デザートはプリンです!

デザートがプリンだった。

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最近の記事

かいじゅうと少年②

ある晩、少年の村に盗賊がやってきました。 食料や生活用具など、あらゆるものを奪っていきます。 村の人々も、盗賊の仲間にするためみんな攫われてしまいました。 少年は体が弱かったため、村に残されました。 翌朝、少年はみんなを助けるため盗賊のアジトに向かいました。しかし、詳しい場所が分からず、森の中で迷ってしまいました。 少し開けた場所に出ると、そこには大きな大きなかいじゅうが身を丸めて座っていました。 少年は、とても驚いて、後ろにひっくり返りました。しかし、すぐに立ち上がっ

    • かいじゅうと少年①

      かいじゅうは思う。 どうしてぼくはかいじゅうなのだろうか。 かいじゅうは思う。 どうしてみんなぼくを怖がるのだろうか。 かいじゅうは思う。 仲良くしたいだけなのに。 かいじゅうは思う。 もっと小さかったら、みんなお話ししてくれるかな。 ひ弱な少年は思う。 どうしてぼくは体が弱いのだろうか。 ひ弱な少年は思う。 村のみんなはよくしてくれて、守ってくれる。 ひ弱な少年は思う。 けど、ぼくはみんなを守れない。 ひ弱な少年は思う。 ぼくに力があったらいいのに。

      • 憧れと羨みと妬み

        全部違う言葉なのに、感情はその壁を超えて行ったり来たりする。 すごいなぁ、あんな風になりたいなぁ という憧れは、 なんであの人はできるのに、私はできないの という羨みに変わり、 私がそこにいるはずだったのに という妬みになる。 「行ったり来たり」は間違った表現かな。 妬みは羨みには戻らない。 羨みは憧れには戻らない。 腐った部分を切り落とすように 妬みになってしまった感情を切り落として付き合う。 そうしてだんだん小さくなって、 いつしか関係がなくなっていたりする。

        • 道路で寝転ばなくてえらい

          「今日も生きてえらい」 元気な時はいい言葉だと思ったけれど、沈んでしまうと「死への衝動がなかっただけだ」と思ってしまう。 重心を前に傾けると勝手に足が出る。それを繰り返してなんとか歩いている。 そんな時、「ああ、このままここで転けてしまったりしないかな」「そうしたらそのまま道路に張り付いて意識のスイッチを切って寝てしまいたい」なんて考える。「次は足が出ないかもしれない」と考えてる間にも2歩進む。右足と左足は、交互に地面を押しのけながら、機械的に上半身を家まで運んでくれた。

          stranger

          私の中の知らない私 あなたの中の知らないあなた 私が嫌いなあの人も誰かにとっては大好きな人 わたしが知ってるつもりでいる世界の外側に潜む stranger 怖いけれども愛していこう 面白がっていこうじゃないか

          ただそれだけ

          美味い食べ物を食べて好きな人と美味いと言い合える人生ってそれだけで最強じゃないか?

          クラウド化された思考

          私は、自分の頭で考えている。 それを疑ったことなど微塵もなかった。 もちろん、思考の根拠の全ては、 自らの経験に基づいたデータや、どこかで手に入れた知識で、 自分で0から生成するものなどないけれど、 それでも最後に考えているのは「自分」だと思っていた。 だけど、その判断基準、例えば何かの「善し悪し」を決める時の、 その線引きは、法律かマナーか、世間の評価か。 それが何に基づいているかといえば、やはり周りからのデータだ。 違法か?マナー違反か?批判されるべきことか? ふと

          クラウド化された思考

          相席

           今日も私は、同じ喫茶店で同じ席に座り、飲み飽きたフレントコーヒーを頼む。おそらく店長の遊び心で濁点の抜けたコーヒーは、旨味も一緒に抜けたようでただ苦い。  私は待っている。偶然相席になったあの人を。 私の人生に彩りをくれた大恩人であり、それまでの価値観を破壊していった犯人を。  分かってはいるのだ。偶然相席になっただけで、また同じ喫茶店で相席になることなど、あるわけがないのだ。  だが、こうするしかないので、私は今日もあの日と同じ行為に勤しむ。もうすぐ日が落ちそうだ。 来

          シルエット

          まっさらな平原で、一人の女が踊っている。 わたしは彼女に、なぜ踊っているのかときく。 彼女は、踊りたいから踊っているのだと答える。 夕陽に照らされ、彼女のシルエットだけがまわっている。 ふと、わたしには彼女のようにやりたいことがあるのだろうかと考える。 2つのシルエットは楽しそうに踊り続ける。

          うきわぺんぎん

          うきわぺんぎん、ぷかぷかうかぶ。 みんなはじょうずにおよげるけれど、 うきわぺんぎんはうかんでる。 ちかくにかもめさんがやってきて、いっしょにうみをながめてる。 それはそれでたのしいものだ。 うきわぺんぎん、ぷかぷかうかぶ。

          ロケットぺんぎん

          ロケットぺんぎん空を飛ぶ。 ずっと夢見た空のたび。 ぐんぐんぐんぐんのぼっていって、いずれは 星をでていって、すてきなあの子と出会うのだ。 ロケットぺんぎん空を飛ぶ。

          愛する人の幸せは願わない

          今日だってあなたを思いながら 歌うたいは唄うよ ずっと言えなかった言葉がある 短いから聞いておくれ 「愛してる」 出典:斉藤和義『歌うたいのバラッド』 「愛する」という言葉の意味について、考え出したのは、この歌に出逢ってからだったと思う。 この「愛してる」をどう言う風に歌えばいいのか、高校生の私にはわからなかった。それまでは順調に歌えるのに、このフレーズに差し掛かるたび、足元が宙に浮いているような気持ちになった。 友愛、家族愛、恋愛、、さまざまな愛について日々考えを巡ら

          愛する人の幸せは願わない

          デザートはプリンです! 第5話

          「実はあなたの母は私が所属しているティラミスという組織の幹部でした。コードネームはカスタード。岐阜県のプリンのカラメルを全てカスタードに変えて、幹部にのし上がりました。そんな彼女が先日、組織の重要機密を持ち出して火星に逃亡しました。私たちはなんとしてもカスタードを捕らえなくてはいけません。そこで、あなたに協力していただきたいのですよ。」 わたしは道端で拾った汚れた石をやすりで綺麗にすることに没頭していたので、彼の話を全く聞いていなかった。 「うるさいなぁ…今ちょっとそれどころ

          デザートはプリンです! 第5話

          デザートはプリンです!第4話

          彼についていったのは、脅されたからというよりは、内容と不釣り合いなほど丸みを帯びた黒丸の話し方に安らぎを覚えてしまったからか、もしくは命を危機を感じるほどの刺激を求めていたのか、とにかく私はそれが決まっていたことかのように家を出てしまっていた。 まり

          デザートはプリンです!第4話

          好きな歌詞(1)

           私は、最近歌詞に注目して音楽を聴くようになった。というのも、大学時代の友人に誘われて曲を作ることになり、言葉を考えるのが好きなため作詞担当をつとめることになったからである。  だが、正直難しい。どんな音楽を作りたいのか、歌唱担当にどんな言葉を歌って欲しいのか、イメージがわかない。  そこで、これまで好きで聴いてきた音楽を歌詞に注目して聴くことで、好きなアーティストの価値観を自分の歌詞づくりに活かせるのではないかと考えた。  それがとても楽しい。音楽を聴くことが何倍も楽しく感

          元気の種

          平熱と微熱を繰り返し、2週間になった。まだ快調とは言えない。 体調につられて落ち込んだメンタルは、紙屑を丸めて投げつけられたら折れてしまいそうなほど脆くなっている。 元気の種が欲しいなと思った。 今はまだ、元気そのものは刺激が強すぎて、受け入れられない。 楽しいことを楽しめない。一時的に面白くても、その場で消えてしまう。 楽しいことは、人と分け合って初めて楽しいんだな、と気づいた。 消えたいと思った。 世の中に嫌気が差すより先に、自分に嫌気が差した。 ある、もうこの