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気象制御を題材にした映画「ジオストーム」

気象制御を題材にした映画「ジオストーム」を、先週地上波(録画)で見ました。

気象制御と言えば、飛行機からドライアイスやヨウ化銀をばらまいて、氷晶の成長を促します。雨を降らせたり、台風等の構造を変化させたりします。

しかし、この映画はそれを遥かに超えた未来の気象制御が登場します。都市の気温を一気に上げたり下げたりします。この衛星による気象制御のシステムをオランダの少年にちなんで「ダッチボーイ」と言います。

オランダの歴史や地理を教えてくれる「銀のスケート」

M.M.ドッジ作「ハンス・ブリンカーの物語 銀のスケート」の「国を守る手」で、国語の教科書にある「ハールレムの英雄」を読む場面があります。

どうも実話ではないのですが、オランダ人なら誰もが知っているというくらい有名な話・・・

秋の長雨で水が増えている中、堤防に小さな穴が開いていて、水が流れでいています。これに気づいた少年が、一晩中指をつっこんで、水もれを防ぎまます。

低地が多いオランダにおいて、水もれは、どんな犠牲を払ってでも防ごうというお話です。

堤防の決壊は越水だけでない

堤防の決壊は、単に越水だけではありません。土に水が浸透して堤防が弱くなり決壊するパターンもあります。小さな穴から水もれしていたなら、すでに水が浸透していたと考えてもおかしくはありません。

堤防は洪水から私たちの生活を守ってくれます。しかし、大きな堤防になればなるほど、決壊したときには大きな被害がでます。国民の安全を守るためにどんな犠牲を払ってでも防ごうという思いが少年に刷り込まれているとも見えます。

国による考え方の違いはあるかもしれませんが、少年が背負っていた危険を考えると手放しでは喜べない複雑な思いです。

危険性

オランダの少年は指で洪水を防ぎましたが、失敗したときは自らの命を失います。

立派な堤防は豪雨災害を防ぎますが、決壊したときには大きな被害がでます。

気象制御は気象災害を防ぎますが、失敗したときは想定外の大きな被害がでます。

オランダの少年の行動を非難するつもりも、立派な堤防をつくることも、気象制御も否定するつもりもありません。立派な堤防をつくることで、限られた土地で人の住む場所を増やします。異常気象に対して人類が生き延びるために気象制御が必要になる時代が来るかもしれません。

ただ、気象制御がもつ危険性を考えると、ハールレムの英雄と同じで手放しでは喜べない複雑な思いです。

理屈のない楽しさ

「天気の子」や「おかえりモネ」など、ストリー的に譲れない点もあるかと思いますが、気象学的に矛盾のないように描く努力がなされています。が、この映画「ジオストーム」の気象制御の仕組みは、理屈もなにもありません。ですが、ハラハラドキドキを楽しめる映画です。


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