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hiyorimibiyori
小さな公園−エッセイ
インタビュアー「先ほどの話の続きをお願いします。」
私「ああ、ええと、どこまで話したかな?そうそう、私は仕事が休みの日はいつも、家の周りを散歩するんです。家と言っても、自宅じゃなくて、地元から遠く離れたところにある、見知らぬ土地のよ。」
インタビュアー「散歩がお好きなんですね。」
私「別に好きってわけじゃないのよ。ただ、無性に歩きたいってときがあるの。まあ、好きといえば、好きなのかな。それで、見知らぬ土地の、住宅街にある街路樹の中を歩くの。でも、不思議なことに、なぜか懐かしさを感じるの。初めて通る道なのに。デジャビュっていうやつ、分かるでしょ?」
インタビュアー「ええ、よく分かります。」
私「その通りを歩いていると、いつも思うんです。もし自分がここに住んでいたら、どんな人生を送っていたのかなって。そして、
銀杏の街路樹の間を抜けると、小さな公園があって、子供たちがブランコで遊んでるのをよく見かけるわ。平和な世界なの。でもね、実際は、自分の家とそれほど変わんなかったりするのよね。」
インタビュアー「僕もむかし、公園で遊んでいました。小さい頃に。でもみんなそうでしょう?今は違うかもしれませんが。」
私「そう、結局は大人なんてみんな、ブランコの使い方を忘れてしまってるんだわ。」
インタビュアー「その通りです。」
私「誰かが向こうの方から歩いて来たら、すれ違いざまにこう言ってやりたいわ。もし、昔の時代に生まれたあなたが、今の時代のあなたを見たら、悲しむことでしょうねって。」