大阪の消費者団体、少なくてもパワー絶大!@プレイバック!データで見る関西人気質
Playback 20 years ago
プレイバック!データで見る関西人気質
(まえがき)
およそ20年前、とある夕刊紙に連載させてもらっていた署名原稿(本名名義)を要約・編集して紹介しています。当時とは世相が異なるため、???な内容やNGな表現があるかもしれません。ちょっとした話のネタとして読んでいただけるとうれしいです。
第10回 消費者団体
大阪は少ない組織でもパワーは絶大!
いいものを安く買うことにかけては、まさに天性の素質があるとさえいわれる大阪人。そんな彼らがもっとも腹立たしく感じるとき、それは粗悪品を高く買ってしまったときに他ならない。ふつうなら地団太踏んで悔しがって泣き寝入り…となるわけだが、そこは大阪人。転んでもただでは起き上がらないのである。ということで、今回は消費者の強い味方「消費者団体」について考えてみたい。
まず、表1で消費者団体の組織数を見てみると、東京、愛知、岡山…。肝心の大阪がランクインしていないではないか。関西圏ではかろうじて滋賀県が5位に入っているが、摩訶不思議な現象である。
(表1)消費者団体組織数
第1位 東 京 381団体
第2位 愛 知 211団体
第3位 岡 山 185団体
第4位 埼 玉 177団体
第5位 滋 賀 174団体
※経済企画庁国民生活局消費者行政第二課調べ
「平成8年度消費者団体基本調査結果」より抜粋
「アタシらにとって買い物は毎日の仕事であり、趣味でもあるんです。だから、いかにいいものを安う買えるかにこだわるんです。情報収集とフットワークの軽さのなせる業とちゃうかなぁ。それに、たとえヘンなものを買わされても、自分で返品しに行ったらええねんし、わざわざ消費者団体に頼まんでも不自由はしてませんねえ」とは、大阪市東住吉区の専業主婦、Tさん(44歳)。
言われてみれば当然のことである。大阪人は一人ひとりが立派な消費者団体のようなもの。381団体もある東京はそれだけ個人の力が弱いも考えられるのだ。おそるべし大阪パワーといったところだが、もう少し視野を広げてみると、そうのん気なこともいってられない。
問題は、ちまたで暗躍している詐欺商法のたぐいである。強引な訪問販売や怪しげな霊感商法などには、とうてい個人では対抗できないからである。やはりそれなりの組織力が必要となる。そこで、表2をご覧いただきたいのだが、こちらは消費者団体に参加している人数である。組織数の多い東京や埼玉、愛知と比べて、大阪と兵庫の人数は注目に値する。
(表2)消費者団体参加人員
第1位 東 京 81万4,000人
第2位 埼 玉 77万1,000人
第3位 大 阪 74万6,000人
第4位 兵 庫 54万9,000人
第5位 愛 知 41万7,000人
※経済企画庁国民生活局消費者行政第二課調べ
「平成8年度消費者団体基本調査結果」より抜粋
「どちらかというと関西での仕事はやりにくい。商品のチェックは厳しいし、値切りも激しいからね。それと、他社の販売員から聞いた話だけど、消費者サークルにもひどい目に遭ったらしいですよ。高級羽毛ふとんをかなり売りさばいたものの、後日、事務所にサークルの会員が乗り込んできて、価格面で抗議された末にほとんどが返品になったとか…」と語るのは、高級呉服を訪問販売しているMさん(35歳)である。
つまり関西の消費者団体は、組織数こそ少ないものの、その会員数やパワーは想像を絶するものを持っているのである。悪徳業者のみならず、関西で商売をするなら「お客様は神様」ということを、肝に銘じておくべきである。
(あとがき)
悪徳商法に引っかかっても、被害額が少ないと泣き寝入りになるケースが多く、コラム執筆時(およそ20年前)は悪徳業者が得をしたり、放置したままさらに被害者が増えることもあったようです。そんな状況を止めるために、消費者団体が業者に対し訴訟を起こして、契約や勧誘の差し止めを請求することができる「消費者団体訴訟制度」を盛り込んだ改正消費者契約法が、2006年5月に成立。翌2007年6月から施行されました。おかげで今では安心して買い物ができるわけですね。