
鎌倉の映画記念館へ
「映画字幕翻訳の仕事 1秒4文字の魔術」という企画展が1月19日(日)~3月30日(日)まで鎌倉市川喜多映画記念館で開催されている。
最初にXで情報が流れて来た時は少し遠いので行くつもりはなかったのだが鶴岡八幡宮のすぐ近くでもあり観光兼ねて夫が車を出してくれるというのでちょうど仕事が終わった今日、天気もいいし行ってみることにした。
朝9時半にさいたま市の自宅を出て、首都高から湾岸線を通り、今 話題のフジテレビを横目にレインボーブリッジやベイブリッジを渡り、横浜横須賀線を通って鎌倉へ。鶴岡八幡宮すぐ前の駐車場に到着したのは11時45分。2時間ちょっとの小旅行である。



まずは鶴岡八幡宮へ。平日の昼間だというのに結構な人出であった。やはり外国人ツアー客が多いが、日本人の若者たちも多くて驚く。平日にこれだけ人がいるのだから土日の参拝は大変そうだ。








腹ごしらえも済み、ようやくメインの映画記念館へ。鶴岡八幡宮からはほんの数分である。電車の場合は、鎌倉駅東口を出て小町通りをまっすぐ歩き、鶴岡八幡宮手前で左に曲がってすぐの右側にある(詳細は下記HPを)。
観光地に近いのに、静かな佇まいの古民家といった風情の建物である。大きくはないので、すぐに見て回れそうだ。入館料は200円(市民は無料)。

が、中に入ってみると、確かに広くはないのだが、字幕翻訳黎明期からの歴史や翻訳家大先輩の皆さまのお言葉が書かれた説明文をすべて丁寧に読んでいくと、思いのほか時間がかかるとわかった。
中でも感激したのは、戸田奈津子さんが訳された『地獄の黙示録』の手書き原稿である。当然だが、1つ1つのセリフを昔はペンで書いていた。映画ならセリフだけでも1,000以上はある。1本の映画字幕を書くだけでペンだこができそうだ。
しかも「半角アケ」「全角アケ」「イタリック」などの指示も、今ならキーボードを打つだけで済むのに、すべて書かなければならなかった。何という手間ひまだろう。考えただけで気が遠くなる。
そういった先輩方の苦労の末に、今の字幕翻訳の作り方や表記などのルールができあがり、そこだけは連綿と続いているのである。ありがたいことだ。
そしてまた、戸田さんほどの翻訳者でも『地獄の黙示録』の原稿は清水俊二氏が直しを入れた跡があった。誰でも駆け出しの頃があるのは当たり前のこととはいえ、何だか親近感を感じてほっとしてしまった(恐れ多いことである)。
貴重な手書きのポスターや先輩方のお言葉を記録に残しておきたいところだったが、残念ながら中は撮影不可であった。ぜひ、この企画の資料を作っていただきたいと切に願う。
さて、せっかく車があるのでついでに海を見に行こうということになった。夫の伯母が鎌倉に住んでいたので、子供の頃よく稲村ケ崎の浜辺には泳ぎに行っていたのだそうだ。
稲村ケ崎公園は、むかーし、大学生の頃に行って以来で懐かしかった。その向かい側にカフェがあり、海を見ながらお茶をしようと行ってみたら、そこは何と温泉併設。海で泳いだり、サーフィンをした後で体を温めて帰ることができるのだ。カフェには足湯もあって快適そうだった。

今日は1月末だというのに3月のように暖かかったので、浜辺や公園にも人が多かった。上の写真で遠くに見えている江の島も、今はインバウンドの観光客が多くて道を歩くのも大変なくらいだと聞く。
また、このすぐ先の江ノ電「鎌倉高校前」駅付近には、アニメ『スラムダンク』で有名な踏切がある。今日も車で通っただけだが、あまりに多くの若者がスマホを手に写真を撮っていたので、夫と2人で思わず「おぉー!」と叫んでしまった。
ということで、中で写真が撮れなかったためメインの映画記念館よりも観光の写真が多くなってしまったが、年末年始、仕事に追われて家にカンヅメだったので久々のお出かけが良い気分転換になった。
翻訳の刺激もたっぷり受けたので、今夜も同業の字幕翻訳者に敬意を表しつつ、海外ドラマを観まくろうと思う。
映像字幕翻訳者: 浦田貴美枝
仕事のご依頼は下記までご連絡ください。
kimiehonyaku@gmail.com
著書:『夢を叶える字幕翻訳者の翻訳ノート』
https://onl.la/Xngg8Ey (kindle版)
『続・夢を叶える字幕翻訳者の翻訳ノート』
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『夢を叶える字幕翻訳者の翻訳ノート』
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