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ぼくのお日さま

{シネマガイド}ぼくのお日さま
吃音のある少年、アイスホッケーのメンバーではあるが、運動脳力の瞬発力に弱くキーパーとして相手の打ち込むパックのスピードにガードが追いつかない。タクマは、練習が終わるとフィギュアスケートの練習をしているさくらをジーと見ているようになった。幼い恋心が芽生えていた。


東京から恋人のいる地元へ戻ってきた有名なスケート選手がそのスケート場の指導員荒川であった。その指導員に心を寄せる少しおませな少女さくらはメキメキ腕を上げていた。今日もさくらの見事な演技を一途な気持ちで見入っている少年タクヤに気が付いている荒川は2人の橋渡しをしようと密かに目論んでいた。

荒川は、タクヤにアイスホッケーをやめてフィギュアスケートに変更しないかと誘った。フィギアスケート用の靴をタクヤに貸し与えた。タクヤはアイスホッケーを止めフィギュアスケートの練習を始めた。荒川は、初めはぎこちなく滑っていたが、だんだん上達していくタクヤを見てさくらとペアで滑らせることを考えていた。二人にカップルを組んでペアーダンスを提案する。タクヤは、荒川に憧れを抱くさくらと息を合わせてペアーアイスダンスの練習を重ねる。そして密かに思いを寄せるさくらと手を携えてスケートが出来ることに夢中になっていった。荒川は、上達した二人のフィギュアーのペアーダンスの検定試験を受けてみないかと勧める。二人は、試験日に向けて猛特訓に汗を流した。


そんな時、さくらは想像もしなかった光景を垣間見てしまったのであった。
駅前の売店の前に止めた荒川の車の中で、同乗してる男が吸っていたタバコを荒川の口に持っていった。しかも、二人は通常の友達とは違う見つめ合ったり、いちゃついたり、笑いながら身体を寄せ合っていた。


練習後、荒川の更衣室にさくらがやってきて”男の子に女の踊りをつきあわせているんですか?”と言い捨てて帰ってしまった。
翌日の検定試験にさくらは現われなかった。そして、さくらの母親が荒川を訪ねてきて今後娘に近づかないで欲しいと言った。さくらは引き続きスケートは続けさせるとも言って帰った。それ以降、二人の練習は途絶えてしまった。


タクマは高校生になっていた。荒川に大きめの制服を着た姿を見せた。荒川はこの町を出ると言った。二人はキャッチボールをした。荒川はいなくなった。
ある日、通学路でタクマはさくらと出会う。二人とも高校生になっていた。ペアーを解消した後、憧れていたさくらにタクヤの恋心は継続してただろうか。


   


<<憧れは、理想的な人に心引かれ会ってみたい、話してみたい、手をつないでみたいと願う。>>
<<恋心は、恋しいと思う心を言う。淡い恋心を抱く。恋心が芽生える。>>
タクヤは、さくらとフィギュァスケートのペアーを組んで夢中で練習に取り組んだ。彼のさくらに対する憧れや恋心は中途半端な経過のままとなった。タクヤの所為でもなくさくらの所為でもない。
「ぼくのお日さま」
監督:奥山大史
タクヤ:越山敬達 さくら:中西希亞良 荒川:池松壮亮
第77回カンヌ映画祭オフィシャルセレクション「ある視点」部門正式出品


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