スタンダップコメディアンになった理由
36歳の夏、急にスタンダップコメディアンになった。
これには明確なきっかけがある。
ウーマンラッシュアワーの村本さんが主演するアイアム・ア・コメディアンという映画を観たからだ。
著名人相手に「さん」付けはなんとも気持ちが悪いんだけど、実は既に面識があって、ライブにも誘ってもらって、とても気にかけてくれているからもう呼び捨てにはできない。
まだ映画を観ていない人はどうにかしてまずは観て欲しい。
僕はアイヌとして日本に生まれ育ち、常にマイノリティとして心の葛藤を抱えてきた。たとえ表面的にそれがわからなかったとしても、ずっとだ。
村本さんは"嫌われ者"だけど、とても優しい人だと思う。マイノリティの事を知ろうとするし、自分の発信力を使って世間に知らせようとしてくれている。
映画を観てすぐにコメディアンにならなきゃいけないと思った。アイヌの事を発信するなら当事者の方が絶対にメッセージが強いから。
僕の祖父は萱野茂という知られた人だったので、僕もアイヌの世界では知られる存在に簡単になれた。その小さな世界の中で、まじめな話の講演をしたり、インタビューに応えたりしたけど、これの繰り返しじゃ世間は何も変わらないという事を感じていた。
萱野茂が知られる存在になったのは、著書が賞をとり、アイヌの小さな世界から、大きな舞台に飛び出せたからだと僕は思っている。
僕はスタンダップコメディアンになった。
目指す先は大きな舞台。アメリカで有名になる事が目標だ。
日本政府は欧米、特にアメリカからの圧力に弱い。
僕がアメリカで発言力のあるコメディアンになって、日本の先住民政策は変だって大声で叫べば日本政府は動かざるをえない。
ぶちかましてやるのが楽しみだ。
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