才能について~VTuberを軸に~
前回「敗者復活戦としてのVTuber」という記事を書きましたが、その時に書き洩らしていたことがあったので今日はそのことを書きたいと思います。
そのことというのは、人が何かをやる時の才能や適性についてです。
才能と適正というのはもちろん別々の言葉ですが、本稿では二つをゴッチャにしてほぼ同じ概念のものとして扱います。
私は前回の原稿で、VTuberという文化が未知の頃の初期にVTuberを始めた人たちは「既存のオタク界隈(ニコ生配信者・声優・アイドルなど)で芽が出なかった人たち」だったのではないかと想像しました。
そして私が思うに、その人たちはVTuberへの適正や、VTuberをやることの才能があったのです。
適正や才能以外にも単純に「運」だったり、(好きな言葉ではないですが)「先行者利益」などのいろんな要素が絡んでいたり、あとはやはり当事者たちの猛烈な「努力」があったりで昨今のVTuber業界の大成功だったり急成長があったりするとは思うのですが、それでも一番大きな要素は才能と適正なのだと思います。
私はホロライブ所属のVTuberさんを主によく見るのですが、初期メンバーを見るにつけ「よくぞ同時期にここまでのキラ星たちが集まったものだ……!」と敬虔な気持になります。なんせ初期メンの頑張りが無ければ後に続く後輩たちへのバトンを渡せなかったのですから……。
そこで思うのは、他の分野では芽が出なかったが、VTuberの「アバター」という武器を手に入れれば爆発する才能がそこにはあったということです。「芽が出なかった」というのはなかなか失礼な言い回しですし、もし他の当初目指していた分野で活動を続けていればそこでも成功者にはなったかもしれませんが、それはあくまでもifの話であって実際的なブレイクを掴んだのはVTuberとしての活動だったという事実は変わりません。
才能と適正について考える時に私はいつもこう思うのです。
急に話は飛びますが、おそらく明治時代にもVTuberの才能がある人はおそらくいた筈です。しかし、明治時代はVTuberはおろかインターネットすら影も形もない時代なので、本当はVTuberになったら大大大成功した筈の門左衛門氏(果たして明治っぽいネーミングなのか?)は己の内に秘めたる才能に全く気付くことなく、一生を終えたことでしょう。
それは我が身にも同じことが言えます。
4024年に「スペースモンチュラー」というまったく新しい文化が発生、大流行するとしましょう。そして私はその「スペースモンチュラー」の適合者であり、その活動を始めた次の瞬間には今の貨幣で換算すると8072兆円を瞬時に稼げる才能の持ち主であると仮定しましょう。
しかし、今は当然4024年ではないので「スペースモンチュラー」の「ス」の字すら存在せず、私は安月給である我が身を一生呪いながらただただ死に向かって這いつくばっていくだけなのです。
極端な例ですけども、要するにそういうことです。
「○○がこの時代に生まれるのには早すぎた(or 遅すぎた)」という言説をよく耳にしますが、その意味では才能を発揮するためには生まれ落ちた時代の「運」も重要な要素と言えそうです。
しかし、ただただ腐っていても面白くありません。
明治の門左衛門氏は生まれた時代の関係でVTuberにはなれませんでしたが、きっとその当時で「吾はこれに適性があるのでは?」と思った分野に対して努力、邁進した筈です(大成する・しないは別として)。
私も残念ながら「スペースモンチュラー」にはなれませんが、その次の最善手をいつも探しています。
要するに、人は今じぶんが持っている手札で戦うしかないのです。配られたカードの中で「一番これが強いかも……」という役を作る、結局はこれの試行錯誤の繰り返しなのではないでしょうか。
VTuberとして成功した初期メンは、「いざ勝負!」の瞬間に「VTuber」という強い役を作れる手札が揃っていた、とも言えるかもしれません。
私の記憶では、ホロライブの初期メンバーが配信で「VTuberになったキッカケは?」とリスナーから聞かれた時に、一番よく返していた答えは「なんだかよくわからないけど、面白そうだからなった」だったかと思います。
よくわからないけど「面白そう」だから飛び込んでみる。人生を振り返った時に「ここがターニングポイントだったな~」と思える瞬間、そこには最大瞬間風速の「直感」であったり「蛮勇」が発揮されているのかもしれません。
大江健三郎言うところの「見る前に跳べ」の精神があるかないかで、人生はガラリと変わる。そこに私は人生というものの妙味を見出します。
最後は小難しいことを書きましたが、要するに言いたいことは「私の味気ない日常に彩りを与えてくれるVTuberさん本当にありがとう! 好きです、これからも応援します!!」ということです。
ありがとうございました。
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