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鎧を脱げ!

久しぶりにヴィム・ヴェンダース「ベルリン・天使の詩」を見た。

見たことない人はこの後、ネタバレ注意!


冒頭の「こどもがこどもだった頃…」にはじまるドイツ語の詩、主人公・天使ダミエルの表情、サーカスの音楽、マリオンのフランス語の語り、Nick Cave & the Bad Seedsはじめ当時の音楽の終末&退廃感、ベルリンの壁、モノクロームの画像、刑事コロンボの憂い…

映画の大半にある「伝えたいけど、伝えられない思い」と合わせてほんと切ない空気感が漂う、好きな映画。

映画の後半、主人公のおっさん天使・ダミエルが天界から地上に下りて人間になる、と決意して下界に下りたとき、なぜか金属製の鎧も一緒に空から降ってきた。
その鎧を質屋に売って、人間界暮らしの資金とするのだが、そのあと再会した「刑事コロンボ」(俳優のピーター・フォーク、本人役で出演)に懐具合を心配されて、質屋で鎧を300マルクで売った、と話をすると「俺は500ドルで売ったぜ」と返される。つまり、ピーター・フォークもまた元・天使の先輩だったのだ。

さて、この「鎧」。今回、画面で見て、ことばをきいて浮かんだのは「鎧はそれまで天界で持っていた価値観や見てきたもの、先入観や経験などを表しているんじゃないか」そんな気がしてきた。

つまり、新たな世界に飛び込むのなら「鎧を脱げ!鎧を脱いでいけ!」

ちょうど、今日は友人と話しているうちに、わたしが少しこわくて苦手に感じている人についての話題になった。友人はその人については、わたしのように苦手に感じているようではなかった。むしろ友人の話をきいていると、その人についてそんな見方もあったのか〜こちらで勝手に恐れたりしないで接してみるー。そんな気持ちになった。

鎧を付けているのは、わたしの方なのかもしれない。先入観や自分ものさし、ジャッジなしに、くだんの人物やこれまで出会ってきた人、新しく出会う人たちにも接していこう。

ベルリンの空から落ちてきた鎧からそんなメッセージを受け取った。



答えはすでに自分の内にある。
わたしができるのはそのお手伝い、だけ。


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