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執務室と編み込みの幸せ
取り急ぎ、筆をとるってこういうことなのだと思います。
今日の幸せな気持ちをできる限り新鮮なうちに取っておきたくて。
手短にお伝えすると、
今日、会社の先輩に髪の毛を編み込みしてもらいました。いつもお世話になりすぎてて、自分のメンターで、しごできで、遅くまで対応いただいている先輩に。
今日は首が詰まった服を着ているから、せめてものスタイルアップとして、髪を三つ編みにして出勤しました。顔周りにレイヤーを入れてもらっているから、すぐに三つ編みが緩くなってしまうけれど、ピンで何とか持ち上げてごまかしてました。
夕方くらいにレクチャーしていただいていると、
「今日、三つ編みしてるのかわいいね、自分でやったの?」
「はい」
「ちょっと緩んできちゃってるから、直してもいい?」
「あ、そうなんです、ちょって出てきちゃってて、、、」
ちょこっと直してくださるのかなと思ったら、オフィスで髪をほどいて、先輩社員に編み込みしてもらう事態が発生。
私の髪を編みながら、先輩は、前職の会社での話をしてくださいました。
「新卒で入った以前の会社で、地方配属になって、知り合いもいなかったとき、よく一人でヘアアレンジの練習してたんです。」
鏡も見ずに編まれた後ろ髪は、エルサのようにきれいな編み込みになっていました。
先輩の当時のさびしさもそっと感じながら、くすぐったさと、嬉しさで。
その後の作業はニマニマが止まりませんでした。
入社してから半年がたって、私はまだ同期で仲の良い子ができなくて。
うまく心も開けないし、ノリもよくないし、大して面白い話もできない。なんで他の人みたいにうまく世渡りできないんだろう。気を使わせてしまうのだろう。
そんなぐるぐるとした悩みが、どうでもよくなりました。髪を編み込んでもらって、それを諸先輩方がほほえみながら見守ってくれた時間が、たった3分なのに、温かくて。
まだ24年しか生きていない人生だけど、人生にこんなご褒美みたいな時間があるのなら、いくらでも踏ん張って生きていきたいと思えました。
労働の中に、こんな人間関係のきらめきがあるとは思いもしませんでした。ただ資本主義社会の歯車として、馬車馬のように利益を追求して、生きた心地のしない顔になっていくのだ、それが社会で、会社なのだと思っていました。
思えば、この間も私は、友だちに髪を乾かしてもらって、パックを塗ってもらって、ハーブティーを入れてもらいました。
きっと私の心の中には世界を実感したばかりの無垢な5歳児が眠っていて、だから、こんな風に甘えさせてもらえるのが、くすぐったくて、たまらなく嬉しいのだと思います。
私が編み込みされている間、他の部の先輩方が、
「母と娘みたいだね」
と言っていました。
その先輩に限らずですが、直接言語化も明文化されてもないけれど、今、私の周りには、私のあがきと成長と日々を温かく見守ってくれる方々がいます。「いつもそばにいるからね」って直接言われたわけではないけれど、見捨てないでいてくれると信じられる方々に囲まれています。これ以上何を望みましょう。
魔女のキキが母に元気だと手紙を書けたのは、家族じゃないのに、家族に似た柔らかな優しさをくれる人が世の中にいると気づけたからではないでしょうか。私は今、そんな魔女のキキと同じです。
私もいつかそんな柔らかな優しさを誰かに渡せるようになりたいです。