靖子ちゃん
わたしは、かなり大森靖子の曲が好きだ。
何がいちばん好き?って聞かれたら選ぶのは難しいけれど。
靖子ちゃんは大抵、女の感情に対して的を得たことを言っていると思っている。
わたしの大好きな きゅるきゅる という曲には
「愛してるからできることなんて そんなに多くはないのよ」
という歌詞がある。
わたしはずっと、この歌詞が正しいと思っていた。
正しいというか、そうだった。愛しているからできることなんて、言うほどなかった。
好きな人のためでも髪の色は変えられなかったし、自分の好きな服を着たかったし、多少無理してでも会いに行くなんてできなかった。
しなかった。
そこまでの価値はなかった。
普通に好きじゃなかっただけなんだろうなぁと、あなたに出会ってからはわかる。
靖子ちゃんの言う「愛してるからできることなんてそんなに多くはないのよ」は、愛してはいるけどそんなに安い簡単な女じゃないよ、の意味だとわたしは思っていて
それは、いい意味でプライドが高くて、自分のことを大切にできて、自分に自分で価値を見出せてる女の子のことなのだ。
あなたと過ごしていた時のわたしは、あなたが好きだと言った暗めの色に髪を染めて、リボンのついたフリフリの洋服を着なくなって、たった1時間会うためだけにかわいくして会いに行くとか、そんなことをした。
え?じゃあわたしはわたしが思う、いい意味でプライドが高くて、自分のことを大切にできて、自分に自分で価値を見出せてる女の子じゃないの?
そうではなくて。
わたしが全てだと思っていた大森靖子は別に全てなんかじゃないってだけ。
それにわたしは、自分と似たような人と自分を同一人物だと考えてしまう節があるけれど、わたしって靖子ちゃんじゃないし。
ずっと靖子ちゃんが全てであったらいつかわたしは靖子ちゃんの曲に溶けてしまう。
だから、全てじゃなくていい。
そして、わたしが価値のある女の子だっていうのは大好きなあなたが教えてくれた。
わたしはずっと自分の価値がわからなかった。
自分を大切にしろって言われても、ピンと来なかった。
今でもそう。
でもあなたが教えてくれた。
自分で探せなかった自分の価値を、あなたが見つけてくれた。
あなたが言うなら、わたしは価値のある人間。
あなた頼りのわたし。
でもそれでもいいじゃん。
あなたが大森靖子を聴いた時に一番に思い浮かぶ女の子がわたしでありますように。(聴かないとは思うけど。)
かわいくて、キラキラしていて、それでも"綺麗じゃない"女の子の部分。
あなたに見せたい。
あなたは少し、わたしのことを美化しすぎているから。
そんなに、素直で、かわいくて、いい子じゃないよ。
わたしのこと、嫌いになって?
うそ、嫌わないで。
だいすきだよ。