見出し画像

【エッセイ】人類滅亡えの強き希求(600)

1990年湾岸戦争が勃発した時、小学4年生だった(はず)。

イラクがクェートに侵攻、アメリカ軍主体の多国籍軍がそれに応戦したイスラムと資本主義の戦争。

「第三次世界大戦が勃発し、日本にも核兵器が飛んで来るかもしれない」

大人たちの無責任な発言。こどもだった私は心底怯えた。クラスメイトも同様だった。

防空壕を作ろうと言う話になって男子たちで作りに行ったことがある。女の子たちはロマンがない現実主義者だったから誰も来ない。

こどもの時は女の子の方が男よりも圧倒的に現実主義者だ。大人になっても男の方がより多く夢を見る。その傾向は変わらない。ただ、歳を追うに連れて男の中にも現実主義者が増えて行く。

無断で誰の所有かわからぬ竹藪に入り込み、草を囲って防空壕作成を試みた。案の定、誰も世界が終わるだのとは本気で信じておらずそのまま野球をしていた。私は野球などしたくなかったので防空壕作りに皆が飽きるとそのまま帰った。

その頃から本気で世界が滅びて欲しいと思っていた。南海トラフとかそんな半端なのではなく地球自体が一瞬で飛び散ってしまうような破滅がいい。痛くないしね。

つい最近、地球の何倍も質量の大きなマイクロ波の塊が軌道上をかすめたとのネット記事を見た。もしその塊と地球がぶつかっていれば人類は滅亡していたらしい。

ちゃんと地球に当たっといておくれよーって思った。目に見えないものでよくわからずに死んでいくのは生まれたことが最大の不幸というニーチェの説を強く支持する私には魅力的だ。

ってなことを小学生が主人公のある小説を読んで思い出した。


いいなと思ったら応援しよう!