用した学生からは
「みんなの意見が見やすいからすごく参考になる。こういったアプリを通すことで少し自分の考えとかも見せやすくなる」
「ほかの人の意見も見ることができたので良かったです。」
「提出のしやすさがメリットだと思う。 」
「他の人の課題を参考にできる」
などの意見がありました。
午前中で実験を行い、午後は実験で得られた機能性成分の理解を深めるための個人ワークとグループワークを行う時間としました。
Zoomのブレイクアウトルームを利用して3〜4人でグループになってもらい、課題について自分で調べたこと、考えたことをグループ内で共有してもらいました。
ゼリーを作る実験では、固まらなかったゼリーの中で起こっている現象について、各自で調べて、考えてもらった後で、グループで意見を共有してもらいました。
普段の実験よりも難しい議論でしたが、グループで議論し合うことにより、自分だけでは出せなかった答えにたどり着いたグループも多かったようです。
ブレイクアウトルームを利用したグループワークを体験した学生からは
「一人ひとりの意見が肉声で聞けるのでオンライン上でも近くにいるような気持ちになりました」
「家にいると話す機会が減っているのでグループワークで話す機会ができた」
「班で話し合いをしている感覚で良いと思いました。」
「実際に他の人の意見を聞いて、分からないことがあればその場で質問もできるのが良いと思ったから。」
などの意見をもらいました。
大学に来ることができなくなっている現状で、同じ学年の学生同士で意見交換をする機会が得られたことを有意義に感じてくれた様子で、課題に対する理解も深まったようです。
ゼリーの実験以外では、牛乳とお酢を使って「チーズ」を分離して、機能性成分「ホエイ」を取り出す実験や遺伝子組換え大豆を抗体検査によって検出する実験などを自宅で実際に実施してもらいました。
全体を通して学生からの感想では、
「学校でやるより、わかりやすかったです! 課題提出も楽しくできたので、充実してました」
「通常の実験より丁寧に説明してくれるので分かりやすかったです。また意見の共有が出来てより視野を広げることが出来ました。」
「休憩があったり、目が疲れるから早く終わってくれたりしてとても助かりました。授業自体もとても楽しくて本当に良かったです」
「とてもわかりやすく良かったです」
「とてもわかりやすく楽しく食品のことなどを知ることができてよかったです!!」
「自宅でできる実験ができて、将来小さい子になにか教えるときのヒントになりそうだと思いました。」
「5回の授業はあっという間だったけど楽しかったです。 」
「もっと食品の機能について知りたくなりました。家でも実験を行えることに感動しました。大学で学べる日がより楽しみになりました。」
「授業をやる前に朝ごはん、昼ごはんを聞いたり笑顔体操をするのが面白かったです。
この他にもたくさんの感想を書いてくれました。
今までの同級生と一緒に行っていた実験とは勝手が違った中で、楽しみながら、オンライン上で意見も共有し、学びを深めてくれたことと思います。
これからも「できることから」工夫してオンライン実験を進めていきたいと思います。