砂糖は儚い味がする
昨年、阪神タイガーズが優勝したことでパイン飴が一躍有名になりました。
パイン飴、まだ販売していたんだと、失礼ながらちょっとびっくりしました。久しぶりに買って舐めてみたら、とても懐かしい味でした。
そのときに、なぜかふと思い出したのが、映画「火垂るの墓」。
何度観ても悲しくて、決まってあるシーンで泣いちゃいます。
節子と兄の清太が、伯母の家を出て西宮の防空壕に二人で住み始める頃、節子がサクマ式ドロップの缶からドロップを出して舐めるシーンです。
それを見ていたお兄ちゃんが、
「節子、何舐めとるんや。これ、おはじきやろ。ドロップちゃうやんか」。
食べるものがない中で節子は、ご飯よりも好きだった甘いドロップを舐めたかったんですね。
栄養失調になるほどお腹を空かせた節子が欲しかったのが、生きていくためにさほど必要のない甘いもの。
とても悲しいシーンです。
パイン飴から思い出した、節子のエピソードのせいでもないのですが、思い立っておぜんざいを炊いてみました。
いつもは粗糖を使うのですが、ちょっと足らなくて。代わりにお菓子用のグラニュー糖を使っちゃいました。
う〜ん、ちょっと違う。お塩で味を整えても、いつもの深みが出ない。
甘いのは甘いんだけど・・・、深みがないというか、コクがないというか。
その一瞬の甘さは、儚い気持ちになる味でした。
節子なら「美味しい」と言って、喜んで食べてくれたかな。
「人」偏に「夢」と書いて、儚い。
人の夢、儚い夢もありますよね。
大好きなお兄ちゃんと一緒にお腹いっぱい食べたい。
大好きな甘いドロップもいっぱい舐めたい。
私からすれば、死んでゆくことがわかっている節子の夢は、とてもとても儚く思います。
砂糖の甘さは幸せな味がします。
そして、その甘さはスーッと静かに消えていく。
一瞬の幸せな気持ちも。
私には、砂糖は、なぜか儚い味なんです。
儚さを感じさせない甘さを、発酵食材でできないかな。
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