裸一貫!つづ井さん
Kindleで買って読みました。現在連載しているものはもちろん読んでいるのですが、それ以前のエピソードも読みたいし、せっかくだから(少ないけれど)お金を払って読もう!と思ったからです。
私がつづ井さんのことを知ったきっかけはSNSでした。Twitterだったかな、私がフォローしている人がリツイートか何かしていたものがタイムラインに流れてきていて、それを読んだんだと思います。たぶんそう…だと思います。
つづ井さんの、というか彼女の描く漫画に対する最初の印象は「なんだか和むし笑える四コマ漫画」みたいなものでした。つづ井さんや彼女の友達が送る日常の「第三者が読んでおもしろいと思うエピソード」を抜粋して漫画にしている、ような。
漫画になっているのは彼女たちが送る日常(ときに非日常)です。
オタク的なネタ、それに伴う奇想天外な行動(すみません)、その奥にある「何かを好きだという思い」などが、基本的にはゲラゲラ笑うような形で描かれています。あんまりシリアスではない、というか。
でも、いつのときだったかつづ井さんがnoteに書かれた文章を読んで以来、私は彼女の漫画をもっと真剣に読むようになりました。
いや、姿勢としては寝っ転がりながら読んでいるんですけど。感情移入の具合がもう一歩突っ込んだ段階になったというか。
私は彼女に比べれば(比べるものでもないと思うけど)、漫画もアニメも見ていないし、舞台は学校の催しとかでしか行っていない人間です。
ですので、彼女らの「好きの度合い」が私にとって未知の領域にあることを示すエピソードを読むと「よくわかんないけどなんかすげぇな」と遠くを見つめるような気持ちになったりします。
私自身は特に好きな俳優やグループがおらず、応援しているチーム(プロ野球とかJリーグとか)みたいなものもないし、ここ最近は昔ほど音楽も熱心に聴いていません。
小説や漫画は読むので好きな作家はいますが、ファンというのとはちょっと違う感じというか。。。応援しているアニメーション制作会社とかはあるけど、そういうことではないですよね?
そういう風に生きているので、私自身は所謂「ファン」の心理にはとりわけ疎いです。
「好きな芸能人は?」って聞かれても困りませんか?「好きな映画」とか「好きなアニメ」とかはあるけどさ。。。
それでも、彼女が書いたnoteに出てくる「自衛のために自虐する経験」については同じくらいあると思います。
結婚していないとか子どもをほしがっていないとか趣味に没頭する休日とか。
私とは違う「そうではない生活」を送っている人たちからすれば、私の生活は「かわいそう」であり「寂しいもの」であり。。。
「それの何が楽しいの?」と変なものを見るような目で見られることもしばしば。
今はそういうことを言ってくる人たちと少し距離を置けるようになってきたのでだいぶマシですが、最初の頃を思い出すともう。。。
それはそれはひどいものでした。
そんな私からすれば「生きているのが楽しい」と朗らかに謳い、気のおけない友人たちと好きなものについて語り合い、誰に言われなくても好きな対象に惜しみなく愛情を注ぐ。
そしてそういう生活を揶揄されても「自虐しないように努める」つづ井さんの姿は、私の両目にジワッと涙を滲ませました。
あの、ひとりで過ごす時間が楽しいけれど、他人から「結婚とか考えないの?親孝行とかさ」と言われて引き攣った笑顔を浮かべていた日々。
あの、みんなが興味あることに興味がなくて、私が興味あることにみんなが興味ない世界にいると感じた、もっとも孤独を感じた日々。
それらを後ろめたく思い、「やっぱり(みんなが言うように)自分はどこかおかしいんじゃないか」「間違っているんじゃないか」と自分で自分を殺そうとしていた日々。
大丈夫だよと言いたい。楽しいと思っていいんだよと言いたい。
でも「周りの目なんか気にするな」なんて言わない。
それができていたらもうとっくにやっているし、苦しい思いをしたり悩んだりなんてしていないから。
できないから辛い。嫌なのに逃れられない。そういうときに責められたってもっと辛くなるだけだから。「え、私が悪いのかな」って思う。
そうですよね?かつての私。
だからまず、周りの声は気にしてしまってもしょうがないよ、と言いたい。
気にしなくなるまで勝手に楽しく暮らしていたらいいからねと続けたい。
そのままでいいんだと。楽しいと思っていることを、好きなことを辞めなくたっていいんだよと。
そうやって暮らしていたら、いつの間にか毎日の「楽しい」が溢れていて、それを楽しむのに忙しすぎて、準備とか下調べとかにも時間を食われててんてこまいで、周りの目とか気にする余裕がなくなっちゃっていると思うから。
今の私のように。
私は最近そういう領域に足を踏み入れたので(やっとだ)、以前と比べるととっても楽に生活しています。
職場で暇な時間に「もういい歳なんだから結婚しなきゃ」「子どもは早くつくっといた方がいいぞ」と言われても(純度100%のセクハラですよね)、以前ほど気にしていません。
私は基本的に暇な時間は山とか焚き火とか、映画とかアニメとか、漫画とか小説とか音楽とかのことを考えて過ごしているので上の空なんですよね。
っていうかどうでもいい。
つづ井さんの漫画は連載中のもののうち、いくつかは無料で読めます。だからまぁ、別に買うまではしなくてもいいのかもしれない。
特に「2」の方は私も既読のエピソードが多かったわけですが、いいんです。そんなことはわかっています。
でも繰り返し読みたいものじゃないですか、本って。これはきっと私だけじゃないはず…そうですよね?
それに私は
「良いと思ったものにはできる範囲で(できる範囲ね、ここすごく大事!)お金を払う」
「ほしいと思ったものが本だったら迷わずに買う(紙・Kindle問わず)」
「そのためにもできる範囲で頑張って働く(できる範囲で、です!死ぬほど辛いのはもう嫌だ。まだ死にたくないから)」
と決めています。
だから買っています。お金に余裕なんてないけどさ、なんだか無性に嬉しくて、そしてちょっと誇らしい気分。
平日の夜にシャワーを浴びてサッパリした状態で同じエピソードを何回も読んでいます。ときにはレモンサワーとか飲みながら。あるいはミロとか飲みながら。
同じところで笑い、違うところで笑い、次第に「うんうん」「そうだよね」と言い始めて。
眠くなったら歯を磨いてお茶を飲んで眠ります。ラジオとか聴きながら。
他人から見たら「虚しい生活」なのかもしれません。
でも私はちっとも虚しくないし、とっても楽しいのでやめるつもりはありません。
生きているのが楽しいと感じることができるって、素晴らしいことだと思いませんか?