そこそこ稼いでも生活は切り詰める大阪人@プレイバック!データで見る関西人気質
Playback 20 years ago
プレイバック!データで見る関西人気質
(まえがき)
およそ20年前、とある夕刊紙に連載させてもらっていた署名原稿(本名名義)を要約・編集して紹介しています。当時とは世相が異なるため、???な内容やNGな表現があるかもしれません。ちょっとした話のネタとして読んでいただけるとうれしいです。
第8回 県民所得
そこそこ稼いでも生活は切り詰める大阪人
儲かりまっか、ボチボチでんな。これが関西人の基本的なあいさつ。だが、バブル絶頂期でもボチボチだったし、大不況にあえぐ現在でもやはりボチボチ…。果たして、関西人にとってこの「ボチボチ」というのはいかほどなのだろうか?
まずは、表1を見ていただこう。これは経済企画庁が発行している「県民経済計算年報」(平成元年~5年の平均)より抜粋した、都道府県別1人当たりの県民所得である。やはり予想どおり東京がダントツ。1人当たり年間415万7,000円も稼いでいる計算になる。
(表1)1人当たりの県民所得
第1位 東 京 415万7,000円
第2位 大 阪 317万6,400円
第3位 愛 知 311万6,000円
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第45位 青 森 200万7,400円
第46位 鹿児島 200万5,200円
第47位 沖 縄 197万8,800円
※経済企画庁「県民経済計算年報」より抜粋
都道府県別1人当たりの県民所得(平成元年~5年の平均)
一方、大阪はというと、東京に98万円あまりの大差をつけられているものの、なんとか第2位の座を死守。かろうじて商都の面目躍如といったところ。この317万6,400円を多いとみるか、少ないとみるか。うーむ、これこそ「ボチボチ」か。
「年間3百万円ちょっとということは、月平均20万円と夏冬のボーナスか。働き盛りのサラリーマンにしては少ないんとちゃいますか。まあ、大阪府民の平均やからそんなもんかもしれませんね。でも、ぼくらにとっては、給料がもらえるだけうらやましいな」となかば嘆いているのは、大阪市東成区に住む就職浪人、山内良樹さん(仮名・23歳)。昨今の就職難にあえいでいる大卒者にしてみれば、とにかく会社に入りたいというのが本音だろう。
しかし、よくよく考えてみれば、いくら所得が多いとはいえ東京というところは世界一物価が高く、もっとも住みにくい場所だったはず。ということは、月間の生計費も相当かさむのではないだろうか?
そこで、表2に注目していただきたい。こちらは、「県民経済計算年報」から抜粋した都道府県別標準生計費(4人世帯)である。もちろんトップは東京で、月に28万2,822円の生計費がかかっている。次いで埼玉、第3位が神奈川。大阪は26万756円で第7位に登場。
(表2)標準生計費
第1位 東 京 28万2,822円
第2位 埼 玉 27万8,270円
第3位 神奈川 27万8,004円
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第7位 大 阪 26万0,756円
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第45位 鹿児島 21万9,890円
第46位 宮 崎 20万9,341円
第47位 沖 縄 19万6,518円
※経済企画庁「県民経済計算年報」より抜粋
都道府県別標準生計費(4人世帯)
「現在の自分の収入を考えると、月26万円の生活費はシンドイですわ。これやと貯金なんかナンボもできへんし、下手したら赤字や。だいたい政府の経済政策が…」とご立腹なのは、大阪市福島区の電気機器販売会社に勤める会社員、早川洋介さん(仮名・37歳)。
つまり、取得はそこそこ稼いでも生活はできる限り切り詰める、これが大阪人のマネー感覚。またしても関西人のケチっぷりが露呈してしまったが、おそらく冒頭で言った「ボチボチ」というあいさつは、関西人の上昇志向、利潤追求の姿勢を表す言葉なのかもしれない。
(あとがき)
コラム執筆時(およそ20年前)は、大阪の県民所得は第2位だったものの、現在は残念ながら第10位に後退しているようです。うーん、それだけ大阪人の稼ぐパワーが低下しているということでしょうか。とはいえ、もともと収入の多少に関わらず生活を切り詰めるのが得意な大阪人。儲かっていても、儲かっていなくても、「ボチボチでんな」と答えるバイタリティーは見習いたいですね。