大阪人は健康には金かけまっせ@プレイバック!データで見る関西人気質
Playback 20 years ago
プレイバック!データで見る関西人気質
(まえがき)
およそ20年前、とある夕刊紙(廃刊)に連載させてもらっていた署名原稿を要約(改変)して紹介しています。当時とは世相が異なるため、???な内容やNGな表現があるかもしれません。ちょっとした話のネタとして読んでいただけるとうれしいです。
第3回 医療費
大阪人は健康には金かけまっせ
なにかにつけて「ケチ」だと言われる大阪人。しかし、果たして本当にそうなのだろうか? 今回は医療費にスポットを当てて、大阪人の隠された金銭感覚を浮き彫りにしてみよう。
別掲の表1は、厚生省(当時)が発表した「平成7年度の都道府県別一人当たり実績医療費」である。このデータによると、平成7年度の国民健康保険加入者一人当たりの実績医療費は、全国平均で31万6千円。
(表1)実績医療費
第1位 北海道 43万5千円
第2位 山口県 42万2千円
第3位 広島県 41万2千円
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第23位 大阪府 33万1千円
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第45位 埼玉県 24万5千円
第46位 千葉県 23万5千円
第47位 沖縄県 22万7千円
※厚生省「平成7年度都道府県別一人当たり実績医療費と地域差指数」
全国平均は31万6千円。
都道府県別で見てみると北海道が43万5千円でトップ、2位に42万2千円の山口県、3位に41万2千円の広島県と続く。反対に低い方のトップは沖縄県で22万7千円、23万5千円の千葉県が46位、24万5千円の埼玉県が45位であった。その他にも44位の茨城県や43位の栃木県、41位の神奈川県、39位の群馬県、35位の東京都と、関東地区はいずれも低額指向である。
大阪府はというと、全国平均より少し多い33万1千円で23位。多くも少なくもない、まあ、そこそこの数字だろうか。「病院通いを趣味にしてるオジイやオバアは知らんけど、ぼくらみたいに元気なもんはたいてい病院嫌いや。それに医療費ゆうてもホンマに必要最低限しか払わんよ。年間33万円はちょっと多いんとちゃうかな」と語る大阪市東淀川区の会社員、田辺春彦さん(仮名・46歳)のように、異論を唱える人も少なくないだろう。
ところが、別掲の表2に注目していただくと、状況は変わってくる。こちらのデータは表1でご覧いただいた実績医療費を、年齢構成による影響を除いて全国平均を1.000とした地域差指数である。1位の北海道や46位の千葉県をはじめ、実績医療費と地域差指数が同意程度の都道府県が多い中、大阪府はなんと7位なのだ。23位から一気にトップ10へジャンプアップ。そう、実は大阪人はかなり医療費を支払っているのである。
(表2)地域差指数
第1位 北海道 1.310
第2位 福岡県 1.216
第3位 徳島県 1.202
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第7位 大阪府 1.146
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第45位 山形県 0.844
第46位 千葉県 0.816
第47位 長野県 0.806
※厚生省「平成7年度都道府県別一人当たり実績医療費と地域差指数」
全国平均を1.000とした場合
給付金(老人は老健医療費拠出金)ベースで算出
むろん実績医療費より地域差指数の方が、実態を示すには的確なデータのはず。「大阪人はケチやと言われるけど、金かけるとこには出し惜しみしまへん。特に身体が資本みたいな仕事をしてると、医者に世話になる機会は多いな。定期健診なんかも必ず行くし、風邪ひいたらとにかく注射を打ってもらわんと…」と言う、大阪市中央区で小売業を営む大倉勲さん(仮名・40歳)の言葉にうなづく人も多いのではないだろうか。
ケチと言われる大阪人も、こと健康に関してはやはりそれ相応のお金をつぎ込んでいるようだ。だが、自分のことにしかお金をかけないのだから、これってやはりケチの証明?
(あとがき)
大阪人の現在の医療費がどれくらいなのか調べてみないとわかりませんが、おそらく金銭感覚そのものは変わっていないと思います。確かに「大阪人=ケチ」というイメージはありますが、それは無駄なことはお金をかけないという節約精神から。健康や住まい、暮らし、教育など、自分が大切にしていることにはしっかりお金を使うのも大阪人です。