涙少なく、笑顔溢れる甲子園。
こんなに今、この時分に相応しい甲子園が行われるなんて思ってもいなかった。
本来なら春の選抜大会で死闘を繰り広げたであろうチームが
甲子園での1試合に全てをぶつけて挑んだ。
インターハイが中止で
他の競技も軒並み全国大会は中止なのに
何故、野球だけ行うのか。甲子園だけ行うのか。
それには大人の事情は大きいだろう。
あれだけテレビ放送され、満員になるスタジアム。
そこまでの興行収入が見込める高校スポーツはなかなかない。
サッカーは年明けに全国大会が行われ
テレビ放送などもあり盛り上がるが
今年はどうなるのだろうか…。
どうしても薄暗くなってしまっている今の世の中に
高校生の眩しい笑顔は
例えそのいっときでもモヤを晴らしていってくれた。
若さと、エネルギーと、汗と、白い歯と。
もう私には一生持つ事の出来ない
高校生のパワーをこれでもかと言うほど感じてしまった。
「あんなに楽しそうに野球をするんだ」
この6日間で何度そう思っただろう。
あの眩しい楽しそうな笑顔は多分一生忘れない気がする。
今回は異例の交流試合。
トーナメント制ではないからこそ
例え負けて悔しくとも涙がこぼれないのだろう。
最初はそう思っていた。
でもそれは間違いだった。
負けても涙がこぼれないのは
負けたのにハツラツとした笑顔で去っていけるのは
仲間と野球ができたからだ。
それも、春に一度諦めた甲子園という舞台で。
もちろん、涙あふれる選手もいる。
今の仲間との最後の試合が終わった事
野球をする時間が終わってしまう事
仲間との別れが近づいた事
ここまでの道のりは決して平坦なモノではなかった。
全力を出しきれなかったからかもしれない
単純に負けが悔しいのかもしれない
色んな事が脳裏に浮かんで涙もあふれるだろう。
勝手にそう思っている。
でもその敗戦の涙も
いつも見る敗戦の涙とは何となく違ったのだ。
元気を貰ったと思う。
上手く受け止められたかは分からない。
貰った元気を上手く使える自信はない。
でも、今回のこの甲子園での交流試合をみて
多くの人が暗い世の中を明るくしてくれたと感じたのではなかろうか。
きっと本人達はそんなつもりはないのだろう。
だからこそ、光り輝き
私達は朧げだが
勇気や希望、元気
そんな陽のパワーを感じ取ったはずだ。
そして思った。
次は大人が頑張る番だとも。
来年も高校生に同じ経験をさせないように…。
来年が難しければ再来年。
目に見えない対戦相手だから
どうしても時間をかけないと解決する事は出来ないが
出来る限り高校生が、子どもたちが思い切り青春を謳歌出来るように。
大人の私に出来る事は
恥ずかしながら感染しないよう気をつける事しかないのだが
それが繋がれば必ず前進していると信じたい。
新しい日常でもスポーツを楽しめる日が
今年のような思いをする学生を出さない未来の為に。
その為にまず考えるだけでも一歩、いや半歩でも前進しているはずだ。
甲子園という舞台ではなくとも
各地では地方大会が行われている事も忘れてはいけない。
彼らも私が観た時、同じように光り輝いていた。
若さとは素晴らしい。
希望を与えてくれた
全力でプレーをしてくれた
未曾有の事態にも負けずに野球を楽しんでくれた彼らに
改めて感謝と賞賛の拍手を送りたい。
なんて偉そうに言ってしまった…。
ありがとう。
本当に気持ちのいい試合ばかりでした。
誰かの目に感謝の意が伝わればいいな。。。