【ひとり旅】長野県 上諏訪温泉 華乃井ホテル宿泊
山に囲まれた景色を見たくなったので、1月27日から1泊2日で上諏訪温泉に行くことにした。
上諏訪駅までは、特急あずさを使って新宿から約2時間15分で到着する。事前にえきねっと特ダネを利用して、3割引で切符を購入していた。
片道4,170円、往復で8,340円。
行きの電車の中では庄野潤三の『ザボンの花』を読む。
一つ一つのエピソードが、自分の記憶として残ってしまいそうなくらい生き生きとしていて楽しい。
専業主婦である妻のふと漏れる生活へのため息は今読んでも古さを感じさせない。
本を読むために旅行をしているところがある。移動している時のほうが読書が捗りやすい。東京にいるとどうしてだか、ネットばかり見てしまって読書をする集中力が途絶えてしまう。
上諏訪駅に着くと予約していた送迎バスが来ていた。
車窓から見える景色が、平らな土地に建物が並び、それらをぐるりと囲むように山がそびえ立っていて気持ち良い。
ホテルのエントランス前でバスから降りると待ち構えていたかのようにボーイさんが受付まで案内してくれる。
チェックインもテキパキ終わり、感じの良いホテルだなと思う。
部屋はレイクビューのシングルを予約していた。
窓の外が湖なので、普通のビジネスホテルよりも広く感じる。
お茶菓子とお茶。既にポットに水が入っていた。
女子旅プランということで色々な特典をもらう。LAURA ASHLEYは好きなので、このアメニティセットは嬉しかった。
あまりに窓からの景色が良かったのでしばらくぼーっと日が落ちていくのを見ていた。
朝食のみのプランだったので夕飯は一階の中華料理レストランでとることにする。
17時に行ったので誰もいない。
麻婆豆腐丼と杏仁豆腐を頼む。麻婆豆腐はすごく好きというわけではないので、がっつかずにゆっくりと山を見ながら少しずつ食べられるのではと思って選んだのだけど、予想通りになって良かった。
ちゃんとしたレストランの味でとても美味しかった。
その後温泉へ。
湯船が大きいからか、思っていたよりもぬるま湯でずっと入っていられる。かれこれ1時間くらいつかっていた。
(写真は公式HPより)
途中、お祖母さんに連れられて1歳くらいの男の子が露天風呂に入ってきた。
岩を指差して、これは何?という仕草をする。
お祖母さんが、
「岩だよ」
と言うと
「いわ」
と復唱し、また別の岩を指差して
「いわ、いわ、いわ」
と繰り返している。
こんなに素早く言葉を獲得するものなのかと驚く。
22時に寝た。
朝6時に起きて朝風呂へ。男湯と女湯が交換されており、露天風呂からは隣の病院のヘリポートが見えた。
朝食はバイキングだった。
思っていたよりも種類が多く、きのこの水煮など地元の郷土料理と思われるものがあり美味しい。
11時チェックアウトなので、部屋でゆっくりしてその後また駅まで送迎してもらう。
上諏訪駅に到着後、駅から徒歩8分の古本屋の言事堂へ。
第三の新人繋がりで安岡章太郎の『質屋の女房』を購入する。
お昼は駅近の更科という蕎麦屋で蕎麦を食べる。
事前に目を付けていた蕎麦屋は6人くらいが外で待っていたため、急遽計画を変更して入った店なのだけど、それでも店の中で数分席が空くのを待った。
私が食べている間にもひっきりなしに人が入ってきて、お客さんは二回転くらいしていた。
長野の蕎麦人気に驚く。
座敷にあがって食べていたところ、隣のテーブルにいるよちよち歩きの女の子が何度止められても私のテーブルに突撃してくるのが可愛かった。
蕎麦屋を出た後は、駅前のたまごや工房というカフェでチャイを頼み電車までの時間を潰す。
帰りの電車の中では『夕べの曇』を読む。
夫視点での描写が多くなり、妻は細君と呼ばれ、夫に対してですます調で話すようになっている。
『ザボンの花』では、仕事嫌だなあと言って頼りなかった夫が、『夕べの雲』では家長としての自分と、頼りない自分との間を行ったりきたりしている。この変化は一時的なものなのか、今後も継続していくのか、個人的には『ザボンの花』で書かれた溌剌とした妻の方が魅力的に感じた。
立川を越えたあたりで、聞いたことのない社内音が流れた。
乗っていた列車で人身事故がおきたとのこと。
しばらくして、救出作業のためブラインドを下ろすようにというアナウンスがはいる。
1時間遅れで新宿に到着した。
旅行代金は目標の2万円以内におさまった。
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