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感受性の墓場/虚構と読書感想文

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感受性の墓場/虚構と読書感想文

最近の記事

男性嫌悪のホストクラブ初体験

モラトリアム延長戦小学校の頃に男子から容姿に関して言われた一言でずっとコンプレックス、男性嫌悪。ありがち。 それから男子と全く喋れなかった。男が嫌いだと思った。小学五年生のあの日に芽生えた強烈な嫌悪はずっと消えなくて、中学生活は息を潜めるようにして過ごした。 このままずっと怯え続けるわけにはいかない。 逃げようと思って、高校から女子校に進学した。 女子校生活は天国だった。 私は女ではなく、1人の人間として呼吸し続けた。 女だけど女ではない、女でいる必要がない。男の存在しない

    • 男性嫌悪な男ドルオタクの戯言

      ハローアイドル 大学4年生、22歳。あと2ヶ月で社会人になる予定。 (書き初めたころはそうだったけど、数年かけて書いたせいで今ではすっかり社会人。それはご愛嬌) 小学生の頃から男性アイドルが大好きだった。最初に好きになったのは東方神起。そこからはとにかく色々。日本男性アイドルの金字塔ジャニーズ事務所から、ジャニーズ事務所の対抗馬である他事務所の様々なグループ、メンズ地下アイドルからインターネット発の配信者グループまで、様々な男性アイドルを好きになった。 生涯をかけて応援す

      • 朝井リョウ「生殖記」

        キラーワード、パワーセンテンスに貫かれて、身動きが取れない。 面白かった。とても。 朝井さんの作品は、エンタメが純文学に昇華されている。起承転結のはっきりしたストーリー展開ではないのに、ジェットコースターに乗っているかのような急上昇・急降下を物語の中で何度も味わえる。 でも単純な登り降りだけではない。読者に何かを考えさせずにはいられない。純文学の定義とは違うかもしれないけど、私にとっての純文学の大きな構成要素は二つで、芸術性と内省促進だ。この作者の作品は、後者の要素がとても強

        • 村田沙耶香『信仰』より「最後の展覧会」

          余談だけど、ドヴォルザークの「新世界より」がとても好き。メロディーも曲名も全てが。 『信仰』は途中まで読み進めていて、この話だけ読んでいなかった。最後の一話だった。 電車の中でKindleで読んで、涙が出てきた。冬の夜の人気の無い電車で、外の暗さと車内の暖色の光のコントラストにやられて、センチメンタルな気分だったのかもしれないけど。それでも泣いちゃった。小説を読んで、こんなに心が苦しくなって今の感情を言葉に残したくて仕方なくなるの、久しぶり。お行儀悪いけど歩きながら必死にス

          高瀬準子「犬のかたちをしているもの」

          たった今読み終わった。無性に悲しくて、泣きそう。触れられたくない部分に触れられたようでとても苦しい。 メインの登場人物は三者。薫、郁也、ミナシロさん。郁也のことずっと読み間違えて「ゆうや」だと思っていたから、優しい柔らかい響きの名前のイメージだったのが、急に骨がしっかりした人物像に変わってしまった。失敗した。 私は男性に共感することはないので、郁也の気持ちは分からない。終始身勝手だなとしか思えなかった。郁也が薫を愛しているとは思えなかった。だから、薫とミナシロさんと、愛に

          高瀬準子「犬のかたちをしているもの」

          「チワワちゃん」

          大学一年生の冬、友達と新宿のレイトショーでこの映画を見た。時間になるまでファミレスかどこかで時間を潰して、寒さと眠気で少しだけぼんやりしながら映画館に向かった。確かゴジラだった気がする。人はまばらで、この映画に登場するような派手な見た目の人が多かった。 (今考えるとホストかメンズ地下アイドルの集団がいた気がする) 真夜中の新宿で爆音の華やかな音楽に包まれるのは心地良かった。美しい女の子や男の子が目まぐるしく踊り回るのも、極彩色の夢見るような映像にも、まだ世間慣れしきっていない

          「チワワちゃん」

          森美術館「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」

          研修で身の周りが落ち着かなくて書くのが遅くなってしまった。記憶が薄れてしまって反省。 森美術館は今年度初めて?ではないか。でも土日に行ったのは確か初めて。そうだ、前回確かchimpomで行ったけど、平日だからかびっくりするほど空いていて見やすかった。だから土日の混み具合は想定外。ちょっと人酔いして具合が悪くなってしまった。 O JUN 非常に不勉強なので初めて知りました。とても素敵。 油彩画のあの見たときの迫力や衝撃、絵の具の重なりの持つパワーがとっても大好きで、油彩画は

          森美術館「六本木クロッシング2022展:往来オーライ!」

          「静かに、ねぇ、静かに」

          久しぶりに書く。 家をリフォームしている間、ノートパソコンを仕舞い込んでいたせいで書く気にならなかった。そもそも仮住まいの3階の1Kは狭すぎて、暇つぶし以外の目的で本を読む気力も起きず、本を買っても置く場所はなく、本を読んでも書くのが億劫で。 っていうのは全部建前でホストクラブにどハマりしていたせいで書く気が起きなかったんでしょう。(と言っても、一日一冊くらいは何かしら本を読んでいたけど。それ以上に快楽に生きすぎていた。) 久々に感想文を書きたくなったのでパソコンを開きま

          「静かに、ねぇ、静かに」

          お正月嫌い

          年末年始が嫌い。年末の方がまだいい、年始は大嫌い。 色々理由は考えられるけど、一つは家族のこと。 私の両親は、非常に急がしい仕事に就いている。父は夜型の仕事をしており完全な昼夜逆転生活、母は営業で朝から夜までずっと帰ってこない。だから、幼い頃からずっと一人だった。小学生の頃から夜ご飯は一人で食べていたし、誰もいない家で眠ることも多かった。同じような家庭の子あるあるだと思うけど、「今日ご飯いらない」と親に連絡したことはほぼない。連絡するとしたら「今日ご飯ある?」だけだ。(共感

          お正月嫌い

          MOT Annual2022「私の正しさは誰かの悲しみあるいは憎しみ」

          東京都現代美術館に行くのは初めてだった。清澄白河って思ってたより渋谷から遠い。噂には聞いてたけど現美の建物って随分綺麗。 大学で美術館の勉強をしていたとき、日本のアートコレクター界の発展が遅れているのはアート=高尚なイメージが強すぎて、若者をとりこめていないのが第一課題だと聞いた。確かにその通りだと思うし、西洋美術館の常設展とか庭園美術館とか、綺麗だけど少し堅苦しく感じる。現美はその点近代的でよかった。無機質なコンクリートと木のバランスが良かったしテラスもよかった。美術館は限

          MOT Annual2022「私の正しさは誰かの悲しみあるいは憎しみ」

          「僕の狂ったフェミ彼女」

          韓国ってN番部屋事件とかもそうだし女性の地位が凄く低い国なのだろうか。韓国のこと何も知らないから好き勝手言えないけど、82年生まれキムジヨンに続きこんな韓国発の小説呼んだらイメージが変わってしまう。 とても面白かった。主人公の男が傲慢で、身勝手で驚いた。結局この人は彼女を自分の付属品としてしか変えようとしなかったし、変わろう変わろう言って何もしてない。おもしれー 普通の会話描写にもあちこちに皮肉が込められていて面白い。 例えば、主人公が彼女を「僕の彼女です」と紹介したあ

          「僕の狂ったフェミ彼女」

          「殺人依存症」「残酷依存症」

          先日「死刑にいたる病」を観た。 いつだって残酷なものは人を惹きつける。勿論、性的嗜好に加虐性や被虐性をもった人はそうだろう。でも、私みたいな残酷なものを見ると一週間近く気分が落ち込んでふとした時に泣きそうになるような人間でも、この世に蔓延る残酷さからは逃れられない。 色々な理由があると思う。 一つは、残酷なものを非日常と捉えていて、自分の知らない世界に憧れるから。 一つは、幸福な自分を実感するための道具だから。 そういう意味では浜真千代の「自分より惨めな人間を見ると安心

          「殺人依存症」「残酷依存症」

          バンクシー展 天才か反逆者か

          所感 先週行った二つの展示会がかなり空いていたから、今日も平日だし空いているだろうと勝手に思っていたら、凄い混雑。行列にならざるを得ない鑑賞でストレスが溜まってあまり楽しめなかったのが残念。人酔いして気分が悪くなってしまった。 会場が広くないことや世界規模の巡回展であることも理由の一つだとは思うけど、バンクシーの集客力に驚かされた。老若男女問わず多くの人が来場していた。アートファンでない、普段美術館に足を運ばない人も多いだろう。バンクシーすごい。 バンクシーについて本当

          バンクシー展 天才か反逆者か

          2121年 Futures In-Sight展

          Chim↑Pomとハシゴしたからちょっと疲れた状態で行ってしまったの後悔。 全ての展示テーマの問いがすごく抽象的。参加者の言葉として書かれている文言もすごく抽象的だから非常に理解が難しい。でもその分思考させる。Chim↑Pomより思考させるという目的が濃い気がした。思考って美しいから好き。 最初に見た未来で使われてそうな言葉辞典面白かった。 私は「マジ」や「ぴえん」に至るまでの現代若者言葉も結構好き。この時代のカルチャーをきっと反映しているし、古文と同じなんだろう。深い

          2121年 Futures In-Sight展

          ヘルマン・ヘッセ「クヌルプ」

          今日は夜の間ずっと暇があったから、読んでいなかった本を読む時間に宛てた。これを書いたらお風呂に入る。 ヘッセが本当に好きだ。ヘッセみたいな人がパートナーとして側にいてくれたら、苦しいけど私の求める幸福の一端が埋められそう。傲慢すぎて笑う。 青春小説なのかなと思ったけど意外と違った。でも青春の喜びを表現する場面を見ていると心が搾り取られる。別に私はこんな青春経験してないけど、青春の内容が重要なのではなくて「輝かしい青春時代」を目の当たりにしてもう戻れない憧れを追体験すること

          ヘルマン・ヘッセ「クヌルプ」

          Chim↑Pom展:ハッピースプリング

          どうして人は美術展に行くのか? ほとんどが新しい知見を得るためにいくのだと思うし、信じている。だけど実際に思考の化学反応が起きる人ってどれくらいいるんだろう。足を運んだという文化的事実に満足して終わりそう。勿論それでもいいと思う。だけどアーティストが本当に高尚な目的でアートを発信しているなら、受け取り手がいないとアートそのものが完成しないのでは? ドントフォローザウィンドウのスペースにいた人たちが邪魔だっただけの書き散らし。 本題 上にもつながるけどとにかく「思考」さ

          Chim↑Pom展:ハッピースプリング