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【書評】価値とは?

note記事でこの本を知った。

「文章で伝えるときいちばん大切なものは、感情である。 読みたくなる文章の書き方29の掟」pato(アスコム)

記事が興味深かったため本屋で立ち読みして吟味してから、買おうと思ったが通勤の通り道にある狭い丸善には在庫がなかった。だからAudibleで聞いてみた。

まえがきはかなりわざとらしく面白くない冗談が続いていた。その時に辞めればよかったのだが、せっかくなので我慢して聞き続けた。するとなかなか共感できることが書いてあった。

自分の文章を書く源は絶望で文章を書くのは大嫌いだ。文才がないから読まれる文章を書くために努力した。バズとはなにもネット上で拡散されることだけがバズではない。人の心を動かせばそれは立派なバズだ。それはライターでなくとも現代人は仕事などで日常的に行っていることである。などなど。

そのようなことが書かれている朗読を聞きながら、なるほど、いい本だな、実物の本も買ってみようかなっていう気になりつつも何かしらの違和感があった。

中身がない。空虚なのだ。とてもいいことが書いてある。noteを書く上での参考になることが記述されている。でも何かが違う。

「Amazonで「鬼滅の刃」のコミックを買ってしまったのに、どうしても読み始める気になれない。」って記事がとんでもなくバズった。

と書かれている所で聞くのを辞めて、ライブラリーから本書を削除した。

そのバズの正体は解説など聞かなくともわかる。ただただ、鬼滅の刃の知名度による便乗記事である。やり方としては読まれればなんでもいいってものだ。

そして、著者のブログとXを眺めてみた。違和感の正体がわかった。

記事が、どれも下品で中身がないのだ。読んでいないがタイトルからして読む気になれない。世の中の9割以上を占める下劣な連中のウケはいいかも知れないが黄金の精神を持つ人間はわざわざ読もうなどという気には到底なれないような内容のものばかりだった。

要はエロ記事の集合体なのである。

読まれるか読まれないかが判断基準なら、本書の著者は正しい側の人間なのかもしれない。そりゃ、エロは読まれる。

大昔、ある週刊誌で辛口評論家が2チャンネルの管理人ひろゆきについて書いていたコラムを思い出す。

ひろゆきが2チャンネルの利益で年収が億を超えていると聞いた女子高生が「セレブじゃん」って言ったことに対して辛口評論家が「馬鹿か」と一刀両断にしていてかっこよかったのでよく覚えている。

2チャンネルのように誹謗中傷の寄せ集めを助長し、人々の心にたまった邪悪な感情で汚してしまうようなもので社会問題を引き起こし裁判で悪と断罪されるような無価値どころが害になるものを作った人間でも金さえ稼げば正義とはあまりにも悲しく短絡的な考え方で質が低い。

ということで、価値があるかないかの基準では本書に価値はない。

ゴミを固めて立派な形にして金メッキを塗ってもゴミはゴミだ。

金塊がゴミに隠れていたらゴミにしか見えないが、いつか誰かがゴミを払いのけて金塊を見つけ出してくれるかもしれない。しないかもしれない。

私は後者の方になりたい。土に埋もれたダイヤモンドのままである方が、大衆を騙して無価値なものを価値があると扇動するより遥かにいい。

最もいいのは宝はここにあるよとして差し出すことだけれど。

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