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移動書斎としての手帳
『書斎:創造空間の設計』という、1987年のエッセイ集を読んだ。安野光雅、赤瀬川源平、荒俣宏、上野千鶴子、妹尾河童など名だたる著名人が、自慢の/理想の/概念としての書斎について語っている本だ。まだインターネットもパソコンもない時代、隔世の感もあるが、思考・創造の場としての書斎を、著述家たちがどのようにとらえ、構築しているのかがわかり面白かった。
食卓で在宅ワークをするようになって五年がたつ。私もいつか書斎が欲しい。大きくなくていい。部屋じゃなくてもいい。都度片付けなくてもよくて(今は食事のたびにフルリセットが必要なので)、必要なものがいつでも取り出せて、好きな万年筆を飾ったりもしたい。大きな机が理想だが、スペースがあればあるだけ片付けずに汚すたちなので、小さな机でいいかもしれない…
パソコン1台で完了する仕事をしている私にとって、書斎は必需品ではない。気分をあげるために、もしかしたらクリエイティブになるために、あったらもっといいだろうな、という、いわば奢侈品だ。だからこそ夢で終わっているわけだけれども。
そんなことを考えているうちに、はたと気づいた。
私のシステム手帳は、移動書斎といえるのではないかと。
お気に入りの万年筆がささっていて、必要な文具はすべてポケットに入っている。過去の思考の記録は並べ替えて整理できるし、これから考えるための真っ白なフィールドは無限に追加できる。
これ一つ持っていけば、カフェも、電車の中も、私の書斎になる。
システム手帳って、なんて素晴しいんだろう!
移動書斎としてのシステム手帳は、私にとっての必需品だ。