歩幅

最近、人生はマラソンに似ているなぁと思う。
遠いゴールを目指す、という意味でよく使われてきた喩えだ。

だけど、私がマラソンに似ているなぁと思うのは、
走っていないと怒られることだ。
そう、学校の体育のマラソン。
望んでエントリーするわけじゃない、あのマラソン。
「走れー!」って直接喝を入れる人もいれば、
「あいつは歩いてる」って心の中で蔑む人もいる。

運動も走るのも嫌いじゃないけど、けして得意ではないから、
最後まで走り続ける人も、ちょっとだけ全速力で走る人も、
とてもすごいと思う。

とてもすごいと思うけれど、私はあの速度では走れない。
途中頑張ることはできても、最後まで走り続けるのは難しい。
私なりのペースを探すのが苦手だった。
「走っていないと怒られる」という気持ちしかなかった。

どちらかというと、歩くのが好きだ。どんどん歩いていくのが好きだ。
だけど、私の歩幅はそんなに大きくなくて、
進むのにも時間がかかるし、そんなに遠くにはいけない。
おまけに、時々道草をくったりする。ゴールを見失ったりする。

でも、私にはこれが心地いい。
誰かと一緒なら、ちょっと走ったりもする。一緒に休んだりもする。
それが楽しい。

歩けないなら仕方ないけれど、歩けるなら走れと言われる。
人生はマラソンに似ている。
だけど、人生はマラソンではない。

私の人生を、私の歩幅で、歩いてはいけないのだろうか。
みんなが走ってるから、やっぱり走らないといけないだろうか。
そう考える時、私は走っている人を「すごい」と思えない。

走っている人はすごい。

だから、私は歩きながら、時に走って、進む。
いろんな人と出会って、喋りながら、進む。
私の歩幅で、私の速度で、力尽きるまで。


今日のデザートはデコポンでした。

(まり)

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