見出し画像

あなたが死を選んだら、私は悲しい

若い有名人の自殺報道が、少し間をおいて2件続いた。

なぜ死を選んだかは本人にしかわからない。

だからその理由や妥当性については触れない。


ただ、ひとつ、思い出したことがある。


僕は昔、けっこう重いうつ病を患っていた。

2年ほど会社を休んで、家で寝たきり、という期間があった。


それくらいの重さになると、けっこうな割合で「死にたい」と思う。

それが妥当なことかどうかは自分にもよくわからない。

生きているのがとても苦しいので、死んだ方が楽になるなあと自然に考えてしまうのだ。


そんな時に歯止めとなったのは、家人の言葉だ。


家人は、僕がうつ病の時も「早くよくなって」などとは一切言わず、ただ僕がありたいようにさえいればよいというスタンスを取ってくれていたのだが、ひとつだけ明確に言い切られていたことがある。


「あなたが自殺すると、私がとても悲しい。だから絶対に自殺はしないで」


僕にはこれだけが、うつの期間を過ごすときの唯一の縛りでありルールとなっていた。


苦しい時には、アタマの中でいわゆる「希死念慮」がループし始めてとまらなくなる。

死にたい→本当に死んでもいいのか→でも辛い→死んでしまいたい→・・・

という感じだ。

そこには、絶対的な正解はないから、なおさら答えが出なくて悩み続け、そしてそのこと自体でさらに疲弊していき、結局「死んだ方が楽」につながる場合もあると推察する。


だが、僕の場合は、

死にたい→死にたくない→グルグル・・・グルグル・・・そういえば、妻が自殺するなといったそうだ、してはいけないんだ、だって悲しむ人がいるから自殺はやめよう

という思考に辿り着くことが出来たので、無限ループから抜けられ、実行に移すことはせずに済んだのだ。


今回、自殺した方の周囲に、そう言ってくれる人がいなかったとは思わないし、それがなかったから死んだのだ、というつもりはない。

ただ、そういった言葉をかけることによって、歯止めがかかる人がいるのも事実なのだ。


あなたの周りにいる、どこかに行ってほしくない人に、まだこの言葉をかけていなかったら、ぜひ、声に出して伝えて欲しい。


「あなたが自殺すると、私がとても悲しい。だから絶対に自殺はしないで」


と。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?