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Célineエディ・スリマンが木村拓哉である理由
フィービー・ファイロの人気
2018年が私にとってどんな年だったのかというと、大好きなセリーヌがセリーヌではなくなった年。
それまでブランドを牽引していたPhoebe Philo(フィービー・ファイロ)が、2018fw(秋冬コレクション)を最後に退任し、同じ2018年にHedi Slimane(エディ・スリマン)がその座に就任‥っていうやつです。
フィービー就任前の、セリーヌのことはもう世の中の皆は記憶にないかもしれない。明らかな「おばさんブランド」に成り果てていたセリーヌ。よくわからない茶色の革に、ヴィトンなのかなんなのかよくわからないモノグラムがのった柄のバッグを売っていた。
そこへ、2008年にフィービーが就任してからはロゴも変え商品も一新。それがモデルの目にとまったことから、一躍脚光を浴びた。言わずと知れた神ディレクター。
もともと、フィービーはクロエにいたんだよね。
そのときから垣間見られた構築的なエッセンスはそのままに、奇抜でもなければ退屈でもない、気の利いた気品のあるたたずまい。クロエより高級感があり(実際にクロエより高かったが)、モダンでどんな年齢の層にも愛された。とりわけ、30代での人気はすごかった。成熟した女性でなければ着こなせないものもあるし、ジェンダーレスなコンセプトが40代、50代女性の体型変化の悩みにフィットされたのも一因だと考察している。 私の母もかつてその世代だったときは、「お尻を隠す」がマスト。セリーヌは女だの男だのいってボディラインを強調することがない。そうすると量産されて売られているような服であればメリハリがつかなくなって、野暮ったくなった。そんな淑女のお悩みを解決するソリューションが、セリーヌだったのではないかと推察。
私は、そんなトレンド真っ盛りにまだ未熟なまま産休に入ったので経済的なゆとりがなく(時間はすごくあった)、雑誌の一番すみっこに載る、ラゲージを眺めるばかりだった。小さなスペースに、輝くばかりの造形美。羨ましいなぁ!ほしいなぁ。
だけど、少し経つとその人気は本格化して、ネコも杓子もラゲージ、トラペーズ。バイカラー、カバ。不景気もどこ吹く風といわんばかりに、値段も関係なくヒットを連発した。そうなってくると、また今度‥と疎遠になる。人気のものほど、流行る前にほしいのだから。
フィービー退任のときに考えたこと
そんな日は永遠に続くと思っていた矢先、私は30代も半ばに差し掛かった。そろそろ身の丈にあったものも欲しい。と思ったそのころ、彼女の退任が発表された。えぇ! 今???!!!!!
やだやだやだ!これからってときにーー!!!
しかし、トレンドというものは一過性だからトレンドなのだ。致し方ない、、いや、トレンドなのか?世の中ならまだしもよ。私はトレンドだから欲しかったのか?いやー違う。断じて、違う!!!
なんてことないシンプルで地味な普段着の印象を変えてしまうほどの端正な佇まいにインパクト、さりげなさ。ほかを探したところで、見当たらなかった。偽ものなんか、絶対イヤだった。セリーヌは、服もめちゃくちゃかっこよかった。
これは私のこだわりだが、バッグを買うときは、かならず服のコレクションをみる。名刺入れを買うときも、ブランド全体の印象がよいと感じれば、自分の一部として取り入れてもいいかなってことになる。例えば、1点人気商品があるブランドがあり、同時にものすごいダサいグラフィックのTシャツを売っていたらあったら興ざめ。どんな人気商品でも、買うのはやめようってなる‥。そんな印象を、高い対価を支払ってまで欲しくないのだ。
毎日のスタイリングに必ず取り入れられるものといえば、バッグ。全体の空気を制するなーと思うのは、だいたいが靴かバッグなんですよね。
そろそろ身の丈に合うバッグをみつけて、その重責を担わせたいと考えていた。
なのに‥
フィービーが退任だと?!?!?!
誰だよ次は‥
えっ、え、え
えエディ?!?!?!
悲しみに暮れた。
しかしそれはエディーの功績を否定するものでは決して、無い。
エディーは何故キムタクなのか?
誤解を解きます。
私はエディのことを嫌いではない。むしろ、ディオールオムのロックっぽくもフォーマルでシュッとした感じなんかは、好きな部類。
だけど、彼は木村拓哉なんです。木村拓哉。
ピンとくる人はピンと来るって思うんですけど、彼といえば全盛期の人気ドラマ、カッコイイ役全部やってた時代がありました。
どのときも言われていたのは、「どの役を演じても、木村拓哉。」演技が下手とかではなくカリスマ性が過ぎたんですね。そして、ファンは、それを欲していたと。
エディもまた、カリスマだったということです。
どんなメゾンにいても、一貫したエディスタイル。ロックテイスト。そして、いつも熱狂的なファンがそこにつくので、どんなブランドに移籍しても、ファンと共に売上がついてくるわけですね。
フィービー大好き人間のわたしは、思った。
それなら自分でブランド立ち上げたらいーじゃん!!!と。
それなら、セリーヌファンにとってもエディファンにとってもベターじゃないかと。
エディ就任時のファッション情報サイトには、こう記してあった。
LVMH モエ ヘネシー・ルイ ヴィトン(LVMH MOET HENNESSY LOUIS VUITTON以下、LVMH)は、エディによる「セリーヌ」の売上高が5年以内に2〜3倍になると期待している。
ええ。マジで?
今や消費を握るインスタグラマーがこぞって持ってる、セリーヌだぞ?
だけどそうか、LVMHはディオールやサンローランの時と同じような感覚でファンがついてくると見込んでいたわけね。
だけど、この時の反発にはとてつもないパワーを感じた。駆け込み消費が、すごかったわけですよ。そのときのようすときたら、こうだ。
伊勢丹新宿本店では、3階の「セリーヌ」ブティックの売り上げが前年比27%増。ウエアだけに絞ると、同50%近い伸びという。1階のバッグ売り場は同25%増で、「“ラゲージ”“トリオ”といったアイコンバッグを軸に、新作の“ビッグバッグ”や“ベルトバッグ”もよく売れた」。
引用元: フィービーファイロ退任で駆け込み需要
さらに、通常のディレクター人事ではありえない社会現象が、次々と起こる。
セリーヌの人事に前代未聞の現象
①フィービーが次のブランド移籍未定だったためにセリーヌ難民と呼ばれるフィービーファンが溢れポストセリーヌに群がる
②同じブランドのファンなのに、エディvsフィービー派で2派対立。
③フィービーセリーヌのイメージが多用されたインスタアカウト、oldcéline の出現
何なら、Tシャツまでできた‥なにこれカッコéえ。
こんなようすで、流石のエディもマジ前年割れすんじゃないのかなって、関係者でもないのに、むしろ同じ(?)フィービーファンなのに、内心ヒヤヒヤするっていうか。
どうなる2019セリーヌ。
まあでも、かなりイメージが確立されてしまったのだから、きっとどこかでガラリと変化させなくてはいけなかったのだろう。
難民のみんなは、どこへ行ったかって?
続きは、また、こんど。