執着

わたしは、良くも悪くも執着しすぎてしまう所がある。
人にしても、見た目にしても。


あなたにはよく、見た目に執着しすぎだよと言われていたね。



わたしがこれだけ見た目に執着してしまうようになったのは中学生3年生になってからだった。

小学生からインターネットを始めて、たくさんの言葉や情報を得るようになって、人の嫌なところ良いところを沢山見た。


小学生のわたしは、インターネットが全てだった。
毎日毎日楽しくもない学校に通って、毎日学校でも家でも泣いて、そんな時インターネットの人間はいつだってわたしのことを救ってくれた。


中学生になったわたしは、学校が楽しくなった。
新しい環境に、新しい友達。
この頃からわたしのいた場所では、"顔が可愛い人"がいつも話題の中心だった。

好きな人が好きになるのも、いつも顔が可愛い子だった。


そうしてわたしは、「顔の可愛さがこの世の全て」だと気づいた。
(今考えればそれだけではないと分かるのだけれど。)


人に興味を持ってもらうには顔が可愛くないといけなかった。
人に選ばれるためには顔が可愛くないといけなかった。


人一倍承認欲求が強いのに、わたしは可愛くなかった。


自分の顔にコンプレックスを抱えたまま中学の三年間を過ごし、ついに卒業と同時に二重の整形をした。

痛かった、心も、体も。

なんで痛い思いをしないと楽しく人生を歩めないんだろうと思った。


痛い思いをして満足したのかといえばそうではなく、もっと可愛くならなければいけないと

わたしはわたし自身に"かわいい"という呪いをかけた。


高校生になったわたしは少しだけ痩せて、髪も染めて、メイクをし、以前と比べて可愛くなった。
周りの友達も可愛い子が多かった。
一緒に可愛くなれた。

可愛くなければ振り向いてくれないような男も振り向いてくれるようになった。

少し、満たされた気がした。


でもずっと、何か違った。

わたしがわたしを認められなかった。

わたしがわたしを可愛いと思えなかった。


こんなこと親には言えなかった。
申し訳なかった。
いつだってわたしのことを一番可愛いと言ってくれていたから。


誰にも理解されないまま、コンプレックスだけはどんどん膨らんだ。

苦しくなった。
死にたくなった。



そんな時、あなたがわたしのことを好きだと言ってくれた。

わたしのことを、いちばんかわいいね、って
いっぱい、いっぱい言ってくれた。

褒めてくれた。
認めてくれた。

わたしが自分の顔の悪口を言うと、怒ってくれた。
俺の好きな子の悪口言わないで、って。

わたしの大好きなあなたが、わたしのことを可愛いと言った。

それだけで今までの全てが嘘だったかのように、わたしは可愛くなれた。

初めて、わたしがわたしを可愛いと思った。


今でもやっぱり自分の顔に対するコンプレックスは消えない。
あなたがいくら褒めてくれようとも、わたしの顔に1番向き合ってるのはわたしだから。


けれど、あなたのおかげでわたしは少し楽に生きれるようになった。

泥沼でもがいて苦しんでるわたしを引っ張りあげてくれた。



これからわたしがまた、自分の顔で苦しんで、消えたくなって、死にたくなってしまう日があるかもしれない。

そんな時、あなたはもうそばにはいないけれど

それでもあなたは、たくさんの言葉をわたしにくれた。

たくさんの愛をくれた。



それだけで、わたしはまだわたしとしてもう少し生きてみようかなと思えるのだ。




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