
立版古で遊ぶ①「浮世床組上絵」
はじめに
記事は、わたしなりの完成と、調べたことまで掲載しています。
何も知らないまま作りたい方、
自分で調べる楽しみを大切にしたい方は、
作り終えてから、気が向いたら記事を読んでいただいて、
楽しんでいただけたら幸いです。
出典:「浮世床組上絵」(東京学芸大学附属図書館)
少し厚めの紙にA4サイズでプリントアウトしました。
昔は、薄い版画に裏打ちして、厚みをだしていたそう。
のりで、表の絵がにじまないよう苦労したとか。
便利な時代になりました。
にじみの苦労や、味わいもなく進めます。
切る前にじっくり眺めてみる
完成の状態が分からないまま、切って進んでいくのもいいですが、
立版古には完成図が、小さく、ふわっと描かれていることがある。
今回の理髪所にもありました。


理髪所の看板が屋根にかかって、前に人々がいる?といったところか。
のり代や、絵の周囲にも注目
のり代に記号や数字が書かれていることがある。
どことどこをくっつけたらいいか、
狭過ぎるのり代に、作者の親切が詰まっている。

絵の周囲も、切ってすぐポイしてはもったいない。
何か文字が書いてある!
くずし字で難しいが、判読アプリだのみで
見ると
「極志ん」「さんばつ(散髪)」の文字が見えました。
「浮世床」も見えます。
他は難しくてまだわかりません。。
掛け軸の文字も気になり調べてみると、
「萬々歳」のようです。
いざ切っていこう
ハサミをどう入れようか最初は迷う。
大まかにきると進めやすい。

そこから細かく余白を切り落としいく。
すれすれまで余白なしに切るのもいいが、わたしはざっくりにしました。
組み立てていく
切っていったん作業台に並べ、配置を考える。

切ったものをいよいよ谷折り山折り、組み立てていこう。
大きな建物の壁から作っていく。
本を読んだり、茶菓子を楽しんでいる風な人たち。
このひとたちは理髪所の待ち客か。
のり代と、畳らしき台の上にあるニョロニョロ印が一致したので
楽しんでいる人たちは畳の上に。
理髪所の部屋奥、
掛け軸がかかる下あたりは空白がある。
ここに、畳の台を貼るよう数字で印が打ってある。
畳の台を作って、近づけると一致。うれしい瞬間。


理髪所は江戸時代からも社交場の一つだったと
どこかで読んだことがあるので
この時代が明治だとしたら
その雰囲気が漂っていて
楽しそうでいいなあと思いました。
さあ、次は屋根だ。
完成した屋根を家と合体させるのが結構難しい。
人の配置
完成図には、番号が振られています。
人物の、のり代に番号がある。
分かる範囲あてにして、あとは思うままに配置してみました。

気になる人
後ろを向いてうつむき加減な白いワンピース姿の少女か少年。
ヘアスタイルも独特で、エキゾチックな雰囲気。

気になる吊り下げ旗
読むと「千金丹」とある。
千金丹ってなんだろう。

調べてみると、香川にある健康食品の会社のサイトにあたりました。
会社の歴史が丁寧に掲載されています。
千金丹は明治時代に作られたおなかに効く薬だったようです。
派手な格好をして、各地で売り歩いたとか。
同じような派手な着物の男性の手がさみしそうだったので
なんとなく、ひっかけてみました。
千金丹のセールスマンが気になり
もう少し調べると独特な格好をした資料が多々ありました。
以下は、明治15年発行の一例です。

傘をさして、小さなバッグをもっていることが多いようです。
どちらも当時は珍しいものだったのでしょう。
ランプとなぞの壺
立版古のパーツをみていると、ランプが2個、壺が2個最後に残りました。
ランプは下に小さなのり代があり
明治の商店図には屋根付近にランプがあることがあるので
看板近くにつけてみることにしました。

壺みたいなものはどちらが上か下かも分からず、
古い理髪店写真を見ていると、洗面桶があるところもあったので
お客2名に、水壺2つかと思いそばにおいてみました。
解釈は様々なのでまた別の配置があるかもしれません。

そういえば掛け軸横の時計は3時すぎだった。
たのしみ
立版古を組み立てていると、はからずも明治時代のことについて
派生して調べることになりました。
理髪店の内装や、水の使われ方など見どころ多い作品。
掛け軸の上の陰陽マークも気になりますし、
まだまだ調べることがあります。
完成後の撮影
人物を動かして色んな角度から寄って撮影すると、
ただ見ているのとは違った楽しみがあります。


また、3Dアプリで撮影すると
立体的に把握できて今時な楽しみになるとおもいました。
穴のないところに穴があってびっくりしますが
下記のリンク先ビューワーから
360度動かして見られるので面白い。
写真を加工して、パラパラ漫画のようなアニメーションも作成して見ました。
いろいろな楽しみ方ができると思います。
