ジャンプの主人公はイクメンになれるのか
若い頃、週刊少年ジャンプの漫画が好きでよく読んだり、アニメも見たりしていました。
どのキャラクターが格好いいか、など友達と議論するなど日常茶飯事でした。
生徒たちを見ていると、そういうのは今も変わらずやっているようです。
ジャンプは古今東西、男女問わず人気ですね。
ジャンプの主人公は子どもたちからしたらヒーローです。特に男の子にとっては目指すべき姿になっているのではないかと思います。
そこで、女子の目線から、男の子たちがモデルとしているヒーローたちはイクメンになりうるのか、独断と偏見で考察してみることにしました。
一部偏りがあるのは悪しからず…。
《主人公篇》
・ルフィ(『ONE PIECE』)
…基本的に自由気儘。他人に合わせない。
→育児しなさそう!仲間に頼るかも。しかし、外敵からは全力で守る。
・孫悟空(『ドラゴンボール』)
…明るく元気。バトルはめっぽう強い。
→育児していないことが証明されている。家事もしない。作中に描かれている。ただし、修行だけは付き合う。
・うずまきナルト(『NARUTO』)
…火影になるという夢を叶えるために全力。いたずらっ子だったけど、だんだん成長してきた。
→仕事が忙しすぎて家事育児は奥さんに丸投げだったことが作中で描かれている。修行だけはちょっと付き合ってたのかな…?息子には反発されていた。
・竈門炭治郎(『鬼滅の刃』)
→面倒見のよい爽やかお兄さん。努力家。コミュニケーションを取って周りと上手くやるのが上手。
…家事育児めっちゃやってくれそう!なんなら会社と上手いこと交渉して、みんなに応援されながら気持ちよく育休取得してそう!
・武藤遊戯(裏)(『遊☆戯☆王』)
→プライド高い。カードバトルのことしか考えていない。勝負には必ず勝つ。人殺しになりかねなくても勝とうとする。実はエジプトの王様。
…育児しなさそう。奥さんに丸投げだろう。または、都合が悪くなったら相棒にバトンパス。勝負事しか頭にないので。
・武藤遊戯(表)
→優しく思いやりがある。昔は弱虫キャラだったけど、成長して最後はたくましくなった。実はバトルも強い。
…育児してくれそう。もともとおもちゃが好きなので、子どもの相手は上手そう!会社と交渉して育休も取ってくれそう。
・桜木花道(『SLAM DUNK』)
→不良だったが、バスケに目覚める。表には出さないけど、仲間思い。競争心に火がつくと突っ走る。
…不器用ながらやろうとはするけどうまく行かなそう。いろんな人の手を借りて、じたばたしながら自分ができることをやりそう。気持ちだけは熱い。
・坂田銀時(『銀魂』)
…普段はだらしないけど、いざというときは活躍する。
→意外と面倒見が良さそう。文句言いながら上手くやりくりしそう。
《脇役篇》
・ゾロ(『ONE PIECE』)
…剣士。常に修行している。責任感はかなり強い。
→責任感が強いので、意外と育児しそう。
・サンジ(『ONE PIECE』)
…コック。女性に優しい。
→奥さんのことを思いやって全力で育児しそう。料理上手いし。
・ウソップ(『ONE PIECE』)
…狙撃主。ウソとちょこざいが上手い。昔ウソップ海賊団と称して子どもたちと遊んでいた。
→上手く子どもと遊んでくれそう!器用だから家事とかこなすの上手そう。
・ピッコロ(『ドラゴンボール』)
…敵だったが悟空の仲間になった。責任感強め。常識人。
→悟飯の面倒を見ていたことがあるので、育児しそう。常識人なので、やることはしっかりやってくれそう。
・ベジータ(『ドラゴンボール』)
…敵だったが味方になった。頑固だけど結婚して丸くなった?
→家事育児は令和レベルではやらなそうだけど、子どもから慕われている様子から考えると全くしないわけではなさそう。
・うちはサスケ(『NARUTO』)
…ナルトのライバル。クールな二枚目キャラだったが、闇落ちした。
→作中で、子どもが産まれていたとき流浪の旅に出ていたので、育児は全くしていなかったことが判明。
・海馬瀬人(『遊☆戯☆王』)
…海馬コーポレーションの社長。お金持ちの家に引き取ってもらうためにイカサマをしてゲームに勝ったことがある。養父からは虐待に近いスパルタ教育を受ける。最後は養父を自殺に追い込む。
→家事育児は弟や召し使いに丸投げしそう。でも、教育は徹底的に厳しくやりそうな気がする。
わかりやすいようにマトリックスにしてみました。
かなり主観が入った表になったので、賛否両論あると思いますが、だいたいこんな感じになるのではないでしょうか。
考察
今回、人気キャラしか分析していません。そうなると基本的にはみんな戦闘力高めなのは仕方ありません。ジャンプヒーローの「戦闘力」とは、「仕事ができる力」と捉えていいと思います。昭和なら、労働時間の長さも換算されたでしょう。そう考えると、仕事できないヒーローは、まずいないことがわかります。
そして、横軸を何にするか非常に迷ったのですが、「わがまま度」で考えるのが一番いいのではないかと思いました。そしたら、面白いことに、バトルがメインの主人公ほど企業戦士になっているではありませんか!
海馬瀬人やサスケは、もとは主人公のライバルですが、見たかを変えれば第二の主人公といっても過言ではないでしょう。かなり自己主張が強いキャラなのは間違いないです。
ところが、令和に入って流行り出した「鬼滅の刃」の主人公、炭治郎だけは例外的な、別格のイクメンということがわかります。令和に求められている男性像が一気に変わったことを示唆している気がしますね。
逆にバトルがメインでない主人公(銀さんや花道、表遊戯)は、イクメン要素が感じられると思います。
これはなぜかというと、この3人が過ごしている時代が現代か、もしくは現代に近い世界だからだと思います。
花道はバスケをしているのがメインで、普段どんな生活をしているのかほぼ描かれていませんが、高校生です。
そして、仲間とのほのぼのするやり取りやギャグシーンも多く、晴子とのやり取りも多いので、相手を思いやったり団欒を大切にできるのではないかと考えました。また、その取り巻きたちも面白がって様子を見に来ることも多々あるので、孤立することはないだろうと…。
銀さんは、歌舞伎町という架空の世界の住人ですが、生活空間は現代にかなり近いです。バトル回もありますが、そうでない日常のギャグストーリーも多いので、銀さんの生活感が感じられるのかもしれません。
実際、同居している神楽の面倒を見たり、赤ちゃんの世話をする回もあった気がしますので、面倒見のよさは証明されています。
『遊☆戯☆王』では、日常生活を送っているのは表遊戯です。そして、表遊戯は高校生です。学校へ通う描写もあれば、友達と無邪気に遊んだりするシーンも多めです(カードバトルも遊びの一種のはずですが、無邪気には遊べない)。
暴走する闇遊戯や海馬を制御したり諭したりするシーンもあります。杏子や海馬の弟モクバにも優しい声かけをしたり、じいちゃんを大切にする描写もあることから、立場の弱い人への思いやりはかなりあると思って良さそうです。時として、自己犠牲的なとこもありますが。
花道、銀時、表遊戯は、日常生活を送ることができているという時点で、相手を思いやることやコミュニケーションが大切で、わがままなだけでは生きていけないことを証明してくれている気がします。
逆に企業戦士たちの主人公たちはどうでしょうか。
闇遊戯は、ほぼバトルの回しか登場しません。彼が日常を送っている姿には違和感しかありません。一度杏子とデートする回がありましたが、かなり珍しいほっこり&ギャグ回になっていたと思います。
闇遊戯は、実はエジプトの王様だった、ということが後から判明しますが、それを考えても現実的なキャラクターではありません。
本当は優しいのでしょうけれど、バトル多めなので相手に対して非常に高圧的です。
ライバルの海馬瀬人も、同じく高校生ですが、学校にはほぼ登校せず、社長として会社を経営しています。そして、変わった服をカッコよく着こなしている時点でかなり現実離れしています。日常生活をどうしているかの描写もなく、身の回りのお世話は弟のモクバや執事たちがやっている様子が見られます。基本的には自分がやりたいことを優先します。コミュニケーションを取るときも相手に対して高圧的です。たまに弟にだけは優しさを見せますが、本当にたまにです。
ルフィ、悟空、ナルト、サスケは架空の世界の住人であり、かつバトルがメインのキャラクターということで生活感はあまり感じられません。そして、彼らに共通することは、やりたいと思ったことは誰がなんと言おうとやり通すこと。
では、なぜ同じように架空の世界の住人であるベジータ、ピッコロ、ゾロ、サンジ、ウソップがイクメンに向いているのかというと、彼らには生活感が感じられ、かつ現実的な思考をするからではないでしょうか。
ベジータは結婚して奥さんや子どもとのほっこりするシーンが多めですし、サンジは料理をしたり、女性を大切にする描写が多いです。ウソップは子どもの相手をするシーンが多めで、戦闘力が低い分、庶民に近い感覚を持っています。
もしくは、我儘な主人公のお世話をしたり、暴走を食い止めたりする描写が多いので、イクメンのイメージがつきやすいのかもしれません。そして、主人公のわがまま度が高ければ高いほど、周囲の我慢強さや真面目さが強い気がします。このあたりは、ゾロやピッコロの役割でしょう。
結論
ジャンプヒーローはイクメンになれるのか、という問いに対する答えは、キャラクターによるということでしょう。
そして、令和に近付けば近付くほど、ジャンプヒーローはバトルがメインだけではなくなってきている気がします。バトルメインということは、仕事メインということと考えられます。平成までの主人公はそういうのが受けますが、令和になるとそうでもないんじゃないか、というのは炭治郎を見ればわかります。
「ONE PIECE」は少し特殊で、主人公はルフィですが、話が長いのと、仲間たち一人一人の個性が際立っていて、ルフィを押し退けて仲間たちがメインになる回もあるので、ルフィだけ注目されるということも少ないです。だから、様々なタイプののキャラクターに思い入れがしやすく、平成から令和まで、いろんな時代に対応できる気がします。
子どもたちのヒーローであり、憧れの姿であるジャンプヒーロー。これからイクメンの視点を取り入れると、もしかしたら男の子たちの仕事や生活への価値観も変わってくるのかもしれません。
逆に、ジャンプ好きの女子たちは、よく考えなければなりません。眺めているだけならOKな男性と、実際に一緒に生活を共にする男性は分けて考えた方がよいのはこういうことではないでしょうか。
ちなみに、私は十代の頃はサスケや闇遊戯が好きでした。しかし、夫は真逆のタイプなので、まあそういうことです。