テレビはタダで見るもの!?@プレイバック!データで見る関西人気質
Playback 20 years ago
プレイバック!データで見る関西人気質
(まえがき)
およそ20年前、とある夕刊紙に連載させてもらっていた署名原稿(本名名義)を要約・編集して紹介しています。当時とは世相が異なるため、???な内容やNGな表現があるかもしれません。ちょっとした話のネタとして読んでいただけるとうれしいです。
第15回 衛星放送
テレビはタダで観るもの!?
アイデア商品やユニークな商売は、関西で生まれたものが多いとか。おそらく大阪人の気質によるところが大きいのだろうが、目新しいものや個性的なことを愛するという、独特の柔軟な思考回路のなせる業である。というわけで、今回は「テレビ」を通してこの大阪人気質を考えてみたい。
表1は、NHKが調べた都道府県別のテレビ受信契約数。順位の方は予想どおりといったところ。特に上位については順当なランキングである。トップの東京とはかなりの差があるとはいえ、大阪も健闘をみせて堂々の第2位。情報化社会におけるメディアの王様として、テレビは大阪人にも重要な存在となっているわけである。
(表1)テレビ受信契約数
第1位 東 京 352万1,433軒
第2位 大 阪 242万9,292軒
第3位 神奈川 240万5,314軒
第4位 愛 知 198万9,367軒
第5位 埼 玉 181万8,363軒
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第43位 佐 賀 24万2,230軒
第44位 高 知 23万9,970軒
第45位 徳 島 23万0,399軒
第46位 福 井 22万6,928軒
第47位 鳥 取 18万6,418軒
※日本放送協会営業総局計画管理室調べ
「都道府県別放送受信契約数表(1997年12月31日現在)」より抜粋
「確かにくだらん番組も多いけど、なかには商売のヒントになったりするものもあるんですわ。ドキュメンタリーとか紀行ものが好きで、よう観てる。それに野球中継とニュースやね。子どもには『テレビばっかり観てたらアカン!』っていうてるけど、自分は家に帰ったらテレビばっかり観てるなぁ」とは、大阪市住吉区で居酒屋を経営しているFさん(44歳)。
もちろん大阪人だけでなく、現代人にとっていまやテレビはなくてはならないものとなっており、老若男女を問わずおのおののスタイルでテレビを楽しんでいる。なかでも最近、若者の注目を集めているのが衛星放送。スポーツや映画、音楽など、魅力的な番組がひっきりなしにオンエアされている。
新しもの好きの大阪人のこと、さぞかし衛星放送の視聴者も多いことだろう。そこで、表2の衛星放送の契約率を見てみると…。なんと、大阪はワースト5にランキングされているではないか。大都市圏ではもっとも低い契約率を示している。
(表1)衛星放送契約率
第1位 福 井 36.9%
第2位 鳥 取 35.9%
第3位 富 山 35.8%
第4位 秋 田 35.7%
第5位 島 根 34.4%
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第43位 大 阪 18.6%
第44位 長 崎 18.5%
第44位 佐 賀 18.5%
第46位 山 梨 18.4%
第47位 沖 縄 13.2%
※日本放送協会営業総局計画管理室調べ
「都道府県別放送受信契約数表(1997年12月31日現在)」より抜粋
「衛星放送は、他局では放送しない海外のスポーツや人気グループのライブなんかも観れるし、映画もほとんどがノーカット版。いちいちCMが入らんのもいい。でも、受信装置にも契約にもお金がかかるでしょ。それがどうもねぇ」と、大阪市北区にある某百貨店に勤務するEさん(31歳)はいう。
目新しいものや個性的なことを愛する大阪人ではあるが、その独特の柔軟な思考回路はやはり金銭感覚の方に強く働くらしい。ということは、大阪生まれのアイデア商品やユニークな商売も、結局は「銭をかけんと、どれだけ儲かるか」という発想なのだろうか。ま、そこが大阪人らしいところではあるのだが…。
(あとがき)
1987年に24時間放送を開始したNHK-BS1が日本初の衛星放送(BS放送)だとか。コラム執筆時(およそ20年前)は、WOWWOWやスカパーなどのほか、CS放送もスタートしており、衛星放送がそろそろ普及しはじめた頃でしょうか。また、大都市圏での地上デジタル放送のスタートは2003年。そういえば「地デジ化」という言葉が当時流行しましたね。ところで、現在のケーブルテレビ普及率(総務省調べ)を見てみると、大阪は徳島に次ぐ第2位。20年前の衛星放送とのちがいは…もしかしたら「お笑い番組」の充実度かも。