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悪役も幸せになってほしい

※ネタバレを含みます。ご注意ください。

 『琅琊榜』をのんびり見始めて数ヶ月、公式サイトの相関図とにらめっこしながら、なんとかもうすぐ終わりに近づいてきています。

 終盤になると、主人公と誉王の戦いになるのですが、この誉王の出自がついに明らかに!しかし、明らかになればなるほど誉王が可愛そうになってきます。なぜかというと、誉王は最後までいろいろな人に利用されてばかりで、本当に心から信頼し合っている仲間などいなかったからです。

 本当に誉王のことを大事に思っていたのは、本編にあまり登場せず、且つ誉王にさほど大事にされていなかった本妻だけだった、ということがわかります。

 奥さんのお腹に子どもがいながら、最後は夫婦ともに自決してしまうという展開は、見ていてとても辛かったです。

 そもそも、誉王ははじめから主人公にも利用されていたし、父親の皇帝にも利用されていたし、実は謀士の榛般弱にも利用されていたし、都合のいい人でしかなかった、というのがあまりにも非道すぎると思いました。

 もちろん、自分の利益ばかり追求して、それなりに悪いこともしていたのですが、それにしたって、悪党には悪党の仲間がいるはずです。しかし、誉王にはいない。さらに、誉王は本当は仲間がいないことに途中まで気づいていないという…。いや、気づいていないというより、気にしていなかったのか、とにかくその辺りは無頓着なように見えました。

 私はお人好しな性格なので、過去に周りから駒のように使われ、要らなくなったら捨てられるというような経験をしたことがあるので、誉王には共感してしまいました。

 ドラマや漫画で「好きなキャラクターは?」と聞かれたら、十代から二十代前半のころは格好いいキャラクターを答えていましたけど、大人になると好きなキャラクターよりも、共感できるキャラクターは誰か、という視点で物語を読むようになります。それだけ人生経験が増えてきたということでしょうか。だから、「好きなキャラクターは?」と聞かれると、昔は答えられたけれど、最近は答えられないことが多いです。しかも、好きなキャラクターを答えると「自分の人格=好きなキャラクター」と見られそうでつい考えてしまいます。

 よくよく考えると、私が最近共感するキャラクターは、中国ドラマだと敵側が多い気がします。『琅琊榜』だと誉王で、『宮廷の諍い女』だと安陵容です。自分なりに幸せになろうと頑張っているのに、報われないキャラクターにかつての自分を投影しているのかもしれません。

 だからこそですが、少年ジャンプだと初めは報われなかったけど、今はその努力が実を結んだキャラクターは、応援したくなります。『ONE PIECE』ならコビー、『SLAM DUNK』ならキャプテンの赤木です。昔はゾロや流川が好きでしたが、今は全く興味がありません。大人になったのですね。

 悪役は悪役なりに、幸せになってほしいなあと思うこの頃です。

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